エディがAV(オーディオ・ビジュアル)やホームシアターに関して熱く語る


アンプ想&レコーダー想2006秋

(2006.10.16)


   ソニーの新しいプリメインアンプを土台に、
   アンプのあり方について考えてみる。
   また次世代レコーダーについても一言。





    新しい2チャンネルアンプの登場

SONY TA-FA1200ES
【11月21日発売予定】
(定価 157,500円)

 今年は各社がピュアオーディオ回帰の姿勢を見せている。
 かつてオーディオブームを牽引した団塊世代の退職を当て込んでのことだが、
 ここ何年かはピュアオーディオ製品の選択肢が少ない状況だったので、
 各社が本腰を入れてくれるのは大いに歓迎だ。
 
 私が注目しているのはソニーから久しぶりに出るプリメインアンプ
 「TA-FA1200ES」だ。「TA-FA」「ES」という型番が懐かしい。
 それとともに、ソニーの本気具合を推し量ることができる。
 「S-master」のデジタル増幅や、自動音場補正機能の搭載というだけでも
 従来のプリメインの域を超えているが、
 (あとFL表示管を備えたのもプリメインでは初??)
 さらにデジタル入力を持ち、ドルビーデジタル/DTS/AACに対応した
 デコーダを内蔵して内部でデコードしてステレオ信号に
 高音質ダウンミックスを行い、DVDなども高音質に再生する。
 AVアンプとの差はパワーアンプの数だけ?といった雰囲気だ。
 
 個人的に一番「おおっ?」と思ったポイントは、デジタル端子の装備。
 考えてもみれば、今までプリメインにデジタル入力がなかったのがおかしい。
 「プリメインにはCDプレイヤーでD/Aしてアナログで入れること」
 なんて、一体誰が決めたルールなんだ?
 デノンリンク、i−LINK、HDMI、これだけデジタル伝送が
 隆盛してきているなかで、プリメインだけが取り残されていたのだ。
 本製品の登場で、プレイヤーからアンプにノイズの混入なく
 ストレートに音声信号が伝達できるようになったわけである。
 
 しかし本製品がデジタル端子を装備した意味というのはそれだけに止まらない。
 デジタルアンプを搭載していること・・・もうお分かりだろう。
 デジタル入力端子の搭載はデジタルアンプでのロスのない増幅を行ううえで、
 言わば必然だったのかもしれない。



    画一的なアンプの姿に一石を

 プリメインに今までデジタル入力端子がなかったのがおかしいと書いたが、
 私には他にもアンプに対する疑問点がある。
 そもそも、AVアンプとプリメインアンプというカテゴリーにニ極分化している
 のがおかしいのではないか。その中間というか、様々な形態があって
 しかるべきなのではないかと思うのだ。
 
 例えば、AVアンプには今や7チャンネル分のアンプが搭載されるのが
 当たり前になっている。しかも上から下まで全てのラインナップでである。
 スピーカーを7つ置ける人なんて限られている。
 むしろオーソドックスな5.1チャンネルを実践している人の方が
 多いのではないのか。私なんかはメインはプリメインに任せて、
 AVアンプはセンターとリアの3チャンネル分しか使っていない。
 アンプの使用効率は3/7、逆に4/7を眠らせて使っているわけだ。
 実にもったいない話ではないか。「それなら3チャンネルに全力投球
 してくれよ」と思うのが人情というものである。
 
 それと、いつもながら「映像系の端子は必要なのか?」という疑問。
 いや、もちろん必要としている人はいるのだろう。
 だが、「全ての人にとって必要なのか?」「全ての製品に必要なのか?」
 と言われれば、そうではないだろう。
 
 最近のAVアンプはHDMI端子、D端子、従来のS端子、コンポジット端子も
 加えて映像系の端子の方が多くなっている(?)ような状況だ。
 HDMI端子なんてものは最近は1080Pにまで対応し出して、
 1080Pというのはサンプリング周波数は148MHzだから相当な高周波である。
 高周波ということはノイズの発生源になる可能性大ということ。
 ウン十万もして高音質を謳っているAVアンプ、ピュアオーディオスイッチ
 とか何とかを装備してFL管からのノイズまで遮断するとか言っているのに、
 1080P対応の映像回路を搭載していて、「それはホントに高音質を追求した
 結果なんですか?」と問いたくもなる。1080iからのアップコンバートをするために
 高価なI/Pコンバータまで搭載している。本当に、これは必然なのか?
 
