全曲解説:おもひで

〜ライヴ×2+ドキュメントの3DVD-BOX〜

 ライヴ会場やインターネット上での予約販売のみとなった、限定3DVDボックス・セット。内容は2002年から2003年までの経緯を辿るものになっており、ライヴ『氷の美SHOW』、ドキュメント+ライヴ映像『Making of Meg Lion』、ライヴ『大阪夏の陣〜サマーフェスティボー2003〜』の3枚組。予約限定販売(+在庫販売)のみで、一般発売はされていない。「人形ショット」「鮫ショット」「メンバーひとりずつのショット」という7枚の生写真が同封されている。
 ジャケットは天野のイラストによる「それぞれの時期のヒメギミ」をあしらったもの。初の発売となる2枚はもちろんのこと、VHSからDVDに形態を変えての再発売となる『氷の美SHOW』もジャケットは新装されている。また、3枚合わせると背の部分が「くれない鉄仮面」の顔になる。
 なお、どの映像も横長のビスタ・サイズになっている。

 何度かの再発を経て、2009年7月にパッケージ・デザインを変えて最後の再発がされた(内容は同じ)。


Disc-1『氷の美SHOW』

 以前はVHSで通信販売されていたライヴ映像を、DVDにリメイクしたもの。1st『シャロン・ストーンズ』を引っ提げて行われた渋谷CLUB QUATROでのライヴで、ミラー・ボールほかの演出によって豪奢な雰囲気で行われた。既発売映像であるので、楽曲解説はこちらを参照されたい。ジャケットは「チャイナヒメギミ」。


Disc-2『Making of Meg Lion』

 セカンド・アルバム『メグライオン』にまつわるドキュメント映像をまとめたもの。DVD『メグに逢えたら』にはエディットされたパイロット・エディションが収録されていたが、こちらはライヴ「めぐり逢えタワー」で流されていたものより長い、ノー・カット完全版。天野のみならず、メンバーやスタッフのコメント、ライヴ「プライベートライオン リターンズ」から『メグライオン』期に関与する7曲のライヴ映像や、B.N.W.提供曲「Ride On」のテスト・ヴォーカルなども収録されている。ジャケットは「ジャージヒメギミ」。

04.人魚
 意外にもこれが公式音源初収録となる、ライヴでは何度も演奏されてきた楽曲。大き過ぎないハコということもあってか、天野のヴォーカルは安定している。低音重視だったオリジナルよりシャラのギターがよく鳴っており、またRieのコーラスも加わっているのは、ライヴならではの楽しみと言えるだろう。天野が客席にコーラスを求める場面もしばしば見られる。

08.人形
 人形に関する解説から繋がって、ライヴではお馴染みシングル+アルバムのミックス(但し冒頭のストリングスはカットされている)になり、「渋谷――!」で始まる、有無を言わさぬパフォーマンス。赤と青とを中心にしたライティングが映える。歌声も安定しており、演奏も文句ナシだが、ただひとつ、冒頭のストリングスとエンディングのオルゴールとがカットされているのだけは(ライヴ音源としては)惜しまれる。

10.時計台の鐘
 アルバムの序章である「時計台の鐘」にまつわる解説に続いて、自然発生的に演奏は開始される。天野の解説とイントロが被さっているためにライヴ音源としては扱いにくいが、演奏は数をこなしたことが活きている優秀なもの。演奏陣も天野も「歌」を重視したものに落ち着いている。『メグに逢えたら』でのライヴが「静」だとすると、こちらは「動」的な具合に仕上がっている。

13.ライオン
 こちらも冒頭がスタッフ・ルーム・ノイズと重なってしまうので純粋なライヴ音源としては扱い難いが、演奏自体は撮影が前提にあって力の入っていた『メグに逢えたら』より肩の力が抜け、そちらを越える出来。または前曲と同じく「動」的な演奏とも言えるか。

14.銀猫
 ライヴ当日、アコースティック・コーナーの曲目として披露された1曲。楽曲の骨格を抜き出したような演奏になっているが、それが幸いし、『メグライオン』収録曲中では地味めの曲ながら、その小気味良い優秀さを引き出している。何より、アコースティック・タイプでこの演奏を堪能できるのは大きい。Rieによるコーラスも特筆に価し、本作収録の楽曲の中でも、最も収録意義の大きい楽曲。天野が解説していた「星男」が素朴な響きを聴かせてくれる。

