<デジタルチューナー搭載HDD/DVDレコーダー>
|
― 画質・音質 ★★★★ ―地上デジタル、BSデジタルのハイビジョン映像はさすがに素晴らしい。高精細と鮮やかな色が同居した、高密度映像が楽しめる。 スルー映像と、HDDに録画して再生した映像とでは差は分からない。 まあデジタルのストリームを録画・再生しているのだから当然か。 本機ではデジタル録画したものはDVD−RWにVRモードでムーブできる。 ハロプロのライブ、プロレスなどを最高レートのFINEモードでムーブした。 まず28インチのブラウン管で視聴したが、ハイビジョンの高精細映像の雰囲気を 良く残している。ハイビジョンに肉薄する高画質ぶりと言っていい。 ブロック歪や画像の荒れなどはほとんど分からず、不満は感じない。 FINEだと60分しか録画できないが、クオリティの高さを見れば納得だ。 SPモードにすると、動きにもっさり感が出てくる。 止まっていれば良いが、少し動くと途端にボケる。止まるとまたしゃっきりする。 少し動きが激しくなると、荒れも分かるようになる。 ハイビジョンのダウンコンバート用としては、SPは少々物足りない。 続いて液晶プロジェクターで80インチに拡大して視聴した。 さすがにハイビジョンのとの落差が分かるようになる。 D1の720×480画素を液晶パネルの1280×720画素に拡大する処理が 入る分だけ、どうしてもボケてしまう。また、拡大することによって 動画部の荒れや、輪郭にまとわりつくモスキートノイズやが目に付くようになる。 ただ、ハイビジョンとDVDとでは器が違うわけで、比較するのは酷というもの。 逆に、地上波をエアチェックしたものと比べれば、本機でデジタル放送から落とした 方が、ゴーストレスで、解像度が伸びていて、コントラスト感が高い 段違いの高画質DVDが作れる、とお伝えしよう。 外部入力を使って、VHSビデオからの映像を録画してみた。 ノイズを抑えた、まずまずの画質でダビングできているという印象だった。 NTSCのプログレッシブ化はどうだろう。 まず映画DVDでは、字幕のスダレや動きに不自然な感じはなく満足する画質。 ビデオ素材のプログレッシブ化は、映像が甘くならないが動きで不自然な挙動と なるタイプだ。液晶プロジェクターだと少しボケが入るので分かりにくいが、 ブラウン管で見ると走査線がダブついたりして見にくい。 最後に音質だが、AACによる5.1chはドルビーデジタルと同じような 感じで、移動感、ダイナミックレンジ感、基本音質とも不満はない。 DVDにダビングした際のドルデジ音質も、圧縮臭さはほとんど感じない。 ― ダビング ★★ ―プレイリストを作ってのダビングの他、オリジナル素材を直接編集してダビングすることもできる。から〜までを指定するタイプの「シーン消去」と、 チャプター分割した後に不要なチャプターを消去するチャプター単位の編集が可能だ。 直前の1回の操作を無効にするUNDO機能などもある。 編集作業は、正直やりにくい。サーチのレスポンスが悪く、 目的の場面を見つけるのがしんどい。ボタンに対するレスポンスも悪い。 シーンの切り換わりを決める時によく使うスロー再生も、正方向のみ。 逆方向も欲しかった。チャプター分割して不要な場面をカットする際に、 シーンの冒頭が静止画で表示されるだけなので、不要な場面がどうかが 分かりにくい。チャプターに合わせると動画になる機種の方が良い。 本機で編集を行うなら、簡単な編集にしておいた方が良さそうだ。 コピーワンス素材の場合、プレイリスト編集が不可能で、オリジナル素材を 直接編集してムーブすることになる。これはシャープというよりは 著作権絡みの黒い理由からだろうが、なんとも不便である。 さらに、タイトル入力は携帯電話方式ではなく、特殊な画面キーボード方式。 非常に入力がしにくい。これではタイトル入力をしなくなってしまいそうだ。 なお、ダビング予約という機能があり、例えば使用しない深夜の時間帯を 利用してダビングをするというもの。ハイビジョンをDVDにムーブする場合は 強制的にレート変換ダビングとなるため一切の操作を受け付けず、 等速ダビングとなる。2時間ものなどをダビングする場合は便利だろう。 ― デザイン ★★★ ―
― 操作性等 ★★ ―
― その他 ★★★ ―EPGは横スクロール方式。操作レスポンスなどは良い。流行の番組検索などは搭載していない。 番組予約はEPGからの他、Gコード予約、新聞欄をつぶす感じの かんたん予約の3種類を使える。 タイムシフト視聴機能があり、要は放送を勝手にHDDに録画しておく機能で、 番組視聴中に一時停止して続きから再生できたり、早戻し再生が できたりする。プールする時間を30・60・90分から選べる。 D−VHSを接続すれば、エアチェックした番組をD−VHSにムーブできる。 ハイビジョンライブラリを作りたい方には便利だろう。 電源オンは20秒程度だろうか。やや長めという感じだ。 DVDトレーに入っているディスクを取り出すのだけでも、 結構待たなければならないのは面倒だ。 ファン音は小さめ。耳につく感じはしない。 本機は筐体が小さく、奥行きは26cmしかない。 ただしその分電源部が外付けとなっており、専用のDC端子で 本体に電源が供給される形となっている。おそらく液晶TV用の 奥行きが小さいラックにも収まるようにという設計なのだろう。 私としてはどちらでもよいのだが。 ― 総評 ★★★★ ―デジタルチューナーを搭載し、一体完結でハイビジョンのエアチェックができ、保存はDVDにムーブで対応する、という商品は本機が唯一である。 (間もなく日立が発売する予定である) 一体型なので結線不要、i−LINKの相性などもなく、安定してハイビジョン放送を エアチェックできるのはありがたい。ハイビジョンの高画質を存分に楽しめることに加え、 DVDへムーブした映像も地上波をエアチェックしたものよりも高画質だ。 「デジタルチューナー一体型DVDレコーダー」という商品を先駆けて発売した ことは評価できる。しかしいずれ他社から競合機が登場するだろう。 そうなった時に、HDD/DVDハイブリッドレコーダーとしての本機のダビング画質、 操作性などでアドバンテージがあるかと言えば、否定的にならざるを得ない。 |