September
『FLOWERs』
〜癒しの花〜 (2007/06/07)

事情により、また本作も1ヵ月半遅れての入手となったが、新作なので文を書いてみようと思う。
Septemberは、ヴォーカルのRie(天野月子などのコーラスや、ソロで活動)、ピアノ&コーラスのQoonie(ソロでも活動)、そしてチェロにMomo、という3人組だったが、やがてMomoは脱退、一時的にFutabaが加入し、その後シングル『咲きましょう』からはMayumiがチェロを弾くことになった、3人組女性ユニットである。かつては韓流ドラマの日本語カヴァーで注目されていたが、その後チェロの交代劇があり、やがて現在の3人に落ち着いてライヴなどで盛んな活動を見せている。
まだチェロがMomoだった頃にリリースしたファースト『UNO』はシングル曲を盛り込んだ完成度の高い、濃密な作品だった。しかし流行に乗ろうとしているプロデュースの姿勢や、無理にポップになろうとする曲調がいささか気にかかるものだった。やがてMomoが脱退、ライヴもままならない混迷期を迎えながら数枚シングルをリリースし、時にはRieとQoonieふたりのユニットとなることもあった。それでもSeptemberは滅びなかった。Mayumiという逸材を得て、シングル『咲きましょう』『明日咲く花』をリリースし、活動を本格化した。
そうしてリリースされたセカンドとなる本作『FLOWERs』は、男性アーティスト達が「花」をテーマに大ヒットさせた名曲を厳選し、ヴォーカル、ピアノ、チェロの女性トリオで華やかにカヴァーした「癒しのカヴァー・アルバム」。原曲よりドラマティックで沁みてくる「蕾」、ダンサブルな原曲からピアノが華麗に舞うアレンジに化けた「世界に一つだけの花」のような王道曲から、パンクからフレンチ・ポップスに変身した「情熱の薔薇」、優雅なワルツになった「すみれSeptember
Love」などのような意外な選曲もあり、シングル曲はボーナス・トラックでの収録となった「咲きましょう」のアルバム・ヴァージョンのみ。「明日咲く花」やファースト発表後にリリースされた混迷期のシングルは収録されていない。前作のようなシングルありきの作品ではなく、独自路線を見出した傑作となった。結果、ファーストのような濃さは薄まったが、その分聴きやすく、馴染みやすいものとなっている。リラックスのひとときにも、落ち込んだ時にも、気分を盛り上げたい時にも、それぞれしっくりくる、普遍性の高い仕上がり。しっとりとした上品なピアノに幻想的なチェロ、そこへ透明度の高いヴォーカルが重なった演奏はリラックスにはもってこいで、スリーピング・ミュージックにも合うだろう。この初夏という時期にぴったりな音色だ。
何より、原曲を知っていても知らなくても楽しめるのが本作の特徴。それほどアレンジが秀逸で、全曲がSeptember色に染まり、まるでオリジナルのように聴ける。また選曲の幅が広いため、多くのリスナーが受け入れられるに違いない。そのうえで誰しも「あ、この曲知ってる」というものがあるのが、親しみやすい印象を与えるだろう。お父さんお母さんからお子さんまで、みんなで楽しめる作品だ。
この独自路線を行く姿勢は、Septemberをより強固なユニットにしている。前作もカヴァー(但し、韓国ドラマ主題歌の)が多かったが、実質全曲カヴァーとなった本作で、Septemberは独自の「色」を発見した。どんな素材も自分達の「色」に染めて別物に仕上げる実力を、彼女達は身に着けた。シングルではオリジナルを発表する実力もあるし、こうした力があれば、これからも長くこのユニットが続くだろう。特に、ソロや演奏参加では「色」を醸し出せなかった感もあるRieとQoonieが、しっかりとしたポジションに就いていかんなく歌と演奏に励んでいるのが印象的だ。ユニットとして結束することで、彼女達は真の実力を発揮できている。
本作は、ポップス好きならぜひとも押さえておきたい傑作だ。一度、Septemberの「色」を体感してみてほしい。
| FLOWERs | |
| 1. | 情熱の薔薇 |
| 2. | フラワー |
| 3. | 蕾 |
| 4. | サボテンの花 |
| 5. | 木蘭の涙 |
| 6. | シクラメンのかほり |
| 7. | 桜坂 |
| 8. | すみれSeptember Love |
| 9. | バラが咲いた |
| 10. | 花の首飾り |
| 11. | 花 |
| 12. | 世界に一つだけの花 |
| <Bonus Track> | |
| 13. | 咲きましょう(アルバムヴァージョン) |
(FRCA-1191)