全曲解説:おもひで2

〜ラスト・ライヴ+絶頂期ライヴ+ライヴ・ヒストリーの4DVD-BOX〜

 インターネット上での予約販売のみとなった、限定4DVDボックス・セット。内容はラスト・ライヴ『天野月子 LIVE R.T.Z. -Return To Zero-.』2枚組、絶頂期ライヴ『天野月子 LIVE Tour of the 燃えよ! DRAGON』、各所のライヴ映像を収めた『LIVE HISTORY』の4枚組。予約限定販売のみで、一般発売はされていない。購入特典として「ZERO」「蝶」「JOKER JOE」「日曜日」「人形」「スナイパー」「カメリア」「タイガーマシーン」の中から3枚のイラスト・ポスト・カードが付随していた。
 ジャケットは天野のイラストによる「それぞれの時期のヒメギミ」をあしらったもの。一本(同ツアー)のライヴを収めた2組はもちろんのこと、各所のライヴを収めた『LIVE HISTORY』は着せ替えイラストになっている。


Disc-1&2『天野月子 LIVE R.T.Z. -Return To Zero-』
2008/11/24 東京 品川STELLAR BALL

 総決算的な、ベスト選曲的プログラムで、天野の最後にして最高のステージを存分に楽しめる。「ZERO」「Hello」のミス・テイクも含めてのほぼ完全収録。行き過ぎた観客の歓声やグダグダのMCがカットされているぐらいで、殆どライヴ全編を楽しむことができる。横幅が広いビスタ・サイズ。ジャケットの収録時間が共に「DISC 1」になっているのはミス・プリント。
 何を意図したかは解らないが、多くの曲が数曲でワン・チャプターに収録されている。自動再生、All Play、各曲選択ではチャプターが異なるので、ここでは自動再生でのチャプターに基づいてトラック分けする。

[Disc-1]

01.注意書き
 自動再生だと、DVDの注意書きでワン・チャプター設けられている。「All Play」にすると次のトラックから開始される。

02.菩提樹(S.E.)
 お馴染み、開場を告げる「菩提樹S.E.」が鳴り、「R.T.Z.」のロゴがスクリーンに浮かび、バック・ステージで生のアナウンスをする場面から本作は始まる。このトラックは「All Play」でないと見られない。

03.菩提樹
 安定した演奏と、やや緊張気味の天野のヴォーカルで、定番のオープニング・ナンバーが展開される。決してベスト・テイクとは言えないが、最後のライヴへの意気込みが感じられる迫力のある演奏。シャラがギターをスクラッチする場面が何度か映される。

〜鮫
 続くのは、天野史上最速のこの曲。拳を振り上げる客席の半数以上が赤いリスト・バンド(ファン・クラブ入会特典)をしているのが、天野が熱烈なファンに支えられてきた証拠だ。演奏は最後に相応しく、怒涛の勢いで天野のヴォーカルも息切れしていない。

04.Butter Fingers
 懐かしい感も、お馴染みの感も受けるライヴ定番曲。グルーヴィでありソリッドであり、天野のフェイク性を体現した出来。無論ロック・クラシックのフレーズ・コピーは完璧。シャラとあっきーのソロ・パートを天野が叫んでアナウンスする。

05.えむしー・その1
 最後になるメンバー紹介。

06.青紫
 ライヴではお馴染みの、ディスコテックなアレンジ。何よりあっきーのベースが肝だが、シャラのギターはアドリブが多く、J.Jのドラムも原曲よりオカズが入っている。もちろんRieのコーラス入りで、天野のヴォーカルも動的ながら安定している。この曲のライヴ演奏では最優秀の出来だろう。

〜箱庭
 天野のヴォーカルは普段に較べ、落ち着いて丁寧な感がある。すべての出発点であるこの曲を、大切に歌いたかったのだろう。歌声を張り上げていないので、演奏(特にギター)がよく聞こえる。「コロシテ」はシングルに準拠する。

07.B.G.
 イントロのシャラのギターは普段よりワウが強い。天野のヴォーカルは落ち着いたもの。コーラスは客席に歌わせる。「スナイパー」ほど明確ではないが、確かにこの曲にあったダブル・クラップを、客席はきちんと鳴らしている。エンディングはエクステンドされるが、普段と違いトーンが暗い。

