パイオニア DVR−530H   定価\オープン (2005年5月発売、使用期間06年1月〜06年8月)


 バランス良い作り込みが光るHDD/DVDレコーダー

正面



    主な特徴

1.200GBのHDD搭載、2層DVD−Rに録画可能、RAM・+R・+RWも再生可能
2.15Mbpsで録画するXP+モード、2パスエンコードダビング
3.東大と共同開発したGUI、使い方をアシストする「気がきくナビ」
4.登録語に近い番組までカバー「気がきく! 録画辞典」、野球延長・連ドラ延長対応など



    画 質   ★★★★

 本機ではDVDの規格を超える15MbpsでHDDに録画することができる
 「XP+モード」が録画モードに加わった。その映像は際めて安定している。
 ブロックノイズや解像度低下などは見られず、オンエアとの区別はほとんどつかない。
 15MbpsのCBRかと思ったら、ビットレート表示をさせると
 11Mbps程度まで下がることもあり、どうやらVBRのようだ。
 10MbpsのXPモードでも落差は若干の範囲にとどまる。
 200GBのHDDであればXP+モードを使っても30時間程度は録画できる
 ことから、普段はXP+モードを常用している。
 
 XP+モードからのDVDダビングは全てレート変換が必要となり、
 自動的に2パスエンコードが適用される。
 その画質は確かなもので、従来ではブロックノイズが出たりして
 厳しかったビットレートでも踏ん張るようになる。
 具体的には、MN27(約7.0Mbps)程度の画質がMN24(約6.0Mbps)でも
 維持されているという感覚だ。9Mbpsから3Mbpsの間をダイナミックに
 変動していて、場面毎に適応している様子がうかがえる。これは格闘技ソース。

 本機はビデオモードであれば3.5時間までフルD1解像度が維持される。
 バラエティ番組をソースに、3時間となるMN15モードを使って、
 2パスエンコードにてダビングしてみた。ビットレートが下がるのに
 解像度を高く保っていると、動きに対するノイズが増えることになるはずだが、
 予想以上に少なく、使えるレベル。ビットレートを見ると2Mbps後半から
 5Mbps以上の間を忙しく行き来し、瞬間では1Mbps後半から10Mbps(!)まで出現した。
 VRモードでも170分までフルD1、210分まで3/4D1、240分まで2/3D1と、
 従来機種に比べ大幅に解像度が伸びている。
 
 プログレッシブの再生品位。これが、良い。
 2−3プルダウンのシネマ素材が良いのは当然として、ビデオ素材も良い。
 解像度が低下してしまうこともなく、スダレ状に走査線が見えてしまうこともない。
 画質調整で「プログレモーション」という項目があり、I/P変換の動画寄り、
 静止画寄りを調整できるのがマニアック。だがデフォルト値で不満はなかった。


    音 質   ★★★

 「LPCM」という録画モードがあり、この時のみリニアPCM記録となり、
 後は全てドルビーデジタル記録となるようだ。
 ドルデジ音声も、おおむね問題ない音質を持っているが、
 バラエティを3時間モードで記録した時の音声は少し割れたような音で、
 やや圧縮歪が感じられた。映像記録モードによって音声記録のビットレートも
 変えているのかもしれない。


    使い勝手   ★★★★

 再生時は1.5倍速早見が可能。音声もキーが上がったり途切れたりすることもなく
 ついてくる。かなり使える1.5倍速再生だ。
 CMスキップも押す度に30秒、1分、1分30秒、2分、3分、5分、10分と
 かなり実用的なステップに変更されている。番組がモノラルの時は
 ステレオCMを自動でスキップしてくれる。
 CMバックが新設され、押す度に5秒、15秒、30秒、1分、2分、3分戻る
 ことができる。CM飛ばしで行き過ぎた時や、決定的シーンを
 もう一度見返したい時に重宝する。

 EPGはGガイドを利用するもので、画面の1/3が広告スペースになっている。
 番組表は基本的に欄が1列しかなく、同時間帯の裏番組表示か、
 今見ているチャンネルの番組表しか表示できない。
 つまり新聞欄のような、チャンネル・時間の両方にまたがった表示ができない。
 そのため、視認性は低いと感じる。

 「気がきく!録画辞典」で、自分が興味がある番組を検索することができる。
 「温泉」と入れたら「露天風呂」がある番組までヒットするようになる。
 その拡張の程度も「小辞典」「中辞典」「大辞典」と3段階が選べる。
 
 通常の予約録画でも、毎週更新録画、毎週録画を1回だけ休む「一回休止」、
 野球延長対応、最終回だけ長くなる番組なども自動対応、など懐が深い。
 
 「気がきくナビ」ボタンを押すと、操作方法が表示される。
 またダビング後に「ファイナライズしますか?」と聞いてきたり、
 HDD残量が少なくなると教えてくれるなど、自動表示されることもある。
 
 待機時に本体表示管をOFFにすれば消費電力は0.38W。
 環境負荷が非常に低い製品となっていることは評価したい。
 
 CDをHDDにドルビーデジタルで取り込んで聴くことができるが、使っていない。


    編集・ダビング   ★★★★★

 チャプターを付けて分割した後に不要なシーンを消去、という作業が
 非常にスムースになっている。従来は分割作業が終わったら一旦「終了」してから
 「消去」を選んでいたが、今回より直接次の作業に移れるようになった。
 分割する時も、通常再生時と同じくCMスキップなどが使えるので、
 シーンを探し出したり編集ポイントを指定するのが楽である。
 
 タイトル名入力は携帯電話方式。標準的な使い勝手と言えるだろう。
 
 本モデルより対応した2層DVD−Rは、まだ試していない。


    デザイン   ★★

 コストダウンの波を感じざるを得ない。本体の質感は低い。
 ディスクトレイも薄いプラスチック、開閉時もやかましい音。
 パソコンのドライブがそのまま乗っかっています、という感じが丸出し。
 AV機器なんだから、パソコンと一緒にしないで欲しい。
 まあ、実際安い商品だから安っぽいのは価格相応ということなのかな。


    総 評   ★★★★

 まずは画質がかなりアップしていることが嬉しい。
 長時間まで解像度を保ちつつ十分使える画質を確保している。
 プログレッシブ画質も良く、シネマ/ビデオ素材に関わらず
 プロジェクターにそのままD2出力で接続している。
 普段の再生もCMスキップ、CMバック、早見再生で非常に快適。
 編集などの操作もサクサク進む。
 随所に改善が加えられ、正統に進化した製品と言ってよいだろう。






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