クーラ・シェイカー
『ストレンジフォーク』

〜待望のサード・アルバム〜 (2007/07/26)

 発売から1ヶ月も経過してしまったが、新作として本作『ストレンジフォーク』を扱うことにした。
 というのも、8年振りの待望のアルバムだし、バンドが停止してからの復活作だし、メンバー・チェンジはあったし……と、さまざまに思いが募るのだ。そして、その「待望」に似合った傑作を、クーラ・シェイカーはリリースしてくれたのだ。
 本作を聴くにあたっては、まず歌詞を読んでみるといい。非常にポジティヴなものが多く、喩え死が前提であっても「君の為なら死ねる」(ダイ・フォー・ラヴ)とか、とかく「生命の喜び」を感じることだろう。そのうえで独裁者を嘲笑ったり、ブリティッシュな趣も無論漂っている。しかし、バンドはレコーディングが難航し、肉親を失うなどの哀しみもあったそうだ。それだからこそなのか? おおよその歌詞がポジティヴなのだ。それでいて「愛」を語っているものが多い。
 内容はというと、セカンド『ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ』のような難解さはなくなり、ファースト『K』のようなグルーヴィな曲調が約半分を占めている。無論アコースティックなナンバーもあり、ひねくれていながらポップな、ストレンジなフォーク・ロック風味を味わうことができる。そのうえで復活シングルでは余り感じられなかったインド風味も(若干だが)加わっており、それでいてサイケデリック。特に交代したキーボーディストの音色がサイケだ。そしてまるでセカンドのように、本作には隠しトラックまで入っている。日本盤ボーナス・トラックを含めると15曲もの曲数である。
 曲調は、全体的にソリッドで小気味よい。中にはミステリアスな曲や、アコースティックな曲もある。小曲集のような趣が強く、復活シングルで感じ取られた「バンドの進む道」が実現された感じだ。だが中には5〜6分の曲もあり、どこか筋の通った仕上がりになっている。中でも壮大なブラスとインド・コーラスの加わった「ソング・オヴ・ラヴ/ナラヤーナ」は特筆すべきだろう。
 しかし何より、キーボーディストになったハリー・ブロードベンドの活躍がめざましい。前任のジェイ・ダーリントンはオルガンがメインだったりしたが、このキーボーディストは様々な音色で「曲の醸し出す雰囲気」をよくつかんでいる。そこへきてクリスピアン・ミルズのサイケな歌唱が加わるのだから、たまったものではない。新生クーラ、ここにありといった感じだ。正確無比なギター・ストロークも健在。早くから老成していただけに「若返った」感が強い。それだけ音の主張が強く、一音一音がソリッドに刺さるのだ。
 思えば、「クリスピアン=クーラ」あるいは「クリスピアン=ザ・ジーヴァズ」といった傾向が強く、彼の魅力に偏りがちだったものだが、ここへきてバンドがまとまった感がある。長いブランクは無駄ではなかったのだ。
 クーラの本格的な復活に、喝采を送りたい。
 手短ながら、これが私からのクーラへのメッセージである。


STRANGEFOLK ストレンジフォーク
1. Out On The Highway アウト・オン・ザ・ハイウェイ
2. Second Sight セカンド・サイト
3. Die For Love ダイ・フォー・ラヴ
4. Great Dictator (Of The Free World) グレイト・ディクテイター(オヴ・ザ・フリー・ワールド)
5. Strangefolk ストレンジフォーク
6. Song Of Love / Narayana ソング・オヴ・ラヴ/ナラヤーナ
7. Shadowlands シャドウランズ
8. Fool That I Am フール・ザット・アイ・アム
9. Hurricane Season ハリケーン・シーズン
10. Ol' Jack Tar オール・ジャック・ター
11. 6ft Down Blues シックス・フィート・ダウン・ブルーズ
12. Dr Kitt ドクター・キット
<日本盤ボーナス・トラック>
13. Super CB Operator スーパー・CD・オペレイター
14. Wannabe Famous ウォナビー・フェイマス
<隠しトラック>
15. Persephone ペルセポネ

(EICP 764)