〜HONEY?
 時折陶酔したような表情を浮かべる天野は、ここでも落ち着いたトーンで歌う。Rieのコーラスがよく聞こえる仕上がり。

08.えむしー・その2
 天野が、淡々と演奏陣との初対面の印象を語る。シャラに勘違いの親近感を覚え、あっきーに譜面の図解をしてもらい、Rieの名文句「オヒサシブリィ〜!」を浴び、J.Jのニック・ネームが定着したこと、などを語っている。

09.Stone
 イメージ・イラストを左右のスクリーンに映して演奏が始まる。天野が自分を表現した曲は多数あれど、この曲は群を抜いて特筆すべきものだ。基本的にスタジオ版に忠実だが、間奏のギターは即興の早弾き。グルーヴ感は『アマフェスリポート』の方がある。

10.刺青
 コーラスこそエレクトリックな響きだが、全体的にややアコースティック要素を加えたような仕上がりで、イントロからしてギターが違う。細かいドラムやベースの伸び具合、コーラスが入る部分なども異なるので、スタジオ版と聴き較べてみることをお勧めしたい。最もアレンジされている曲のひとつと言えそうだ。

〜ライオン
 隻眼のライオンのイラストが左右のスクリーンに映し出される。ライヴ・ヴァージョンで定番の機械音をイントロに加えた始まり方で、ギターの鳴りが違う。間奏の“I love you……”の部分はリップ・シンクか実際に歌っているのか、口を動かしている。エンディングはもちろんエクステンドされ、完奏される。

11.えむしー・その3
 風邪予防のため臭い食べ物を食べた話をする。

12.蝶
 落ち着いた歌唱から、ダイナミックに力強くなる。この曲が特にそうなのだが、この日のライヴは静と動を使い分けているというか、どの曲もヴァースとコーラスとではヴォーカルの変化が大きい。そのうえでどこか力が抜けたような印象がある。天野の歌い方が叫び立てるものから落ち着いたものに変わってきたことを実感できる。

13.龍
 スタジオ版に忠実だが、やはり落ち着いた歌唱で、コーラスでも以前ほど声を張らない。映像で見ると、実はベースがテクニカルであるのがよく解る。前曲に続き、静と動の差が大きい演奏。

14.月
 この日の落ち着いた歌唱は、この曲で生きている。多少息が切れる場面もあるが、透明感のある歌唱。ベースが時折アドリブを利かせる箇所がある。Rieのコーラスも秀逸。

〜Howling
 吠える狼のイラストを左右に配置し、楽曲が始まる。活動停止を決意させた曲だけあり、手を抜かない本気の歌唱が堪能できる。若干息切れする部分があるのが少し残念。演奏はスタジオ版に忠実だが、ギターを中心に若干のアドリブあり。

15.えむしー・その4
 後半戦突入を告げるMC。

16.ZERO
「R.T.Z.」のロゴが左右に映され、演奏が始まる。演奏はスタジオ版より迫力があって優秀なのだが、肝心の天野のヴォーカルにミスが目立ち、その後もう一度演奏し直すことになる。この天野がよくやる失敗をも収録したのは、ドキュメント的な意味で有意義と言えるかも知れない。

17.人形
「メグ」の人形やイメージ・イラストが左右に映され、ライヴではお馴染みのアルバムとシングルを足したヴァージョンでの演奏が始まる。普段は冒頭で何かしら叫んでいた天野はここでは無言。この曲から天野の声に張りが出てくる。間奏のシャラのギター・ソロの最後が非常に闊達だ。

〜日曜日
 続くのは、もちろんこの曲。軽快に始まり、客席が一斉に手を振り上げる。天野の声も伸びやかで、過去のライヴの中で最も優秀な部類と言えるかも知れない。左右のスクリーンにはこの曲のイメージ・イラストが映し出される。

18.烏
 疾走感溢れるこの曲では、J.Jのドラムにトリッキーなアドリブが加えられている。それにより、曲のソリッド感が増している。天野のヴォーカルは最も鋭角的。

〜JOKER JOE
 グルーヴ感溢れるこの曲は、スタジオ版よりボトム・ラインが図太く芯がしっかりとした演奏。声の張ってきた天野がシャウトする場面もある。終盤では客席にマイクを差し向け、コーラスを歌わせる。左右のスクリーンにはイメージ・イラストも映る。エンディングは若干エクステンドされる。

[Disc-2]

01.注意書き
 自動再生だと、DVDの注意書きでワン・チャプター設けられている。「All Play」にすると「合唱の時間だよ」というMCでワン・チャプターが使われる。

