全曲解説:アマロ13
〜最も安定した時期のライヴ映像〜

ファンからの映像化を望む声により、活動終了後に音倉商店のみでリリースされた、品川ステラボールでのライヴを95%(天野談)収録したもの。だがカヴァー曲やアンコールのカットを含めた実質、85%ぐらいが妥当な線だと思われる。
『シャロン・ストーンズ』には『氷の美Show』、『メグライオン』には『メグに逢えたら』、『天龍』には『ツアーオブザドラゴン』と『燃えよドラゴン』(おもひで2)、『ZERO』には『R.T.Z.』(おもひで2)の個別ライヴDVDが出ているのに、「なぜムンチャイがないの?」という天野の意思もリリースの手伝いをしたようだ。『おもひで2』の「LIVE
HISTORY」に若干収録されていたが、余りに若干だったので、ほぼ全曲収録での作品は喜ぶべきリリースと言えよう。ただトラック分けがメドレーなどは混同されており、個別曲で見ようとすると若干都合が悪い。
01.注意書き
トラック1は注意書きのみ。全曲再生の際にここを読み込む構造上の都合からか。
02.花冠
ライヴ演奏は貴重な人気曲。マントを被った『A
MOON CHILD IN THE SKY』の衣装で始まり、それを脱ぎ棄ててゴシックな衣装になって曲が進む。難易度は高いというが、充実した演奏で、スタジオ版より壮大なスケールで迫ってくる。何より、この曲のライヴ・テイクが楽しめることは大いに意義がある。『おもひで2』の「LIVE HISTORY」に収録されたものと同内容。
03.JOKER JOE
その後ライヴでの定番曲になったこの曲も、ライヴではこの日が初披露だった。天野のヴォーカルは多少途切れる部分もあるが、スタジオ版よりグルーヴィな演奏と共に安定している。最後はバンド・ノイズがエクステンドされ、「続けていくぞー!」という天野の号令のもと、次曲にメドレーする。
〜鮫
さらなる疾走感を放つ、ライヴ常連曲。この時点では既に何度となく歌いこなしているので、迫力がありながらこなれた歌唱。若干途切れ途切れに叫んでいるのが、いかにも天野のライヴのこの曲らしい。ここまでのイントロ3曲はどのライヴよりも一気に盛り上がる好セットだろう。エンディングはエクステンドされ、天野の手振りにより終わる。
04.MC 1
会場のステラボールで迷わなかったかと尋ね、衣装についてジョークを飛ばすMC。
05.1/2 -a half-
ライヴ映像、音声共に初の収録。余り演奏されなかった曲なので、この収録は有意義だ。イントロのオルガンに隠れた打ち込みがよく聞こえ、コーラス部分ではRieのバック・コーラスがほどよくマッチしている。歌いながら天野は手を舞うようにひらひらさせる。基本的に原曲に忠実な演奏。
〜砂糖水
ライヴ映像は初収録の、隠れた人気曲。『アマフェスリポート』のテイクよりも落ち着いた雰囲気で、悪く言えば少し生硬い。ギター・ソロ後のJ.Jのマーチング・ドラムからアクティヴになり、また静かになり、さらに盛り上がっていくという起伏に富んだ展開は、映像が付くことで説得力を増している。
06.Stone
冒頭に用いられたフレーズの部分のシャラのギターの「テン、テン、テン」という音色がスタジオ版よりよく聞こえる。間奏のギターも若干異なる。天野のヴォーカルは安定していて、『アマフェスリポート』のテイクより力強い。あっきーのベースがドライヴしている。『おもひで2』の「LIVE HISTORY」に収録されたものと同内容。
07.MC 2
ひとりひとりのもとへ歩いていってのメンバー紹介。J.Jが「イチジョウタクヤ」を名乗り、Rieが万歩計で12,000歩も記録していたというやりとりも。
08.枳
「漢字ひと文字シリーズ」と題された演奏は、まずこの曲から。「劔」と呼応するナンバーだけに、単体で演奏されるのは珍しい。演奏はどのパートも落ち着いて秀逸だが、スタジオ版より生々しいドラミングが特に冴えている。
09.蝶
ライヴ常連の一番人気曲。幻想的なライティングとカメラ・ワークのもと、天野が舞うように歌う。この曲は演奏回数も多いので天野の声が落ち着かないなど惜しいテイクもあるが、ここに収録されたのはかなりの良音源。
〜聲
ライヴ・テイクは初の収録。効果音(打撃音)がスタジオ版と異なり、大きい。天野のヴォーカルは多少緩急を付け過ぎた感があるが、変化の激しい歌唱にしては比較的落ち着いており、感情たっぷりなのが表情にあらわれている。天野が「よろける振りをしたようで、実は転んでいた」と語った階段を上る場面も映る。『おもひで2』の「LIVE HISTORY」に収録されたものと同内容。
