<デジタルチューナー搭載HDD/DVDレコーダー>


  SHARP DV−HRD20   定価\オープン (2004年3月発売、使用期間2004年9月〜2005年6月)

 地上/BS/CSデジタルチューナー搭載のHDD/DVDレコーダー!


●主な特徴

 1.地上/BS/CSデジタルチューナー搭載
 2.HDD容量は250GB、ハイビジョンを21時間録画可能
 3.EPG搭載でかんたん録画、i−LINK&DV端子搭載



― 画質・音質 ★★★★ ―

地上デジタル、BSデジタルのハイビジョン映像はさすがに素晴らしい。
高精細と鮮やかな色が同居した、高密度映像が楽しめる。
スルー映像と、HDDに録画して再生した映像とでは差は分からない。
まあデジタルのストリームを録画・再生しているのだから当然か。

本機ではデジタル録画したものはDVD−RWにVRモードでムーブできる。
ハロプロのライブ、プロレスなどを最高レートのFINEモードでムーブした。
まず28インチのブラウン管で視聴したが、ハイビジョンの高精細映像の雰囲気を
良く残している。ハイビジョンに肉薄する高画質ぶりと言っていい。
ブロック歪や画像の荒れなどはほとんど分からず、不満は感じない。
FINEだと60分しか録画できないが、クオリティの高さを見れば納得だ。
SPモードにすると、動きにもっさり感が出てくる。
止まっていれば良いが、少し動くと途端にボケる。止まるとまたしゃっきりする。
少し動きが激しくなると、荒れも分かるようになる。
ハイビジョンのダウンコンバート用としては、SPは少々物足りない。

続いて液晶プロジェクターで80インチに拡大して視聴した。
さすがにハイビジョンのとの落差が分かるようになる。
D1の720×480画素を液晶パネルの1280×720画素に拡大する処理が
入る分だけ、どうしてもボケてしまう。また、拡大することによって
動画部の荒れや、輪郭にまとわりつくモスキートノイズやが目に付くようになる。
ただ、ハイビジョンとDVDとでは器が違うわけで、比較するのは酷というもの。
逆に、地上波をエアチェックしたものと比べれば、本機でデジタル放送から落とした
方が、ゴーストレスで、解像度が伸びていて、コントラスト感が高い
段違いの高画質DVDが作れる
、とお伝えしよう。

外部入力を使って、VHSビデオからの映像を録画してみた。
ノイズを抑えた、まずまずの画質でダビングできているという印象だった。

NTSCのプログレッシブ化はどうだろう。
まず映画DVDでは、字幕のスダレや動きに不自然な感じはなく満足する画質。
ビデオ素材のプログレッシブ化は、映像が甘くならないが動きで不自然な挙動と
なるタイプだ。液晶プロジェクターだと少しボケが入るので分かりにくいが、
ブラウン管で見ると走査線がダブついたりして見にくい。

最後に音質だが、AACによる5.1chはドルビーデジタルと同じような
感じで、移動感、ダイナミックレンジ感、基本音質とも不満はない。
DVDにダビングした際のドルデジ音質も、圧縮臭さはほとんど感じない。

― ダビング ★★ ―

プレイリストを作ってのダビングの他、オリジナル素材を直接編集して
ダビングすることもできる。から〜までを指定するタイプの「シーン消去」と、
チャプター分割した後に不要なチャプターを消去するチャプター単位の編集が可能だ。
直前の1回の操作を無効にするUNDO機能などもある。

編集作業は、正直やりにくい。サーチのレスポンスが悪く、
目的の場面を見つけるのがしんどい。ボタンに対するレスポンスも悪い。
シーンの切り換わりを決める時によく使うスロー再生も、正方向のみ。
逆方向も欲しかった。チャプター分割して不要な場面をカットする際に、
シーンの冒頭が静止画で表示されるだけなので、不要な場面がどうかが
分かりにくい。チャプターに合わせると動画になる機種の方が良い。
本機で編集を行うなら、簡単な編集にしておいた方が良さそうだ。

コピーワンス素材の場合、プレイリスト編集が不可能で、オリジナル素材を
直接編集してムーブすることになる。これはシャープというよりは
著作権絡みの黒い理由からだろうが、なんとも不便である。

