全曲解説:デラックスカタログ

〜初のベスト・アルバム〜


(左:『デラックスカタログ』/右:『カタログ』)

 初のベスト・アルバムは、DVD付き2枚組エディション『デラックスカタログ』と、1枚組エディション『カタログ』が用意された。ここでは、『デラックスカタログ』を底本として記述していく。『カタログ』の内容はDisc-1の「シングル・コレクション」がそのまま収録されているものなので割愛したい。
 ベスト・アルバムである本作は、シングル・コレクションのDisc-1と、(本人曰く)シングル候補だった曲、プラス未発表曲「おんがく」を収録したDisc-2に分かれている。そのうえで、時期的に『V』に収録されなかった「イデア」「翡翠」「聲」と、「Love Dealer- 2006-」のビデオ・クリップと『5-five-』メイキング映像を収録したDVDが付随している。なお、「月」は初回生産盤のシングルにビデオ・クリップをおさめたDVDが付随していたので、今回の収録からは外されているようだ。
 今回の編集にあたり、ヴォーカルにリマスタリングが施されており、全体的にヴォーカルが強調されている。そういった意味ではオリジナル・アルバムと共に持っていても間違いはないだろう。ディストーションを足して、わざと音を潰していた今までの楽曲より、「素」の歌声が楽しめる。特に「スナイパー」「青紫」などにその変化は顕著だろう。
 ティアラを被り、緑のドレスを羽織ったジャケットは淡路島で撮影されたもので、グリム童話をイメージしたもの。「世界観的には、白雪姫あたりが、一番近いんじゃないかなぁと思いながら、衣装のデザインをした。毒リンゴ渡す側に、見えなくもないけどね」とは本人の弁。既に『シャロン・ストーンズ』の時期に緑のドレスは考えられていたという。
『デラックスカタログ』は期間限定生産盤。『カタログ』は初回限定紙ジャケット&飛び出す絵本仕様(通常プラ・ケース盤はジャケットの文字「c」の色が黒ではなく白)。


[Disc-1]


01.箱庭〜ミニチュアガーデン〜
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。表記はないが「Sharon Mix」。


02.Love Dealer-2006-
 プレミアム・ソングの最新ヴァージョン。これでこの曲はオリジナル、「type 2003」、そしてこの「2006」の3ヴァージョンが存在することになる。トランペット、アルト・サックス、テナー・サックス、バリトン・サックスのホーン・セクションを導入しており、イントロから軽快な音色になっている(それゆえに全体に重厚さが欠けるのは仕方のないことだろう)ことに驚かされるだろう。コーラス部分のささやかなホーンもお見事。天野のヴォーカルが最も変化している曲で、ひたむきで真摯な愛情が伝わってくる。新たな振り付けと共にビデオ・クリップも作成された(本作DVDに収録)。バンド・ソングだった楽曲が、キャバレー・ソング風に変化している。
「もうひとつのデビュー・シングルなのに、日陰的な存在だからベスト発売にちなんで収録した」とは本人の弁。
 ライヴでは、「ゴネンジャープラス」にてダンスをあわせて披露された。
 「アルバム未収録曲」の項もあわせて参照。

 私的見解では、真摯な愛情を歌ったこの曲にホーン・セクションを加え、キャバレー・ソング風に仕立てたのはどうかと思う。音も、言葉も軽くなってしまうからだ。しかしそういったリスナーは「type 2003」を聴けばいいだけのことだ。ホーン・セクションを迎えたアレンジは天野なりの「挑戦」だったと受け止めたい。ビデオ・クリップなどは秀逸であるのだから……。


03.B.G.〜Black Guitar+Berry Garden〜
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。


04.菩提樹
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。「シングル・ヴァージョン」の項もあわせて参照。


05.スナイパー
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。


06.Treasure
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。


07.HONEY?
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。表記はないがアルバム・ヴァージョン。


08.人形
 2nd『メグライオン』参照。表記はないが「Meg Mix」。


09.鮫
 3rd『天龍』参照。


10.蝶
 3rd『天龍』参照。


11.月
 3rd『天龍』参照。


12.イデア
 4th『A MOON CHILD IN THE SKY』参照。表記はないが「A Moon Child mix」。


13.翡翠
 4th『A MOON CHILD IN THE SKY』参照。「シングル・ヴァージョン」の項もあわせて参照。


14.聲
 4th『A MOON CHILD IN THE SKY』参照。 


[Disc-2]


