エディがAV(オーディオ・ビジュアル)やホームシアターに関して熱く語る


CEATEC2007所感(ディスプレイ編)

(2007.10.12)


 CEATEC2007に行ってきた。
 プラズマ、液晶というディスプレイ機器を
 中心に個人的な感想を述べてみる。



    パイオニア「KURO」を見た

 CEATECに行ってまず見たかったのが「KURO」。
 黒、黒って騒いでるけど、どんだけ黒いのよ。
 これは予約券をGETしてシアターで本腰視聴した。

PIONEER
PDP-5010HD

(売価 600,000円前後)

コントラスト20000:1を誇るパイオニア・プラズマ最後の切り札。「KURO」ブランドでプロモーション

 うむ、これは黒い。ビクターの「DLA−HD1」を初めて見た時の感動が蘇る。
 発色が鮮やかで、花火の映像は真っ黒なキャンバスに多くの色彩が展開される。
 文句なくきれいだと感じる。コントラストの改善というのは、やはり効く。
 シーンによって、単板DLPのような色割れがかなり見えるのが気になった。
 プラズマは液晶のようなホールド型素子ではないため、
 明るいシーンではブラウン管のようなちらつきも見える。
 ただそれも些細なことかな、と感じるほどに、
 このKUROのコントラストの高さ、黒表現は魅力的だと感じた。
 
 明るい部屋で見る時の映り込み対策も、パイオニアはナチュラルな見え方の
 前面フィルターを使って十分な効果を出しており、
 基本画質でも家庭画質でも、お薦めするならパイオニア!
 と断言して良いと思う。
 
 問題は価格である。50型フルHDで60万円。
 松下の50型フルHDが33万円程度だから、2倍に達しようかという値段だ。
 後述する松下モデルと比較して、2倍近くの対価を払う価値があるか?
 と問われたら、ほとんどの人は松下を選ぶだろう。
 逆にパイオニアはそこまで腹を据えての戦略に打って出た、
 ということなのかもしれない。
 
 それと、だいぶ横長の外観はいささかアンバランスかと思える。
 ただ、両サイドのスピーカーは取り外し可能なので、
 モニターだけで使用し付属スピーカーは離れてスタンド設置にする
 といった使い方ができる。



    パナソニックと比べたらどうなの?

Panasonic
TH-50PZ750SK

(売価 330,000円前後)

コントラスト10000:1の新パネルを搭載したプラズマの雄・松下の売れ筋50型モデル

 パイオニアのKUROを見て感動した後に松下ブースで見たが、
 どっこいこちらも黒い!と驚いた。夜景の映像は黒が沈み鮮やかに見えた。
 パイオニアと同一ソースで横並び比較しないと差が分からない。

 だが、映り込み低減のための前面フィルタの見え方が気に食わない。
 光を拡散させる特性で、これが画面表面に張り付いたようなノイズに見えるのだ。
 明るいところで見えやすく、これが一旦気になると気になって止まらない。
 壁や空などの単調なところ、人の頬、結構いろいろなところでノイズが見える。
 個人的にはこのフィルタのせいで、買う気は起きない。

 しかし、このネイティブコントラストはパイオニアには若干及ばないにせよ、
 今の液晶では出ないコントラストであることは間違いない。
 フィルタの見え方が気にならない、あるいは目をつぶれるのであれば、
 発売時期が早い関係でパイオニアの約半額という価格になっているから、
 パナソニックを選択してもよいだろう。


 日立のプラズマはパイオニア・松下と比べると大きな差があったように思う。
 最上位機種となる60Vプラズマはコントラスト感がなく、
 黒もかなり浮いてしまって、締まりのない映像。
 映り込み低減の対策をしているものの、パイオニア・松下と比べると
 効果はイマイチ。ランダムノイズが暴れているのも目立つ。
 隣に置かれた日立の液晶テレビがまあきれいに見えること。。。
 