16.トムパンクス
 当日は「スナイパー」とメドレーとなっていたこの曲を、本作では(『メグライオン』にまつわる曲ということで)1曲のみ収録。この曲ではすっかりお馴染みとなったマイク・パフォーマンスや、腕を振り上げる様が勇ましい。ライヴの生々しさでは『メグに逢えたら』をも凌駕する出来具合。

22.進め☆タイガー〜第二章〜
 この曲は「第二章」としてはライヴでの収録は本作が初となる。基本路線は『氷の美SHOW』での「第一章」と同じだが、パフォーマンスと演奏には何度かこの曲を演奏してきた自信が垣間見られる。青ジャージに着替えた全員とレモン色J.Jタイガーが愉快にその場を盛り上げてくれ、特にレモン色J.Jタイガーは頭に付いていた小鳥を投げるなど、演技性も充分。


Disc-3『大阪夏の陣〜サマーフェスティボー2003〜』

 創作期間を経て、大阪BIG CATで行われたライヴ。当時の最新曲「鮫」のみならず、まだリリース予定中だった「蝶」も初披露するなど、見所満載の充実した内容。ジャケットは「鮫ヒメギミ」。
 なお、本作はリリースに先駆けて、関西地区限定のビデオ・コンサート(サード・アルバム『天龍』購入応募イヴェント。天野本人も出演し、「骨」を演奏した)でも上映されていた。
 合戦風の喚声から、「天野陣」の幟が立った大阪城にクローズ・アップされ、お馴染みの「菩提樹」S.E.に繋がっていく。

01.日曜日
 幕を切って演奏されるのは、オープニングを飾るには意外なこの曲。全員「鮫」の衣装で揃い、勇壮にライヴが開始される。天野の歌声は少し巻き舌気味になっており、ライヴ感のあるもの。オリジナルにあった「キィッ」という停車音は、シャラがギターで表現している。もちろん、アルバムでは天野だったコーラスはRieがカヴァーする。

02.銀猫
 大阪弁気味のMCを挟み、会場の「BIG CAT」という名前にちなんで演奏が開始される。この時点では、この曲はライヴでは初披露となる(なお、後にはアコースティック演奏もされる楽曲)。ファルセットを多用する、難易度が低くない楽曲だが、再現に徹されている。中間の「ABBA風コーラス」はRieと天野のかけあいになっているのにも注目。

03.Love Dealer
 衣装が、発売日だった「鮫」PVのものであり、「Love Dealer」が同日発売であることを示すMCを挟んで曲に導かれる、ライヴではお馴染みのこの曲だが、コーラス部分での「ハートマークの振り付け」は初収録であり、しきりにクローズアップされる。ライティングが映え、演奏陣の熱がこもった様子がよく伝わる。ヴァージョンで言えば「type 2003」に最も近いかも知れない。

04.BOGGY!
 ライヴではアコースティック演奏がよく行われていたが、ここではオリジナルを再現したものになっている。トリッキーな楽曲だが、中でも、うねりまくるあっきーのベースと正確なシャラのギターに注目したい。天野のヴォーカルも安定した好演奏。

05.進め☆タイガー
 マニュピレーターを含んだメンバー紹介を挟み、回を重ねるごとに近未来的になっていくイントロS.E.に続く。暗転ののち、メンバーは全員サングラスをかけて「秘密サークル タイガーマシーン」になったことを示している。特にやはり、中盤から現れる「レモン色J.Jタイガー」の微妙なダンス(なぜか真顔)に注目。歌が途切れがちだったり、一部では「第2章」のフレーズが出てくるあたりは、雰囲気楽しんでナンボのこの曲なので、ご愛嬌のほどを。
 演奏終了後、悲壮的なピアノを軸に淡々としたリズムと天野のコーラスをバックにして、レモン色J.Jタイガーから「秘密サークル タイガーマシーン」の解散が伝えられる。

06.スパイダー
 天野が赤の着物に衣装替えし、『氷の美SHOW』と同じく、ディスコテックなイントロが始まる。そちらでは「お立ち台扇子」だった扇子は、物販品の「えぇセンス」に変わっている。コーラス部分では手波が起こり、操っている天野が勇ましい。なお、ここから4曲はJ.Jのいない打ち込み主体の演奏となる。