02.MC
「合唱の時間だよ」というMCでワン・チャプターが使われている。

03.ミサイル
 ここからは、躍動感のある怒涛の展開。まずこの曲では巻き舌にファルセット、ガナリ声など多様なヴォーカルを駆使した迫力のある歌唱が味わえる。コーラス部分は客席にマイクを差し出す。本作中、最もライヴ感のある演奏。

〜スナイパー
 イメージ・イラストが左右に映され、演奏が始まる。「イデア」のビデオ・クリップも映されるのは、この曲が意図的なフェイク感に基づくものであることを物語っている。コーラスは客席の合唱で、もちろんダブル・クラップが自然発生している。間奏のギター・ソロはアドリブ部分が多い。エンディングはエクステンドされ、「次は判りますね? みんなで一緒に!」と次曲にメドレー展開する。

〜トムパンクス
 会場のヴォルテージが最高潮に達する瞬間、それがこの曲だ。「トムパンクス」というコーラスは客席が一斉に叫び、シャラも声を出している。ギターはヘヴィかつソリッドなリフを繰り返し、ベースはドライヴし、ドラムは三連キックも用いている。エンディングはエクステンドされ、天野によって一斉のジャンプで締められる。

04.えむしー・その1
 ジャンプしたことで足をひねったことを伝え、次曲が活動停止を決心してから書かれた曲であることを告げる。

〜糸電話
 最初にして最後のライヴ演奏。打ち込み主体だった曲が生演奏されているので、饒舌なベースは忠実だが、生ドラムや透明に響くギター、コーラスなど様々な部分がスタジオ版と異なる。天野のヴォーカルはひとことひとことを大切に歌っている印象。

05.巨大獣
 ピアノ・シーケンスと「本日はどうもありがとうございました」という言葉で始まる、お馴染み基本ステージ最後の曲。この日の落ち着いた天野の歌唱が生きている。ドラムのタム回しやコーラスなど、この曲のライヴ・ヴァージョンの常連要素が満載。涙ぐむファンの姿が印象的だ。終盤にはバック・スクリーンに月が映し出される。そこで感極まって声が出なくなる天野の瞳が滲んでいるのは気持を察したい。エンディングがエクステンドされ完奏される中、天野は礼をして去っていく。
 演奏終了後、メンバーは一度ステージから去り、「菩提樹S.E.」が鳴り、客席がやまない拍手でアンコールを要求する。そこへ上着を脱いで軽装になった全員が戻り、「ここで終わるわけないじゃん」と天野が言い放つ。

06.花冠
 難易度ナンバー・ワンのこの曲も、勇壮かつ重厚に再現される。ドラマティカルに展開する中、天野のヴォーカルはやや不安定な感もあるが、それはこれが最後のライヴであることと、この曲が変化の激しいヴォーカル・ラインであることを考慮すべきだ。

07.G.B.
 元祖天野流グルーヴ・ナンバーは健在。ライヴ特有の空気感に満ちた演奏で、ギター・ソロはほぼ即興。天野の歌唱は安定している。Rieが天野デザインの「メルヘンロック」Tシャツを着ているのが確認できる。

〜人魚
 ライヴで定着した泡のS.E.から始まる。天野はガナリ気味に歌い、シャラはソロにも歌の最中にもアドリブを挟み、Rieと客席のコーラスも聞ける。

08.えむしー・その2
 マイク・スタンドをスタッフに上げてもらう場面から、携帯サイト「天野苑」でこの日のライヴの曲をリクエストしたことに関するMCが挟まれる。

09.時計台の鐘
 2種類のイメージ・イラストが左右に映され、ピアノとベルのシーケンスから始まる。基本的にスタジオ版に忠実な仕上がりだが、そこへコーラスやギター、ドラムのアドリブが入り、感情のこもった天野のヴォーカルが乗る。特に間奏とエンディングのギター・ソロは即興気味で、やや動的な仕上がり。

10.カメリア
 天野が最後のライヴで、この曲を演らない筈はない。ギターの響きの違いや珍しいベースのアドリブ、ドラムのオカズにコーラスなど様々な付加要素があるが、とにかく荘厳。天野のヴォーカルは「歌い切った」という感のある、迫るもの。

