全曲解説:First Food
〜A LUNCHファースト・ミニ・アルバム〜

天野月子が「天○○子」としてヴォーカル参加(ポニーキャニオンとの契約上、名を伏せる必要があったとのこと)するユニット、A
LUNCH初のリリース・アイテムとなるミニ・アルバム。音倉レコードのオンライン・ショップ「音倉商店」及び、A
LUNCHライヴ会場での限定販売。
A LUNCHは2006年9月、電話連絡のみで結成。バンド名は「ランチは心躍るしあわせな響き」という天○○子の解釈により、勝手に命名された。メンバーはコーツのギタリスト、クーロンと、元コーツ、現Evita
Temptationのベーシスト、やっすん83。全曲の作詞は天○○子、編曲はA
LUNCHと戸倉弘智。全編、打ち込みプラス、ギター、ベース、そして歌という構成。ソロ名義より、80年代ニュー・ウェイヴ寄りの音楽性と言える。
A LUNCHはデビューから5年の歳月を経て巨大化してしまった「天野月子像」を打破すべく、最小限のスタイルで表現されたユニットであり、本作はそれを具現化した作品と言えるだろう。ライヴ・ハウスなど小規模のステージを想定しているのだろう、ノリ重視の楽曲群が詰まっている。全曲とも「A LUNCH 1st LIVE」で初演となった。
01.A LUNCH
作曲は天○○子。彼らのテーマ・ソングと呼べるだろうこの楽曲は、「堕天使」や“hell”、“sorrow”などダークな表現がところどころに見られ、それでいて食事の「Aランチ」にまつわる歌詞になっている。天○○子の歌い方もどこか荒々しく、ブラスト・ビートなどが混じって直球のロックに仕上がっている。本作中、最も疾走感のあるナンバー。演奏は天○○子の叫びで終わる。
02.BOOSTER ROCKET
作曲はやっすん83。80年代風味の歌詞は架空の英雄であり自分でもある“HERO”にまつわるものとなっており、ブースター・ロケットを飛ばしていこう、という一種ポジティヴなもの。ブライトで突き抜けるような曲調で、特にコーラス部分は特筆に価する。終盤ではシンセの混濁した響きと、ストリングスの流麗な響きが乗る。A
LUNCHの代表曲と呼べそうな、彼らの核たる部分を集約した佳曲で、デビュー・ライヴではアンコール演奏もされた。
03.TENDER JAPAN
作曲はやっすん83。社内の人間模様などを描きつつ、慈愛のかけらを与えて親愛なる日本へ捧ぐという歌詞はどこかコミカル。ダンサブルなビートに若干悲壮感漂うストリングスがフィーチュアされ、強靭なギター・リフが襲いかかってくる。コーラス部分は非常にポップで、明るげな雰囲気を醸し出している。リフから発展する長めのギター・ソロも味わえる。
04.Slowly life
作曲はクーロン。ゆったりとした生活の中、どこか憂いを秘めた日常的(あるいは、非日常的)な光景を描いた歌詞が味わい深い。他の曲よりひときわ長く、メランコリックな鍵盤とギターの調べに酔える。天○○子の歌い声もやわらかく、幻想的。全体的に疾走感ひしめく本作中、唯一たおやかで落ち着いた佳曲。後半部では流麗なベース・ソロも披露される。
05.BEAST BEAT BEATNIKS
作曲はやっすん83と天○○子。近未来的で、退廃的な趣のある歌詞。冒頭からリズミカルでソリッドなギターが効果的な、どこかコミカルというかメカニックなシンセ音の響く楽曲。どことなくサイバー・パンクな響きがある。天○○子のヴォーカルはヴァースではリズミカルなものになっているが、勇壮なコーラス部分では広がりのある曲調と歌い方に変わる。
06.IROBO・KE・ROBO
作曲はやっすん83と天○○子。自らをロボットと称しつつも、人間的な情熱を歌っている。ストレートなビートのロック・ナンバーで、冒頭からうねりまくるベースが活きている。最もギター・ソロが堪能できる一曲でもある。エンディングでは音数が徐々に減っていき、打ち込みドラムが止まり、最後に天○○子が咳をして終わる。ライヴではそのエンディング部分は楽器乱打で終わっていた。