ウェットン/ダウンズ
『アイコン』

〜ウェットン/ダウンズ=「あの頃」のエイジア〜 (2004/05/28)

 聴けば聴くほど味が滲み出る作品、というものがある。
「ウェットン/ダウンズ」名義では2作目にして1srアルバム(前作『ウェットン/ダウンズ』はデモ録音集)となる本作も、そのひとつだ。
 そもそも、このふたりが組むということは、即ち「あの頃」のエイジア復興を夢見させるものだった。然るに本作は、オールド・エイジアを夢見てやまない熱心なファンの溜飲を下げる仕上がりとなった。
 まず、ウェットンの声に普段よりもずっとハリがある。続いて、ダウンズの控えめで積極的なキーボード・プレイには華がある。さらには、ギタリストとドラマーはウェットン・バンドの士であるからして、気心が知れている。この4人が「あの頃」のエイジアを意識して楽曲を製作している、と思うと何だか微笑ましい。近年はライヴ盤の乱造がひどかったウェットンだが、ここへきてようやく腰を落ち着かせることができたようだ。
 私が本作をオールド・エイジアの復興だと言うのには、れっきとした証拠がある。それが日本盤ボーナス・トラックの「ヒート・オブ・ザ・モーメント」の2005年ヴァージョンだ。この曲を再録音したのはその場のノリか計画的なものかは判りかねるが、ともかくも、この録音をして「ウェットン/ダウンズ=エイジア」である、という図式を作っている。もちろん、他の曲もエイジアを想起させるフレーズなどはしばしばある。
 しかし、そんなに肩肘張らなくとも、本作は充分に楽しめる優秀なポップ・アルバムとなっている。ミドル・テンポを基軸とした曲作りには落ち着いた「大人のロック」を味わわせてくれるし、盟友イアン・マクドナルド、リチャード・パーマー・ジェイムス、そしてアニー・ハズラムの参加も素朴な花を咲かせてくれているようで嬉しい。
 本作リリースにあわせた来日公演も予定されているという。しかもDVDリリースを前提に、だ。これは今後もしばらくは目が離せそうにない、
 いまだ夢みる人々に、ウェットン/ダウンズは希望を与えてくれた。ジョン・ペイン主導で落ち着いているエイジアの復興までは望めないだろうが(オールド・エイジア復興を否定するかのようにペイン・エイジアも新作をリリースしている)、とにもかくにも一抹の夢を与えてくれた。それだけでも、このユニットには充分な存在価値があるというものだ。
 願わくば、この名義でのリリースをもっと……と思ってしまうのは、私がオールド・エイジアのファンだからこそであり、また、優秀なコンビの采配を期待するからだ。
 来日が楽しみだ!


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1. OVERTURE: Paradox - Let Me Go オーヴァーチュア:パラドックス〜レット・ミー・ゴー
2. God Walks With Us ゴッド・ウォークス・ウィズ・アス
3. I Stand Alone アイ・スタンド・アローン
4. Meet Me At Midnight ミート・ミー・アット・ミッドナイト
5. Hey Josephine ヘイ・ジョセフィーヌ
6. Far Away ファー・アウェイ
7. Please Change Your Mind プリーズ・チェンジ・ユア・マインド
8. Sleep Angel スリープ・エンジェル
9. Spread Your Wings スプレッド・ユア・ウィングス
10. In The End イン・ジ・エンド
<日本盤ボーナス・トラック>
11. Heat Of The Moment (2005) ヒート・オブ・ザ・モーメント(2005ヴァージョン)

(MICP-10481)