さらに、タイトル入力は携帯電話方式ではなく、特殊な画面キーボード方式。
非常に入力がしにくい。これではタイトル入力をしなくなってしまいそうだ。

なお、ダビング予約という機能があり、例えば使用しない深夜の時間帯を
利用してダビングをするというもの。ハイビジョンをDVDにムーブする場合は
強制的にレート変換ダビングとなるため一切の操作を受け付けず、
等速ダビングとなる。2時間ものなどをダビングする場合は便利だろう。

― デザイン ★★★ ―


<録画時の液晶部>
 同社の液晶テレビ「アクオス」と統一性の
 あるデザインとなっている。
 グレーの色調、サーキュラー加工の
 ボタンが高級感があるが、液晶TVの
 ようなチタンではなく樹脂素材。
 しかし真ん中のボテッとした液晶部が
 なんとも言えずバランスが悪い。

 液晶のバックライトは通常は白、
 録画時はオレンジ、再生時は緑に発光する。
 遠くから見て状態がすぐに分かるのは良いが、
 少々キツイ色合いだ。オフにもできる。

― 操作性等 ★★ ―


<リモコン>
 リモコンだが、左のようにボタン数がハンパないことになっている。
 HDD/DVDレコーダーはただでさえ機能が多く、リモコンのボタン数も多い。
 これに地上/BS/CSデジタルチューナーがドッキングしている訳で、
 致し方ない面もあるのはあるのだが、ボタンが小さく押しにくい、
 配置もただ並べたという感があり、もう一工夫欲しかったところ。
 
 録画番組を視聴中に録画済みリストボタンを押すと、
 「ライブ映像に切り換えてください」という警告が出る。
 つまり一旦停止ボタンを押して、そこから録画リストを呼び出すのだ。
 少々面倒である。
 また録画リストを呼び出してタイトルを消去する時などは
 タイトルを選んで、黄色ボタンを押すと操作ができる。
 十字キーと決定ボタンだけで操作ができるべきだ。
 
 本体の液晶部に表示される情報が非常に少ない。
 3桁のチャンネルと、「地上D」「BS」という情報のみ。
 3桁分しかないから、再生時の「PLAY」ですらスクロールしないと表示できない。
 当然ながらカウンタも分からない。そのくせリモコンのカウンタ呼び出しボタンが
 カバー内に設けられており、強い不便を感じる。
 
 再生時のサーチ速度は3段階で、切換はぎこちない。
 最速のサーチ3でもちょっと遅い気がする。
 そしてサーチ時にも本体のカウンタ表示がないため、
 どのくらいサーチしているのかを把握することができない。

― その他 ★★★ ―

EPGは横スクロール方式。操作レスポンスなどは良い。
流行の番組検索などは搭載していない。
番組予約はEPGからの他、Gコード予約、新聞欄をつぶす感じの
かんたん予約の3種類を使える。
タイムシフト視聴機能があり、要は放送を勝手にHDDに録画しておく機能で、
番組視聴中に一時停止して続きから再生できたり、早戻し再生が
できたりする。プールする時間を30・60・90分から選べる。

D−VHSを接続すれば、エアチェックした番組をD−VHSにムーブできる。
ハイビジョンライブラリを作りたい方には便利だろう。

電源オンは20秒程度だろうか。やや長めという感じだ。
DVDトレーに入っているディスクを取り出すのだけでも、
結構待たなければならないのは面倒だ。
ファン音は小さめ。耳につく感じはしない。

本機は筐体が小さく、奥行きは26cmしかない。
ただしその分電源部が外付けとなっており、専用のDC端子で
本体に電源が供給される形となっている。おそらく液晶TV用の
奥行きが小さいラックにも収まるようにという設計なのだろう。
私としてはどちらでもよいのだが。

― 総評 ★★★ ―

デジタルチューナーを搭載し、一体完結でハイビジョンのエアチェックができ、
保存はDVDにムーブで対応する、という商品は本機が唯一である。
(間もなく日立が発売する予定である)
一体型なので結線不要、i−LINKの相性などもなく、安定してハイビジョン放送を
エアチェックできるのはありがたい。ハイビジョンの高画質を存分に楽しめることに加え、
DVDへムーブした映像も地上波をエアチェックしたものよりも高画質だ。


「デジタルチューナー一体型DVDレコーダー」という商品を先駆けて発売した
ことは評価できる。しかしいずれ他社から競合機が登場するだろう。
そうなった時に、HDD/DVDハイブリッドレコーダーとしての本機のダビング画質、
操作性などでアドバンテージがあるかと言えば、否定的にならざるを得ない。




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