10.天
この日、この1回だけ演奏された意外なナンバー。天野の朗読がテープ再生され、ひとまず彼女は姿を消す。シャラがギターをタメ気味で演奏している。Rieのコーラスもここは見せ場だ。J.Jのドラムも弾けている。あっきーのベースもそれに呼応して曲を導いている。意外性から貴重であり、意義ある収録。演奏自体も原曲より数段闊達で楽しめる。
11.A MOON CHILD IN THE SKY
ここから後半戦。原曲をそのままテープ再生したインストで、次曲へ展開する。
〜Devil Flamingo
ライヴ・テイクは初の収録となる、『A MOON CHILD IN THE SKY』を代表するナンバー。ガナり立てて吐き出すような天野の歌唱が原曲より力強く、この曲が特異な存在であることを物語っている。本作中、最もライヴ感あふれる曲だ。この曲はファンも多いので、収録が喜ばしい。
12.人形
ライヴではおなじみ「アルバム+シングル」ミックスでの演奏。ドラムのクラッシュが強調され、迫力がある。天野のヴォーカルはこの曲のライヴ・テイクでは平均点。
〜日曜日
続くのは、もちろんこの曲。解放感あふれる演奏で、素直に楽しめる。天野のヴォーカルは(ライヴ・テイクではよくあることだが)やや咽喉声で尖り気味。
13.Butter Fingers
最初期から最後期まで、ライヴを盛り立てた古株ナンバー。原曲よりグルーヴィに、生々しく炸裂する。ソロ・パートではプレイボーイズの名を叫ぶ。言うまでもないが、ロック・クラシックス引用箇所はより忠実に再現している。エンディングはエクステンドされ、バンド・ノイズで終わる。
14.イデア
ライヴ映像、音声共に初の収録。シングル曲ながらライヴ・テイクがなかった不憫なナンバーなので、この収録は意味があるだろう。だが曲自体が比較的単調なのと、このテイクの天野の歌唱が余り落ち着いていない(歌詞落ちもある)のが残念。それでも解放的な雰囲気は充分楽しめる。
15.萌
ライヴ映像、音声共に初の収録で、シングル・ヴァージョン。コミカルな振り付けが施され、またカボチャ・バケツを持ち出してその中から飴を投げ飛ばすといった場面もある(ライヴ翌日がハロウィンだった)。この曲の持つ、天野の特質が発揮された「マジなのにおどけたジョークっぽさ」を素晴らしく体現している演奏と映像と言えよう。天野ファンなら最も愛すべき映像に仕上がっている。個人観では最も収録の意義があったナンバー。
16.スナイパー
何だかんだ言って演奏されないと不安になる、ライヴ定番曲。ここでは一時期好んだ合唱ではなく、きちんと歌っている。もちろんコーラスでは客席から自然発生的にダブル・クラップが起こる。ライヴ・テイクではおなじみの、ハイ・ハットを駆使したり乱打するドラミングも無論演奏。そしてもちろんのこと、エンディングはエクステンドされ、次曲にメドレーされる。
〜トムパンクス
バンド・ノイズから曲名が宣言され、この天野の最もライヴ的なナンバーへ。原曲よりドラムは闊達に、ギターは饒舌に、ベースは重くグルーヴィに、コーラスは色濃く、この曲ではおなじみのライヴ・アレンジがされている。天野のいかにもライヴらしい歌い方もいい。エンディングはバンド・ノイズがエクステンドされ、天野のジャンプで終わる。
17.MC 3
ロッカー・ルームでのやりとりや、「侍語」の可笑しげなMC。
18.翡翠
この曲もライヴ・テイクは映像音声共に初の収録。アルバムとシングルの中間のようなバンド・ヴァージョンだが演奏陣は余り映らず、天野の独唱に等しいアングル。間奏とエンディングでは、ここでしか聴けない和音のギターが被さる。『おもひで2』の「LIVE HISTORY」に収録されたものと同内容。
〜巨大獣
最後はもちろん、この曲。ライヴではおなじみのピアノ・シーケンスから、最後の曲であるアナウンスがされて始まる。比較的落ち着いた、どこか余裕さえ感じられる歌唱と演奏。数あるライヴ・テイクの中でも優秀な部類に属するだろう。天野のヴォーカルが尖っておらず、丸い。最後はエクステンドされ、天野が礼をしてステージから去り、ライヴではおなじみのエンディングを迎える。
ひそかに期待されたアンコール曲は、通常ライヴ映像が基本的にこの曲で終わる伝統を踏襲し、収録されなかった。