全曲解説:Pia Debut Review
〜ファースト・ワンマン・ライヴ録音〜

初ワンマン・ライヴとなる2001年10月30日、ON
AIR WESTでの演奏を収録。数台のカメラによるカットが交えられ、中腹にはライヴ前のリハーサル風景(天野がザ・ビートルズの「レット・イット・ビー」を弾いている!)も挿入されている。「音倉レコード」の公式サイトによる通信販売でのみ購入可能だったが、その後のライヴやイヴェントでは会場物販もされていた。いずれにせよ店頭での購入は不可。
基本的に原曲に忠実ながら、少しばかりの差異がみられる。基本演奏陣のみがステージに上がっているので鍵盤奏者の姿はないが、鍵盤や効果音などもバックに流され、再現されている。
VHSの冒頭にはシングル曲プロモーション・ビデオのカット映像が収録されており、そちらの発売を期待させる。その後、それらをまじえたイントロダクションを挟み、ライヴが始まる。その折に表示される「私は、天野月子――英語圏では、A
Moon Child In The Sky」という文字にはやられた! このフレーズはやがて数年の時を経て4thアルバムのタイトルろなった。
01.B.G.〜Black Guitar + Berry Garden〜
冒頭のコーラス・エフェクトから演奏に入り、忠実なアレンジ。特筆すべきは、シャラのギターが目立っていたスタジオに比べ、あっきーのベースがよく聞こえること。またフェイド・アウトだった最後はギター・ソロのまま終わる。その部分のコーラスは削られている。
02.Butter Finfers
月日からして、アルバム収録に先駆けての演奏。既に完成形となっており、もちろんロック・クラシックの「フレーズ・コピー」も既に披露。しかもアルバムではギターとベースのユニゾンだったそれが、こちらではJ.Jのドラムまでもコピーになっている(特に「スモーク・オン・ザ・ウォーター」がよく解る)。
03.ステロイド
原曲よりも生演奏に重点が置かれ、スタジオ作にあったサイバー・パンク色は薄くなり、グルーヴが強化された。中盤、ピッキング・ハーモニクスのみのパートをライヴでも無論演奏するシャラのギター・ワークが秀逸。スタジオ版にあった微妙なノイズ音(ヘッドフォンをして聴いてみよう)さえ配されているのに注目。なお、この曲に限らず、コーラス部分はアルバムでは1曲しか参加していないがライヴでは全編参加のRieによるもの。
04.Love Dealer
オリジナルが期間・地域限定シングルだったこの曲の再販が行われていない(異なるヴァージョンでは発売されたが)現在では、本作が唯一の収録音源であり、貴重なものとなっている。原曲に忠実ではあるが普遍性が高まり、ギミック的な箇所が少しカット。フェイド・インだった電子音はマスター・ヴォリュームで始まり、エンディングにはそれが配されず、音の余韻をドラムの一叩が収束して終わる。コーラス部分も高声が重ねられず、ナチュラルに歌われる。会場ではミラー・ボールが輝き、しかしディスコ状態というわけでもなく、しっとりと力強く醸し出された荘厳な雰囲気が本作のひとつの山場を見せている。
05.スナイパー
やはり忠実なアレンジではあるが、ライヴには登場せずバックで流されている鍵盤に関係する音が少し削られているように思える。もちろん、演奏終了後には「拳銃アクション」を披露(その場で素手で表現しているものなので、スナイパーは拳銃じゃなくライフルを使うだろう、というツッコミはよしておくように)。その時に見せる天野の表情が、実に無邪気で微笑ましい。その銃声が響き、映像はリハーサル風景に入る。
06.G.B.〜ゴールデンバニー〜
3分ほどリハーサル風景を挟み、本番に向かう面々の映像を残しながらこの曲の演奏が始まる。グルーヴ感が強調された好演奏。楽曲本編の演奏終了後、天野(とRie)はそそくさとステージを去り、残る3人がインスト・バトルを披露。この曲の展開を下地にしての演奏だが、ソロ回しを経て着実にアンサンブルに戻る様はお見事。演奏陣の実力を確かめるにはいいだろう。その後、『菩提樹』の「貴婦人スタイル」に衣装替えを済ませた天野が登場し、演奏が終わる。
07.菩提樹
アルバム発表前なので、シングル・ヴァージョンの再現。原曲のヴォーカル・ラインがシヴィアなもので、またセット終盤ということもあり、天野のヴォーカル(ことファルセット部分)は少しばかりうわずり気味になってしまっている。ともあれ原曲のヘヴィな雰囲気を再現するのは困難であろうに、ここまで歌い上げられる天野には注目。
08.巨大獣
ライヴでは最終曲、という展開がお馴染みになっているこの曲は、やはりこの日でも最終曲に配された。少しばかり淡々と歌っていた印象もある原曲より生々しく、それがこの曲の核たる部分を引き出しており、優秀な演奏となっている。終盤で天野は観客に一礼し、またもそそくさと会場を去ってしまう。そうして原曲ではフェイド・アウトしていた部分は、ギター・エフェクトを中心にして完奏される。