world's end girlfriend
『The Lie Lay Land』

〜嘘吐き王国jの世界〜 (2004/05/28)

 順調にリリースを重ねてきたworld's end girlfriend(以下WEG)だが、前作『dreams end come true』は長尺曲がたった4曲という、実に実験的なアルバムだった。七尾旅人の朗読参加も話題となったことは記憶に新しい。だがここで、WEGは実験的な方向を押し進めるのではなく、本来の作風に回帰した――即ち、小曲で紡がれた水彩画のスケッチ。それぞれが強固に絡み合っている油彩ではなく、パーツ・パーツがはっきりとした水彩画。
 してみると、聴後感は2nd『Farewell Kingdom』に近い。小さなピースが絡み合い、70分超もの大作に仕上がっている。「yes」のようなアルバムのカラーを強く示す楽曲こそないものの(いや、ないわけではない)、魅力的なソングライティングは健在だ。
 そこへきて、このタイトルはどうだ? 「嘘吐き王国」とでも訳せそうなそれは、今回のWEGの作風を示している。すべてが嘘で偽りだったんだよ、と言われたら「ああ、そうなのか」と納得せざるを得ない、奇妙な説得力に満ちている。
 楽曲はドリーミーで、浮遊感あふれるものが中心となっている。しかし今まで以上に生楽器を導入した音作りはどこかアーシーで、地に足が付いた感がある。その実幻想的な/幻惑的な/時には狂騒的な音が全体を支配している。しかし、それも嘘だ。WEGはこのアルバムで吐けるだけの嘘を吐いているのだ。
 さあ、騙されてみよう。
 リスナーはまず、トライバルなドラムで耳を塞ぐ。その後にゆるやかな楽曲が始まったと思えば、また狂騒的な響きが待っている。そしてまた静寂。本作は、その繰り返しによって形成されている。嘘と本当が入り混じり、すべてが嘘に包まれている。そして嘘は、同時に真実にも成り得る。
 WEGのリスナーには音響派が多いが、そうでなくとも本作は静かな感動を呼び起こしてくれる。希望と嘘と真実にまみれたWEGの世界。味わってみるなら、今だ。


The Lie Lay Land
1. Phantasmagoria Moth Gate
2. We are the masacre
3. Satan Veldo Children
4. Garden in the Ceiling
5. the owl of windward
6. Scorpius Circus
7. song semetery
8. Give me shadow, put on my crown
9. Black Hole Bird
10. Unspoiled Monster

(CXCA-1160)