11.進め☆タイガー
 コーラス部分をエフェクト処理したS.E.が鳴り、まさかのタイガーマシーン登場。武装したレモン色J.Jが世界のナベアツやなだぎ武など旬の芸人をネタに使い、ギャグ満載のスピーチを披露する。それがジャストで、最もアクティヴ(?)な仕上がりになっている。ドピンクタイガーも思わず吹き出してしまうほど可笑しなステージング。左右にはイメージ・イラストが映し出される。

12.えむしー・その3
「進め☆タイガー」がリクエストの2位(1位はダントツで「花冠」)であったこと、次曲が自分の人生について書いた曲であることなどを告げる。

13.Hello
 こちらも「ZERO」に続くミス・テイクで、一部の歌唱が「ラララ……」というスキャットになってしまう。ギター・ソロが異なるなどの差異はあるのだが、飽くまでもドキュメント的なトラック。

14.クレマチス
「本日はどうもありがとうございました」と、再び最後の曲であることを告げて開始される。壮大なスケールで迫りくる、アンコールの最後に相応しい仕上がり。ドラムがシンバルを多用するなど、スタジオ版との差異もある。歌い終わると、天野はエンディングに向かう中、何度も礼をしてステージを去る。
 演奏終了後、メンバーは再びステージから去り、再度「菩提樹S.E.」が鳴り、客席がやまない拍手でアンコールを要求する。ひとりで再々登場した天野は、次曲がリクエスト3位であったことを告げる。

15.箱舟
 天野のギター独奏の中、メンバーが戻ってきて、シャラがギターを合わせ、あっきーがベースを唸らせ、J.JとRieがタンバリンを鳴らす。ここでのRieのコーラスが素晴らしかったり、アレンジがかなり加わっているなど、聴きもの。天野が歌いながら笑い出してしまうのはこの曲のほんわかとした雰囲気ならでは。中間部のコーラス継ぎ接ぎ部分はRieと天野の掛け合い、さらに客席の「コロシテ」で構成される。ライヴ中、最もあたたかい雰囲気が伝わる曲。最後は若干のエクステンドを含む。

16.ZERO
「みんなまだ大丈夫? 帰る時間とか危ない人いる?」と客席に訊き、ライヴ・タイトルに関わる曲に限って歌詞を間違えてしまったことを告げ、2曲の演り直しが始まる。
 再演奏されたこの曲は、追っ掛けコーラスをRieが担当し、ギターやドラムにも若干のアドリブが加わったライヴならではのヴァージョン。天野は今度はきちんと歌い通している。カメラ・ワークが秀逸で、迫力があるものになっている。エンディングはピアノ部分がカットされている。

〜Hello
「すっごい申し訳ないんだけど、もう1曲間違った曲があるんだ」と再演奏されるのは、やはりこの曲……しかし、「また間違えたらごめんなさい」の予告通り、本当に間違ってしまった。それでも笑い飛ばして完奏される。客席が悲痛な表情から、あたたかな眼差しになっていることからも(最後の)ライヴならではの雰囲気が伝わる。ギター・ソロはまたも即興。歌詞がまるでラスト・ライヴに誂えたかのように響く。
 演奏終了後、天野は「すっげぇ間違えちった」と失笑し、客席をバックに写真撮影する。そのショットは本作のインナーでじっくり確認できる。「わたしはみんなに出会えてよかったです」と天野が笑顔で告げる。

17.Jam Tomorrow
「今日のライヴの大ラストは、この曲だと決めていました」というMCを挟み、この曲にこめられたメッセージを伝え、「本当の最後の曲」が始まる。
 最初にして最後の演奏となったこの曲のライヴ・アレンジは、打ち込み主体でギターも違うスタジオ版と較べて、バンド・ヴァージョンになったアクティヴな仕上がり。ギターが染み込み、ベースがもったりと跳ね、ドラムが軽快に打たれ、コーラスがハミングする、ここでしか味わえないもの。エンディングはスタジオ版と大きく異なる、バンドらしい終わり方。
 演奏終了後、最後の「菩提樹S.E.」が鳴り響く中、メンバーと握手し、マニュピレーターの藤田とプロデューサーの戸倉をスタージに招き、一列に手を繋いで深々と礼をする。天野は最後まで笑顔でいようとするが、思わず泣き顔になってしまう。しかし笑顔に戻ってピックを客席に投げまくり、最後にステージを去る。
 そうして、静かに、すべては「ゼロ」へ回帰していく……。


Disc-3『天野月子 LIVE Tour of the 燃えよ! DRAGON』
2004/03/11 大阪BIG CAT
2004/03/12 東京 渋谷BOXX