 日立が推進するiVDRも目下日立の孤軍奮闘、専用リムーバルディスクは割高で、
 安価な市販HDDを接続して使える東芝の方が合理的に思える。
 加えて最近はどのメーカーもDVDレコーダーとのリンク機能を充実させており、
 この状況下ではiVDRの普及に拍車がかかりそうにない。
 日立は1.9cmの超薄型32型液晶だけが唯一気を吐いていたという印象だった。




    三菱の“テカテカパネル”液晶テレビ

 液晶テレビの中で注目していたのは、実は三菱の新型である。
 パソコン用液晶モニターでは少なからず採用例がある、
 光沢パネルを家庭用の大画面液晶テレビに採用してきたのだ。

三菱
LCD-H52MZW75

(売価 470,000円程度)

今年の三菱は、液晶テレビとしては異例の光沢パネルを採用し市場に提案してきた。ブランドは「REAL」。46型は38万円程度

 一見して、見事な映り込みに感心。
 映り込みが少ないノングレア液晶、映り込み対策が進んだプラズマを
 見慣れた目には、映り込みが激しいという印象が大きい。
 というか、以前のプラズマやブラウン管もここまで映り込んでいたかなぁ?
 と疑問を抱くほど、本当に見事な映り込みだった。
 大画面になると、黒が締まるという光沢パネルのメリット以上に
 映り込みによる見にくさ、デメリットの方が大きいような気がした。

 担当者に聞くと、このMZWシリーズは最高級シリーズという位置づけとの
 ことだが、これだけの映り込みは好き嫌いの範疇と言えるのだろうか?
 プラズマと比較した時の液晶の長所は、明るいリビングで
 明るい映像が楽しめることであって、逆に部屋を暗くしたときは
 プラズマのコントラストにはかなわない。
 そういう特性を考えると、光沢パネル液晶というコンセプトが少しぼやけて
 しまうような感じがする。



    三菱新型プロジェクターもチェック

三菱
LVP-HC6000

(売価 370,000円程度)

前作「LVP-HC5000」のアイリス応答遅れを改善、ダイナミックコントラスト12000:1

  専用ブースにて視聴した。
  前作で指摘されていたアイリスの応答遅れを改善し、
  ダイナミックコントラストを12000:1に向上させたという。
  まあ、アイリスの応答遅れは昨年の時点で三菱にしか見られない
  現象だったから、そんなのは直って当たり前。
  昨年では、鮮鋭感は三菱が一番良かったという印象だったので、
  アイリスの欠点が補われたのは嬉しい。
  
  最初の映像は「ディープ・ブルー」のBlu-ray版を使っていたが、
  このディスクはハイビジョンとは思えないほど画質が悪いので参考にならず。
  その後の「ファンタスティック・フォー」のBlu-rayで評価するしかなかった。
  
  単体として見れば高画質だ。コントラスト感、鮮鋭感もある。
  ただ「DLA−HD1」と比較すると、黒の黒さが足りない、
  それでいて白ピーク感も足りないなぁという感じだ。
  やはり、アイリスを使ったダイナミックコントラストの数字は
  ほとんど当てにならない。まあそうだ、液晶パネルなんて
  ネイティブコントラストは2000:1くらいしかないもので、
  それをなんとかアイリスで光量制御して時間軸を使って12000:1だのという
  見かけ上の数字を稼ぎ出しているだけなのだ。
  同一画面内で15000:1が出せる「ネイティブコントラスト15000:1」を謳う
  DLA−HD1はやはり特別な存在なのだと再認識した。
  今年のモデルで、ネイティブコントラストの値でHD1に対抗してくる機種が
  登場していないところを見ると、他社はまだネイティブコントラストでは
  HD1に並ぶことができないのかな?と思う。
  
  そんなビクターは今年は「ネイティブコントラスト30000:1」を謳う
  「DLA−HD100」を送り出してきた。
  HD1の上位機種(HD1は併売)でありながら、わずか5万円アップの
  84万円という価格はずいぶんと良心的。
  HD100のパフォーマンスはしっかり視聴した後に報告するとして、
  気になるのは、HD1がソニーの「VPL−VW60」を意識して
  値下げするのでは?という噂があること。
  HD1が40万円台で買えるとなった日にゃあエディさん、逝くしかない?!