01.青紫
 1st『シャロン・ストーンズ』を参照。


02.日曜日
 2nd『メグライオン』参照。


03.時計台の鐘
 2nd『メグライオン』参照。


04.恋
 3rd『天龍』参照。


05.龍
 3rd『天龍』参照。


06.JOKER JOE
 4th『A MOON CHILD IN THE SKY』参照。


07.Stone
 4th『A MOON CHILD IN THE SKY』参照。


08.おんがく
 本作唯一の未発表曲。遠く離れてしまった「君」との思い出を語る、可愛らしいもののどこか儚げなフォーク・ソング。一時天野のブーム・ワードであった「砂絵」もロマンティックに取り込まれており、荒くれたり沈んだりする歌詞が味わい深い。ピアノを主体とした素朴でフォーキーな中にも、泣きのギター・ソロなどロック的な側面が窺える。繰り返される「大きなリボンをかけよう」というコーラスが印象的。「あやふやな音色(おんがく)を鳴らして」いたのが、失ってしまった「君」であるのも象徴的だ。
 ライヴでは、「ゴネンジャープラス」にてアンコールに弾き語りで演奏された。その時のMCによると、この曲は弾き語りをしていた頃の仲間がインディーズでCDを出しており「変わってないなぁ、音楽ってすごいなぁ」と思いつつ書いた曲だという。


[DVD]


 期間限定サイト『5-five-』のトップ画面を流用したトップ画面から、以下のプログラムを選択できる。


01.イデア
 テレビ・アニメ使用曲ということを意識してか、80'sテイスト満載のグラム・ロック的なもの。衣装の派手さや、コーラスのRieが初登場するなど注目点も多い。メンバーが次々と合流していく様はひとすじの閃光が束ねられ、強力になっていくようで曲調にマッチしている。衣装やイメージから、全員同時に頭の向きを変える(ジャーニーか!)、など80'sテイストはかなり強い。各メンバーのソロ・ショットでは、各人のおどけ振りが堪能できる(特にJ.J)。


02.翡翠
 古い校舎を使って去りゆく日々を追想するかのような素朴な出来栄え。花柄のシャツで歌う天野と、残念ながら廃校になったという学校の各所がクローズ・アップされ、ノスタルジーを誘う。オルガンの鍵盤を押さえているシーンや、メトロノームが打たれるシーンも印象的。翡翠をイメージした緑色の球体、それは「あなた」の象徴だ。最初は戸惑うように移動しているが、天野の手から解放されるや否や、鋭く旋回する。旅立つ鳥のように……オーケストラとの共演曲なので、バンド・メンバーが登場しない作品でもある。


03.聲
 右腕に大胆かつちょっとシアトリカルなボディ・ペイント(タイアップ・ゲーム『刺青ノ聲』の「刺青」をも意味し、歌詞にもリンクしている)を施し、ダークかつミステリアスなイメージで迫るビデオ・クリップ。なお、シングル・ジャケットではそれこそシアトリカルな髪型を披露している。
 水の中でもがくようにうごめく様子は、さながら羊水の中で生を叫んでいるかのようだ。そして滝の中から燭台を取り出すのは、生命を手に入れるイメージと言えそうだ。因みに、孔雀のステンド・グラスの前で天野は歌っているが、『A MOON CHILD IN THE SKY』の「博士と孔雀」の「孔雀はゴシック」という発言とリンクして、それはゴシックの象徴として扱われていることが解る。現に、この曲のクリップでは天野はゴシックな衣装を着ている。


04.Love Dealer-2006-
 ミラー・ボールの輝く古いキャバレーにて60年代風の衣装の歌姫ルック、ジャケットのお姫様ルックでそれぞれ独特のゆったりとした振り付きで踊りながら歌うもの。『(デラックス)カタログ』の衣装で撮影された唯一のビデオ・クリップであることから、本作を代表する1曲であると言えるだろう。「梟」でバック・ダンサーとして活躍していたair:manのふたり、maUmiとNAOも共演している。以前はハート・マークを胸にかたどっていたコーラス部分では、“Love”の「L」や、“Believer”の「B」を指でかたどったり、ピストル状にしてみせている。ダンスは両手を上下に振り振りさせるものが中心となって、様々な振りが交えられる。


『5-five-』メイキング映像
「烏」「ウタカタ」「混沌 -chaos-」「梟」「風船」の順で、様々な角度から録画された短いメイキング映像が収録されている。素顔の天野に触れることのできる、貴重な映像と言えるだろう。