ウェットン/ダウンズ
『ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ〜アイコン・ライヴ!』
(第1稿)〜オリジナル・エイジア復興に先駆けて〜 (2006/09/21)

「ジョン・ウェットン+ジェフ・ダウンズ=エイジア」。
それは正解でもあり、不正解でもある。なぜなら、「ウェットン/ダウンズ」名義にて初のライヴ・アルバムが発表され、両者の「ユニット」が実在することを証明したからだ。
しかしながら、やはり「ウェットン+ダウンズ=エイジア」という式はやはり、正解でもある。その証拠に、このアルバムにはエイジアのヒット・ナンバーが何曲も収録されており(中には「デイズ・ライク・ジーズ」のような嬉しい選曲も!)、きたるべき来日を控えた「オリジナル・エイジア」の肩慣らしをしているからだ。
ウェットンの声は、酷かった一時期に比べてだいぶ安定している。ダウンズのキーボードさばきも冴えまくっている。これでエイジアの曲から、ウェットン/ダウンズの曲まで聴けるというのだから、一枚でふたつの楽しみ方ができる盤だ。
そのうえ、本作にはまだ見逃せないポイントがある。元アバのアグネタ・フォルツコグに作曲提供した「ウィー・ムーヴ・アズ・ワン」がソングタイターであるふたりの声と指によって「オリジナル」演奏されているのだ。「ウィー・ムーヴ・アズ・ワン」はアルバム『ウェットン/ダウンズ』の収録曲のなかで最もエイジア的で、ふたりのポップ・センスが如何なく発揮された曲でもある。それがウェットンの歌声によって再現されるというのだから、ファン冥利に尽きるといったところだろう。実際、ライヴの中腹にあつらわれたそれは「聴いてほしい」と語っているかのようだ。
エイジア、またはウェットン/ダウンズの曲はアルバムの再現につとめているが、なかには「オープン・ユア・アイズ」のような長尺のギター・ソロが設けられた曲もある。バック・バンドはおなじみのジョン・ミッチェル(G)とスティーヴ・クリスティー(DS)なので、聴いていて安心、または興奮するものだ。ことミッチェルのギターはスティーヴ・ハウを意識したものになっているので、ますます「エイジア感」が強まる。
ウェットンの『ロック・オヴ・フェイス』で再びタッグを組み、『アイコン』でガッチリと結合、『アイコン・アコースティック・ライヴ』でアコースティックでのエイジア、ウェットン/ダウンズ再現を果たしたふたり。エイジア3作から『ロック・オヴ・フェイス』、『アイコン』といったアルバムからの選曲にも自信が垣間見える。テクニカルでありながら、叙情的。ダウンズのキーボード・ソロ(「ボレロ」)という「お約束」も忘れない。まるで一時期の、エイジアのライヴを聴いているかのようだ。
しかしながら、本作は「ウェットン/ダウンズ」の作品。主役はこのふたり。それを否が応でも感じさせるライヴになっている。「声」と「鍵盤」が主役なのだ。現に、『アイコン』収録曲をよく聴くといい。そのポップ・センスと再現力に拍手喝采したくなることだろう。聞けば『アイコン』の続編的存在となる『ルビコン』というアルバムも準備されているとのことで、このコンビのますますの活躍を期待してしまう。
オリジナル・エイジア来日も楽しみだ!
(第2稿)〜良くも悪くも「肩慣らし」〜 (2006/10/23)
……と、まるで絶賛するかのような第1稿を書き上げてしまったが、このアルバムは「絶賛」はできない。
良い意味でも、悪い意味でも、復活したオリジナル・エイジアへの布石であり、肩慣らしであるのだ。それは全16曲中8曲、つまり半分がエイジア・ナンバーであり、ギターもドラムもエイジアを意識したプレイであることからも窺い知れる。サブ・タイトル(ジャケットや背オビでは主題扱い)にある『アイコン・ライヴ!』という文字はたった数曲でしか実現していない。『アイコン』発表後のライヴだというのに、『アイコン』からのナンバーが少な過ぎるのだ。「ウェットン/ダウンズ=エイジア」という公式を当て嵌めるには優良な盤だが、『アイコン・ライヴ!』となると疑問が湧く。『ウェットン・ライヴ!』であれば納得もいくのだが。
ウェットンの声に張りが戻ったとは言っても、音質もさほど良好ではない。オフィシャル盤なので雑音などはないが、少しばかり音質が「お風呂気味」なのだ。ステレオ感にも乏しく、聴いていて音の焦点が合わず、重厚さに欠ける。
やはり、エイジアの曲はエイジアでないと再現はできないのだ。エイジア・ナンバーの完全再現は現在活躍中のオリジナル・エイジアがライヴ盤をリリースしてくれることを望むしかない。
しかし、それらを差し引いてでも「ウィー・ムーヴ・アズ・ワン」の収録には意義がある。それも事実だ。
ファンなら買い、このコンビをちょっと知っている程度なら買い控え、が正当な評価かも知れない。
星5つ中、星3つ。そのぐらいが妥当な評価だろうか。
| NEVER IN A MILLION YEARS 〜 ICON LIVE | ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ〜アイコン・ライヴ! | |
| 1. | Pane Bruno | ペイン・ブルーノ |
| 2. | The Heat Goes On | ザ・ヒート・ゴーズ・オン |
| 3. | Only Time Will Tell | 時へのロマン |
| 4. | Voice Of America | ヴォイス・オブ・アメリカ |
| 5. | I Lay Down | アイ・レイ・ダウン |
| 6. | Days Like These | デイズ・ライク・ジーズ |
| 7. | Bolero | ボレロ |
| 8. | Meet Me At Midnight | ミート・ミー・アット・ミッドナイト |
| 9. | Never In A Million Years | ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ |
| 10. | We Move As One | ウィー・ムーヴ・アズ・ワン |
| 11. | Paradox | パラドックス |
| 12. | Let Me Go | レット・ミー・ゴー |
| 13. | Don't Cry | ドント・クライ |
| 14. | Open Your Eyes | オープン・ユア・アイズ |
| 15. | The Smile Has Left Your Eyes | 偽りの微笑み |
| <日本盤ボーナス・トラック> | ||
| 16. | Hey Josephine | ヘイ・ジョセフィーヌ |
(MICP-10613)