全曲解説:音倉レコード会社案内ビデオ

〜オムニバス・ライヴ録音〜

 2002年5月2日に行われた音倉レコードのイヴェント「音の倉」を収録したVHS。発表前の『One』収録曲を披露したRie、天野が提供した楽曲を歌うBrand New Tomorrow、J.Jがドラムとして参加するコーツ……などなど、音倉レコードとそれに強く関与する人脈で編まれた、オムニバス形式のライヴ。そこにも無論天野は参加し、後に「アコースティック・コーナー」として定着する形式での3曲が収録されている。3曲とも「歌」を強調したアコースティック・タイプの演奏なので、原曲や普段のライヴ・ヴァージョンとは違った楽しみ方ができるだろう。
 なお、VTR末尾には出演者のビデオ・クリップも収録されている。天野は短編映画の類を思わせるカットの多い「箱庭」を収録。様々なことを示唆的に表している映像は必見。


01.カメリア
 アコースティックでの演奏も多く披露されている楽曲だが、それは恐らく、ここでの演奏が初めてのことだろう。この演奏はスタジオ・テイクが収録された『シャロン・ストーンズ』の発表前なのだから。
 この曲は、オリジナルや普段のライヴではベースから始まるが、ここではストリングスが曲を先導する。そこに打ち込みドラムとQoonieによるピアノを乗せただけの、ごくシンプルな演奏。短いが、ピアノ・ソロ・パートも挿入されている。天野はしっとりと、言葉をひとつひとつ噛み締めるような落ち着いた歌唱。

02.B.G.〜Black Guitar + Berry Garden〜(胸キュンタイプ)
 Qoonieが去り、入れ替わりにシャラとRieが登場して――わざわざ「胸キュンタイプ」を宣言しての演奏! それにより、この「胸キュンタイプ」は単純なリミックスの類ではなく、別個の存在として考えられていることが解る。
 鍵盤やドラムなど、打ち込みパートを多用しながら「再現」がなされているが、サックス・ソロはなく、普段のソロをアレンジしたセミ・アコースティック・ギターによるソロが入る。エレクトリック演奏の際のような声を張り上げる歌い方ではなく、喩えば歌唱最終部分の“again”はファルセットになっている。
 ごくたまに披露されるアコースティック演奏も、宣言こそされないもののこれに準拠するもの。ここにベース、ドラムが加わったものと思えばいい。

03.巨大獣
 3曲だけでも、最後はやはりこの曲。メンバーは同じなので、自然アコースティック演奏となっている。曲は打ち込みによるカウントで始まり、原曲のバックにあるピアノなどの音は削られ(そのためピアノ・ソロ・パートもない)、ストリングスなども抑え気味。ライヴの尺が短めであることと、多くあった装飾を省いたせいか、普段の長尺ライヴでは動的になる天野の歌唱は、ここではだいぶ落ち着いている。
 せっかくの歌曲なのだが「ライヴでは最後に演奏される」というパターンが立っているため、こうしたアコースティック演奏主体でない限り、この曲のアコースティック演奏は珍しい(「アコースティック・コーナー」に挟むことができない)。だからこそ、こうした形での演奏がなされるのは有意義なことだ。