07.Pleasure
 これまではアコースティック演奏されていたこの曲も、ここではオリジナルの再現(意外だが初披露)が成されている。S.E.などのギミックが多い曲だが、それはマニュピレーターの藤田がもちろん再現(微妙に違う音)している。

08.pigeon
 前曲の演奏終了後、「Mr.Q(サタデー・ナイト・フィーヴァー風J.J)」をフィーチュアして開始される、これも初披露となる曲。短めにエディットされているが、打ち込み主体のため大きくアレンジが施されており、終了部がシンセ音と打ち込みによりエクステンドされ、次曲に繋がっていく。

09.Ride On
 Brand New World提供曲のセルフ・カヴァー。天野自身のヴォーカルになっての披露は嬉しいが、曲尺が半分にエディットされているのは惜しい。J.Jとあっきーのコミカルな「ドライブ」に注目。

10.人形
 お馴染み「シングル+アルバム・ヴァージョン」となるこの曲は、既に「菩提樹」に続く代表曲として定着している頃。ヒート・アップした演奏のうえ赤を中心としたライティングが映えており、演奏陣と天野の自信が窺える。最後は「〜まま!」を絶叫する。

11.G.B.〜ゴールデンバニー〜
 VHS『Pia Debut Live Review』以来となる、元祖天野流グルーヴ・ナンバー。天野自身の歌い方も変わっており、コーラスにRieを従えていることから、編集アルバム『ウィノナ ライダース〜月の裏側〜』の「声変わりヴァージョン」に近いものになっている。中間部ではシャラが即興的な演奏を見せる。あっきーのベースとJ.Jのドラムによるリズムが最も活きた演奏。

12.スナイパー
 後にはお馴染みとなる、「みんなで歌おう!」という呼び掛けから始まる。そうしてヴァース部分での天野はマイクから離れ、客席の歌声を導く。ギター・ソロが少しばかり即興的であったり、銃弾の音をギターで再現しているシャラにも注目。盛り上がった会場の雰囲気こそを楽しみたい1曲。もちろん「拳銃アクション」も健在。J.Jがダブル・クラップをスネアで再現する場面も見られる。

13.人魚
 これまで何度か披露はされていたが、収録はこれが初となる楽曲。グルーヴを主体としており、勢いのある演奏が聴ける。ブリッジ部分では客席の声を求める天野も見られる。中間部は一度演奏がストップされ、J.J〜あっきー〜シャラの各人を主体としたソロ回しが堪能できる。そうして演奏が被さり、楽曲に戻っていく様はスリリング。天野の歌詞が落ちたり飛ぶ場面もあるが、このアレンジはそれに代えがたい熱を持っている。

14.鮫
 この時点での最新シングルとなる、この曲を解説するMCを挟み、ディスコテックなイントロ(プレイボーイズがきちんと演奏しているのに注目)が始まる。ヴォーカルは少々フラット及びシャウト気味だが、会場と演奏陣の盛り上がりは充分に伝わる。最後の展開が延ばされ、次曲にメドレー形式で繋がっていく(後にお馴染みになるが、この時点でその展開は初となる)。

15.トムパンクス
 そうして、メドレー的になった最強の組み合わせ。この2曲での盛り上がりは本作中でも最たるものだろう。ヒート・アップした演奏と会場の雰囲気がよく伝わり、また、(曲の難易度もあって)声域を外しがちなこの曲に於いては比較的安定したヴォーカルを聴かせてくれる。最後は演奏がエクステンドされ、天野の一号で終わる。

16.蝶
 この時点ではまったくの新曲だったこの曲は、もちろん初披露となる。その紹介MCを挟んで楽曲は開始され、天野が幽玄にゆらめきながら歌う。ライティングや紙吹雪が舞う演出も映え、壮麗な様を見せる。初披露であるにも関わらず、天野は安定したヴォーカルを聴かせてくれる。前2曲で盛り上がった後の、クライマックスでありハイライトであり、また本作の製作意義にもなっている。

17.巨大獣
 最後を飾るのは、やはりこの曲。紙吹雪がぱらつくこの曲は、それまでの演奏の余韻(さながら絶頂後の陶酔期間)であるかの如く、儚く、しかし力強く響く。ライヴ・テイクが多く収録されている楽曲だが、中でも比較的安定しながらパフォーマンスが活きている演奏と言えるだろう。
 終了後にはイントロに合わせた「雅」な法螺貝S.E.が鳴り響き、本作は幕を閉じる。