エディがAV(オーディオ・ビジュアル)やホームシアターに関して熱く語る


音楽配信サービスを使ってみた

(2007.4.7)


 ふとしたきっかけで、音楽配信サービスを使ってみた。
 その感想と、音楽配信の将来について語ってみた。



    音楽配信を使ってみた

 邦楽はCDを買うときもあるが、TSUTAYAのお世話になることも多い。
 WMA形式でPCに取り込んで、USB−光デジタル変換機を経由して
 アンプに入力して聴いている。WMAもMP3も160kbps以上であれば
 圧縮歪もほとんど分からず、結構な音質で聴ける。

 さて最近TSUATAYAに行ったらお目当てのタイトルがなかったので、
 そう言えばと思い立って、音楽配信サイトからダウンロードをしてみた。
 
Listen Japan

音楽配信サービスを2001年から始めている老舗。1曲200円、アルバムだと2000円が相場

 利用したのは「Listen Japan」。音楽検索サービスから派生した音楽配信サイトだ。
 音楽配信サイトが他にもいくつかあるのは知っているが、業界の全体像が
 現在どうなっているのか、正直言ってあまり分かっていないことは断っておく。
 
 まずは個人情報、クレジットカードの登録を行う。それが済めばすぐに
 音楽をダウンロードできるようになる。
 Listen JapanはWMA形式での配信で、音楽配信の著作権保護に対応した
 Windows Media Player9または10での再生が可能だ。
 逆にそれに対応していないものは再生できないのだろうか、
 iAudioにバンドルされていた再生ソフトではダウンロード曲が
 全く再生できなかった。
 
 ダウンロードにかかった時間は30秒程度だっただろうか。
 まあこの数字は接続環境によるところが大きいだろう。
 ちなみに私は光フレッツなので数十Mbps程度の高速回線である。
 
 ダウンロードしてみて、データレートが128kbpsであることにがっかり。
 ダウンロードした曲は柴田淳の「HIROMI」という曲だったのだが、
 ピアノをバックにしたボーカルの部分などで圧縮歪臭さを感じてしまう。
 これでは安心して聴けない。
 「そもそも音質を気にする人は圧縮ファイル自体聴かないだろ」
 という意見もあるだろう。逆にそういう想定でのサービスだということであれば
 こっちもそれなりの態度で臨みますよ(笑)
 
 200円という値段は、シングルCDのレンタル料金100円〜150円と比べると高い。
 しかも200円は1曲当たりであって、シングルCDには普通は2曲かそれ以上
 曲が収録されているから、それを考えるとさらに割高ということになる。
 “アルバム”という単位で、十数曲をまとめて購入することもでき、
 この場合は2000円程度になる。アルバムのCDを買うよりは安いが、
 レンタル料金の相場300円程度と比べると超割高になっちゃうのである。
 それでいてCDよりも音質が落ちる128kbpsでの配信なら、私にはほとんど用なしだ。
 (曲は良かったので、結局後日柴田淳のアルバムを購入した。)


    音楽配信サービスの未来は・・・

 先ほど、私にとっては音楽配信は用なしと言った。確かに言った。言っちゃった。
 その理由は、
  1.レンタルと比べて価格が高い
  2.音質が悪い
 の2つであった。
 『じゃあ、逆にお聞きしますが、価格が安くて、音質が良ければ、
  当社の音楽配信を使っていただけますか?』

 と質問されたら、私は一体どう答えるだろうかと考えた。
 具体的には価格は1曲100円、192kbpsのWMAファイルとかで音質も良い、
 とすればどうか?それはかなりググッと来るものがある。
 CDをレンタルする機会は減りそうだ。
 
 将来は、音楽は全て音楽配信サイトから入手するようになるのだろうか?
 
 CD屋でCDを探すのは面倒、音楽配信サイトであれば検索ですぐに見つかる。
 CD屋の店頭で試聴して知らないアーティストを発掘するのが楽しみ?
 そんなの音楽配信サイトだって試聴できるぞ。
 そもそもCD屋に行くこと自体が面倒くさい、音楽配信サイトなら
 自宅にいながらにして好きな音楽を聴ける。
 CDもコレクションしたら場所取るだろ?音楽配信サイトならHDDに溜め込む
 だけだから、いくらコレクションしたって場所は取らないぞ。
 
 と、理屈勝負で行くと音楽配信サイトに軍配が上がる。
 ところが、そうやって音楽配信サイトだけを使って、CDという存在がない状況を
 想定してみると、どうもしっくりこない。一体どうしてなのだろうか。
 
 そこには、“実体”というものが存在しないのだ。



    「便利なこと=いいこと」?

 音楽配信サイトからダウンロードしても、確かに音楽は聴ける。
 しかし、曲の存在を確かめることができない。
 CDは“CD”という“モノ”であって、存在を目で見て、触れて確かめることができる。
 しかし音楽ファイルはHDD上にはデジタルデータが存在するが、
 それを目で見て、触れて、ということはできないのである。
 曲だけではなく、購買という行為自体にも実体がない。
 レジに行って、自分で自分の財布から紙幣を取り出して会計したわけではない。
 さらに、聴くときもマウスのクリックで簡単に聴けてしまう。
 ディスクを取り出してプレーヤーのトレイにセットするという行動がない。
 
 自分で歩いてお店に行き、自分で気に入った曲を見つけ、
 自分で自分のお金を支払って購入し、“モノ”を受け取り、
 存在を見て触れて感じ、自分でディスクをセットして聴く。
 この一連の流れには、自らの体を動かした実体験、実物を手に入れた、
 という実体を伴うプロセスがあるからこそ満足感が得られるような気がしてならない。
 
 話が飛躍するかもしれないが、アーティストの存在自体も希薄に感じられてしまう
 ような気もする。実際にお金を払って手に入れ、CDのジャケットを見ながら
 曲に聴き入るからこそ、アーティストの存在をより近く感じ、尊敬するように
 なるのではあるまいか。
 
 「便利なこと=いいこと」とは言い切れない、便利になったからこそ
 失われてしまうものがある、そういう逆説的な状況はしばしば起きるものだが、
 何年後かには音楽は配信サービスで聴く人が増えて、「CDというモノが大事だ」
 というような考えは単なる懐古主義になってしまうのだろうか??