 絶頂期にして最も長かったサード・アルバム『天龍』のツアーより、2公演を編集して1本に収めたもの。最も天野が「らしさ」を放っていた時期のライヴを堪能できる。

01.劔(大阪)
 イントロからギターが遠吠えのように響く、「燃えよ!」というツアー名に相応しい幕開け。DVDジャケットと同じ衣装の天野が登場し、落ち着きながら果敢な歌声を披露する。いささかテクニカルな面のあるこの曲は、ライヴで見るとCDで聴くのとまた実感が違う。ライヴ映像は初収録となる。

02.鮫(東京)
 違和感なく繋がるビートの炸裂。ツアーの最終日であるため「ファイナルー!」と叫ぶ天野が勇ましい。コーラス部分では多少息切れ気味だが、迫力や雰囲気は充分に伝わってくる。
 演奏終了後、「わたしも燃え尽きるので、みんなも燃え尽きてください」というMCに入る。

03.枳(東京)
 イントロのリプライズ曲が早くも登場。野太いボトムに支えられたメッセージが説教臭くなく伝わる。ライヴ音源収録はこちらも初めて。

04.Treasure(大阪)
 ライヴ特有のイントロを加味したアレンジ。歌唱が若干切れ気味で、スタジオ版ほど完成され尽くしていないのが逆に天野らしく感じられる。フェイク感を表現したこの曲には完全なスタイルは要らない。最後はシャラが早弾き気味にギターを操る。

05.えむしー・その1
 演奏終了後、メンバー紹介と「菩提樹」のビデオ・クリップやアルバム『天龍』にまつわるMCが挟まれる。

06.月(大阪)
 月をバックに照らした幽玄な演奏。MCでの曲紹介を思うと感慨深い。スタジオ版に忠実な演奏。
 演奏終了後に『ウィノナ ライダース〜月の裏側〜』リリースを伝えるMCが挟まれ、次曲へ入る。

07.スパイダー〜月にほえろ!〜(大阪)
 このヴァージョンでは最初にして最後のライヴ収録音源。グルーヴ感がスタジオ版より強く伝わり、ファットなリズムが堪能できる。天野独特のブレスのタイミングがよく解る歌唱だ。エンディングのシャラによるギターはほぼ即興で、スタジオ版とまったく異なる。

08.えむしー・その2
 演奏終了後にアルバム『天龍』と、電車に乗る人に関するMCが挟まれる。

09.骨(東京)
 ライヴ音源ではこの曲も初収録となる。こういった曲が多いことを考えると、この絶頂期のツアーのDVD化は正解だったと言えよう。演奏自体はスタジオ版に忠実だが、天野のヴォーカルがややエモーショナルで、声を張り上げる場面もある。エンディングはシーケンスだけではなく演奏が被さる。

10.龍(大阪)
 またもライヴ初収録の音源。流麗なあっきーのベースが印象的に映るイントロから入り、天野が手を虚空に翳しながら歌う。J.Jの打つカナモノの音が始終鳴らされ、ライヴ感溢れる仕上がりとなっている。

11.蝶(東京)
 スタジオとは多少異なる(恐らく別録音の)S.E.から始まる。他はスタジオ版に忠実だが、『おもひで』に収録された初演奏に較べると、大分慣れてきた感がある。天野もしきりに左手を虚空に泳がせている。

12.えむしー・その3
 演奏終了後。「これから後半戦」と宣告し、あっきーの誕生日を祝い、インタヴューするMCが挟まれる。ちなみに(本当に余談だが)そこで客席が映ったカメラは筆者もとらえていた。

13.日曜日(大阪)
 軽快なビートの、後半戦お馴染みのナンバー。天野のヴォーカルは伸びやかで奔放。時に歌詞が飛んでしまうところはご愛嬌。それさえなければこの曲のベスト・テイクに選んでもいいぐらいの好演奏なのだが、天野の天真爛漫を思えばよしとしたい。

14.恋(東京)
 またも初ライヴ収録となる、一時期ライヴでは常連だった楽曲。映像収録の意義は大いにあり、何より、映像でしか解らない、おどけた振り付けが存分に楽しめる。この曲のためにこのディスクがあると言っても過言では……あるが、それぐらいに意味のある収録。このディスクのひそかな目玉になるだろう。演奏のトー.ンはスタジオよりクリアでノリがいい。