 そう思うと、ソニーの「TA-FA1200ES」が実にスッキリとした製品に見えてくる。
 余計な映像端子も映像回路もなく、2チャンネルに全力投球、
 デジタル端子も装備して映像ソースも高音質。スッキリしているではないか。
 ただ一つ、不満なのは拡張性がないことだ。
 プリアウトがないのである。これでプリアウトがあれば、
 サラウンドに拡張したければパワーアンプを追加すればいい。
 以前デノンがやっていたように、3チャンネルと2チャンネルのパワーアンプを
 用意してくれれば良かった。
 
 冒頭で「アンプにもっと様々な形態があってしかるべきだ」と書いたが、
 例えば次のような商品である。
 @映像系を思い切って省略して音声だけに全力投球した7チャンネルアンプ
 A3チャンネルアンプを搭載したAVアンプ。
  ・フロント2本+センターを駆動して、リアは使用チャンネル数に合わせて
   パワーアンプを追加する使い方
  ・センター+リア2本を駆動してメインはプリメインで駆動する使い方
  のようにユーザーの自由な使い方に合わせることができる
 B映像系端子もフル装備なんだけどアンプは2チャンネル分だけ
  (これはマランツの「PS-17SA」で例がある)、
 小泉首相じゃないが、人生いろいろ、使い方もいろいろなんだから、
 それに合わせたいろいろな商品提案があってもいいと思う。



    次世代DVDは勝負あり?

 Blu-rayディスクソフトの再生に対応したHDD内蔵レコーダーが発売される。



 Blu-rayのレコーダーとしては今までも既にソニー、松下、シャープから発売されて
 いたわけだが、不思議とここにきて「初登場」的な感もある。
 松下、ソニーからともに2機種ずつのラインナップ、
 下位機種は20万円前半のプライスタグでよりお買い得感がある。
 Blu-rayは一層25GB、二層で50GB。ビットレートが17Mbps程度の地上デジタル
 であれば一層でも3時間という長時間収録が可能だ。
 ソニーが二層記録に対応していないことがやはり残念だが、
 地上デジタルがメインであれば不足を感じることもないかもしれない。
 松下、ソニーのどちらが「買い」かについては、
 既に比較がされている(phile-web)。
 
 Blu-rayの対抗馬、HD-DVD陣営は6月にレコーダー「RD-A1」を発売している。
 ということで、今年年末の両勢力が揃ったことになる。
 現時点では、私は「Blu-rayが勝つ」と思っている。
 Blu-rayとHD-DVDは、詰まるところ「大容量のBlu-ray」か「安さのHD-DVD」か、
 という個性の戦いだったはず。同じ405nmのレーザーを使いながら、
 カバー層が0.1mmで記録密度を上げたBlu-rayと、カバー層をDVDと同じ
 0.6mmにすることで製造設備やピックアップを安価に製造できるHD-DVD。
 なのに、第一陣のRD-A1が39万8000円というプライスで登場したことが
 まず「アレ?」という感じだ。現時点であれば、HD-DVDは198,000円ぐらいの
 プライスで打って来ないとおかしいぐらいだ。
 
 HD-DVD陣営は「片面一層15GB、二層で30GBあれば十分」
 と言っているようだが、容量なんてものは多い方がいいに決まっている。
 BSデジタルでは30GBでも収録時間は160分、要は「タイタニック」は
 一枚に収まらないわけである。Blu-rayは4時間以上は入るから、OKだ。
 使うことはあまりないとしても、「やればできる子」の方が安心だ。
 Blu-rayグループの方が加盟企業が多いし、それだけ製品数が出てくるということ。
 
 まあ、かく言う私はまだ買わないわけだが。
 本体が10万円前半くらいになったら考えようかな。ディスクもまだ高いし。
 それに、消費者もバカではない。DVD-RAMとDVD-RWの紆余曲折を見ていると、
 あっという間に値下がりして、結局両方のディスクがかかるキカイが
 出てくることが容易に予想できるからだ。企業は自らの首を絞めている。