15.スナイパー(東京)
 こちらはリメイク版ではない、オリジナル版での演奏。コーラスは天野が歌い、また客席にマイクを差し出して歌わせる。エンディングはライヴではお馴染みの展開で、次曲にメドレー演奏される。『アマフェスリポート』には収録されなかったライヴでの定番展開を味わえるので、天野のライヴに行けなかったファンには王道が疑似体験できる重要なテイクとなるだろう。

〜トムパンクス(東京)
 曲名を告げる雄叫びで始まる、ライヴ終盤のヴォルテージ最大状態を味わえるテイク。天野の歌が息切れとは違う意味で落ち着かないのは、この曲ならでは。演奏は大分ドライヴしている。始終笑顔の天野が印象的だ。無論のことエンディングはエクステンドされて楽器の乱打となる。
 演奏終了後、短いひとことが入る。

16.巨大獣(東京)
 最後の曲を告げるアナウンスで始まる、ライヴでの定番ラスト・ナンバー。Rieのコーラスがよく聞こえる曲でもある。他のテイクと較べるとやや演奏や歌唱が荒い感もあるが、それはこの絶頂期の「やり慣れている」状態をよく現していると言えるだろう。エンディングはエクステンドされ、天野は去っていく。そして「菩提樹」のS.E.が会場に鳴る。

〜箱庭
 ジャケットやメニューには記載されていない、シークレット・トラック。「巨大獣」と同じトラックに続けて収録されている。
 アンコールで再登場した天野が、この曲の誕生からの感慨を語り、演奏が始まる。時に淡々と、時に感情的に歌いあげるそのさまは勇壮で、味わい深い。ソロから後半にかけてのギターがやや即興的。
 演奏終了後、本当のライヴ終了がアナウンスされ、天野が盛んに客席とタッチしながら去り、本編は終わる。

[おまけ:Tour of the DRAGON ダイジェスト(2003/11/14 東京 渋谷BOXX)]

01.鮫
 赤い着物を羽織った天野が「渋谷ー!」と叫んで始まる。天野の描いた龍がステージに映る。ダイジェストなのでサワリだけで終わってしまうが、熟練味のある演奏。

〜青紫
 ライヴではお馴染み、ディスコテックなイントロから力強く演奏される。

〜B.G.(胸キュンタイプ)
 ダイジェストではあるが、貴重な「胸キュンタイプ」での演奏。この曲のバンドでの「胸キュンタイプ」が収録されたのはこれが初めてだが、フル・サイズでないのが惜しいところ。

〜蝶
 コーラスから始まる。赤い紙切れが舞う幻想的な演出が映える。

〜龍
 同じくコーラスから始まる。シーケンスの音がスタジオ版と違うのがよく解る。

〜巨大獣
 エンディングはもちろんこの曲。だが唐突に終わるので、飽くまでダイジェストであり、おまけであるととらえたい。


Disc-4『LIVE HISTORY』
Live in シモキータ Vol.1(2002/02/10 東京 下北沢CLUB CUE)
アマロ13(2005/10/30 東京 品川STELLAR BALL)
無敵のゴネンジャー!(2006/05/21 東京 キネマ倶楽部)
ゴネンジャープラス(2006/11/26 東京 新木場STUDIO COAST)
アマフェス with プレイボーイズ(2007/07/28 東京 キネマ倶楽部)

 主に2005年から2007年にかけてのライヴ映像を編集したディスク。トラックは曲ごとに分けられているのではなく、各公演ごとの数曲ずつにまとめて分けられている。「おまけ」も豪華で、天野を語るうえでは外せないマスト・アイテム。ジャケットの背が「HYSTORY」になっているのはミス・プリント。

01.菩提樹(ゴネンジャープラス)
 ヒストリーの最初は、もちろんこの曲。『カタログ』のドレス姿でステージに現れ、演奏陣より一段高い位置で歌い始め、階段を下りてくる。この演奏ではギターを持っていない。ゆらゆらと踊りながら歌うので多少安定感には欠けるが、説得力のある歌声。

〜箱庭(ゴネンジャープラス/Live in シモキータ Vol.1)
 コーラス部分のギターがクリアに聞こえる。「ゴネンジャープラス」の演奏で、映像はそちらをメインとしながら時折「シモキータ」の模様がセピア調に挟まれる。シモキータの天野は「スナイパー」の白いスーツ姿。

02.花冠(アマロ13)
 ライヴ演奏は貴重な人気曲。マントを被った『A MOON CHILD IN THE SKY』の衣装で始まり、それを脱ぎ棄ててゴシックな衣装になって曲が進む。難易度は高いというが、充実した演奏で、スタジオ版より壮大なスケールで迫ってくる。何より、この曲のライヴ・テイクが楽しめることは大いに意義がある。

〜Stone(アマロ13)
 冒頭に用いられたフレーズの部分のシャラのギターの「テン、テン、テン」という音色がスタジオ版よりよく聞こえる。間奏のギターも若干異なる。天野のヴォーカルは安定していて、『アマフェスリポート』のテイクより力強い。

〜聲(アマロ13)
 ライヴ・テイクは初の収録。効果音(打撃音)がスタジオ版と異なり、大きい。天野のヴォーカルは多少緩急を付け過ぎた感があるが、変化の激しい歌唱にしては比較的落ち着いており、感情たっぷりなのが表情にあらわれている。天野が「よろける振りをしたようで、実は転んでいた」と語った階段を上る場面も映る。

〜翡翠(アマロ13)
 こちらもライヴ・テイクは初の収録。アルバムとシングルの中間のようなバンド・ヴァージョンだが演奏陣は余り映らず、天野の独唱に等しいアングル。間奏とエンディングでは、ここでしか聴けない和音のギターが被さる。

03.梟(ゴネンジャープラス/無敵のゴネンジャー!)
 ライヴ・テイクは初の収録。完全打ち込みなので演奏には差異はないが、何より、ファンの間で熱烈な人気を誇る「ふくろうダンス」が楽しめるのが収穫。天野とair:manふたりの3人が踊る映像は必見。その踊りを真似る客席も映される。「ゴネンジャープラス」の演奏で、そのアクティヴな映像をメインとしながら、「無敵のゴネンジャー!」のレトロなモノクロ映像が挟まれる。それぞれの衣装はティアラの有無とドレスの違いがポイント。

〜Love Dealer(ゴネンジャープラス)
 こちらも振り付けが見どころ。天野とair:manはもちろん、Rieも踊るさまが映される。「梟」と並んで映像での収録に意味のあるもの。時期的なこともあり「2006」ヴァージョンでの収録だが、ギターはさらにアクティヴ。ブレスのため歌が飛びそうになる箇所がある。最後は全体で一音を響かせる。

〜人形(ゴネンジャープラス)
 ライヴではお馴染みのシングルとアルバムをあわせたヴァージョンだが、ここでは普段は号令していた冒頭の部分に機械音が入る。ラフな恰好になっての演奏。

〜日曜日(ゴネンジャープラス)
 この曲が続かないと、ライヴの雰囲気が出ない。ライヴではこの2曲が続けて演奏されるのが定番だった。シャラのギターやJ.Jのタム回しに若干の違いが見られる。

〜スナイパー(ゴネンジャープラス/アマロ13/アマフェス with プレイボーイズ)
 この曲の定番として、コーラス部分は観客に歌わせている。スタジオ版とは(ライヴでは毎回のことだが)2回目のヴァース部分のドラムがハイ・ハットになっているところと、コーラスで客席のダブル・クラップが重なる部分が異なる。「ゴネンジャープラス」の演奏と映像をメインに、「アマロ13」と「アマフェス with プレイボーイズ」のモノクロ映像が被さる仕上がり。最後はエクステンドされつつ、フェイド・アウトする。

04.混沌 -chaos-(アマフェス with プレイボーイズ)
 衣装は黒のシャツと膝丈までのパンツ。スタジオ版に忠実な演奏だが、テクニカルなこの曲も映像として見られると、(特にJ.Jの)プレイの闊達なことが実感できる。

〜烏(アマフェス with プレイボーイズ)
 こちらもスタジオ版に忠実な仕上がりだが、あっきーのベースがドライヴしているのがよりよく解る。天野のヴォーカルはややワイルド。コーラス部分ではRieが手を振り上げて雰囲気を盛り立てる。

〜Howling(アマフェス with プレイボーイズ)
 天野は歌に専念。躰を揺らし、左をを舞わせながら熱を込めて歌う。安定した歌唱と演奏で、スタジオ版に忠実。これら「アマフェス with プレイボーイズ」の音源は『アマフェスリポート』と同じ。

05.鮫(ゴネンジャープラス)
 天野はTシャツにパンツというラフな恰好。雄叫びで始まり、相変わらずの怒涛の勢い。天野のヴォーカルはライヴらしい生々しい歌声。シャラのギターに若干の遊びが見られる。映像も躍動感のあるカメラ割り。最後はエクステンドされて一音で終わる。

〜蝶(ゴネンジャープラス)
 スタジオ版では打ち込みさながらだった部分のJ.Jのドラムが強く響く。基本的にスタジオ版に忠実な演奏だが、当然のことライヴ感溢れる演奏。ただ、幻想性を持つこの曲にはラフな恰好は余り合わないような感も受ける。

〜巨大獣(ゴネンジャープラス)
 最後はもちろん、この曲。イントロのピアノ・シーケンスのさなかに天野が最後の曲であると告げる。ギターのトーンが普段と多少異なり、ドラムはタム回しが入り、ベースは強くうねり、コーラスが加わる。ライヴ版では随一の仕上がり。エンディングはもちろんエクステンドされ、楽器の乱打で終わる。

[おまけ]

[アマフェス アコースティック(2007/07/27 東京 キネマ倶楽部)]

01.風船
 September(この時のチェロはHutaba)とギターの宍倉聖悟の4名に囲まれたアコースティック・コーナー。原曲をなぞっているが、チェロにピアノ、コーラスとギターが一体となってこの曲のメランコリーをさらに色濃くしている。Septemberとの共演を観られるのは大きい収穫。陶酔するかのように歌う天野が気持よさそうだ。このディスクのおまけはすべて全尺で収録されている。

〜国道
 弾き語りでも演奏されたことのあるこの曲は、アコースティック・スタイルが似合う。対照的な『アマフェスリポート』と聴き較べてみるのも面白いだろう。ここでは天野もギターを弾いている。間奏のQoonieによるピアノ・ソロが美しい。

[タイガー★ナイト(2005/12/18 東京 渋谷BOXX)]

01.進め☆タイガー
「秘密サークル タイガーマシーン」の登場S.E.から始まるのは、もちろんこの曲。レモン色J.Jタイガーのダンスを存分に楽しめる。タイガーマシーンに特化したイヴェントの演奏なので、『氷の美SHOW』よりも「らしさ」が堪能できるだろう。間奏のレモン色J.Jタイガーのスピーチは録音だが、この日限定のもの。映像ではこの日の他の曲の模様も挟まれる。

〜体操
 最初で最後の演奏となった貴重な映像。当時Evita TemptationsのASUKAがサンタ姿で、マスカレード・ポロがトナカイ姿で参加する。ポロとASUKAのスピーチは生なので、スタジオ版とはまた違う楽しみ方ができる。天野は少しばかり声を張っているが、何よりこの曲がライヴ収録されることに意義がある。最後まで天野は「フェイク」であり「遊び」を忘れないということだ。

〜Merry Tiger
 Rieのクリスマス・ソングの独唱から始まる。再びレモン色J.Jタイガーが加わり、会場も手振りをする 間奏のスピーチ(録音)ではレモン色J.Jタイガーとポロの被り物同士で演技する。歌いながら客席へプレゼントのお菓子をばらまく場面が印象的だ。
 この日の他の曲はカヴァーばかりだったので、版権の都合上収録できなかったのだろうが、「進め☆タイガー」の曲中映像で「淋しい熱帯魚」の映像が収録されているのが確認できる。

[茶会(2002/05/29 名古屋 三楽屋)]

01.スパイダー
 現存する天野月子映像の中では(「シモキータ」は演奏は収録されていないため)最も古い部類にあたる、「Treasure」発売記念ミニ・ライヴ・イヴェントの映像。
 シンセサイザーの幽玄な響きから、天野と戸倉弘智による2本のアコースティック・ギターのでの演奏が始まる。「HONEY?」のビデオ・クリップと同じ姿の天野は若く、眉毛が太い、垢抜けていないなど、長いファンには感慨深い映像。エンディングが独自のアレンジになっている。
 演奏終了後、戸倉を紹介し、この日の選曲が「裏面」的なものであること、ラジオ出演の様子を伝えるMCが入る。

〜箱庭
 アコースティックながらリズム・トラックの打ち込みも入った演奏。ただ原曲のように動的ではなく、ギターの絡み合う音色が純粋に楽しめる。終盤ではファルセットを頻繁に使い、「コロシテ」はアルバムのように囁くものになっている。

[PV]

ZERO
 こちらを参照。

NOISE
 こちらを参照。