エディがAV(オーディオ・ビジュアル)やホームシアターに関して熱く語る


注目!フルHDプロジェクター2006秋

(2006.9.24)


   フルHD画素構成のプロジェクターがミドルレンジの
   価格帯に下りてきた。今回は注目モデルの比較と
   画質インプレッションについてまとめる。





    フルHDプロジェクター概観

 近頃では「フルHD」「フルハイビジョン」「フルスペックハイビジョン」だのと
 似たような言葉の定義を巡ってメーカー間の論争が絶えないようだが、
 ここでいう「フルHD」というのは、水平1920×垂直1080画素という
 ハイビジョンの解像度を間引くことなく映し出すことが可能、という意味である。
 「フルハイビジョン」てのはまあいいが、「フルスペック」という言い方は
 好きじゃない。ハイビジョンディスプレイに求められるスペックというのを
 全て満たしている、というような印象を受ける。
 デジカメの影響だろうか、画素数が多ければ全ていいみたいな風潮があるが、
 画素数だけ多ければ綺麗に見えるわけでもない。

 まあそうは言っても、画素数が多いというのは基本的にはいいこと。
 フルHDプロジェクターというのは2003年にソニーの「QUALIA004」、
 2004年にビクターの「DLA−HD2K」が発売されいずれも200万以上、
 AVマニアにとっては「いずれは到達したい領域」のものであった。
 昨年にソニーが136万円の「VPL−VW100」、ビクターが169万円の
 「DLA−HD11K」を発売し、いずれも完成度が高い商品だった
 こともあり、にわかにフルHDプロジェクターが活気を帯びてきた。
 
 ホップ、ステップ、と来て、今年はジャンプになりそうな予感である。
 各社から100万円を切る製品が一気に登場する。
 720Pパネル+レンズシフトでプロジェクター市場が拡大して以来の
 大きな波が起こりそうである。
 今回は、現時点で各社から発表があった100万円以下フルHDプロジェクターの
 比較と、A&Vフェスタにて画質をチェックしたインプレッションを報告する。



    4選手の紹介

Panasonic TH-AE1000
【11月20日発売予定】
(予想売価 450,000円程度)

 液晶パネルはエプソンの最新D6/C2FINE。今回から垂直配向を使っているという
 ことで、黒浮きしにくいノーマリーブラックとなった。
 松下伝統のスムーススクリーンも採用されているが、フルHDにまで
 画素が細密化されるとどこまで効果があるか??
 
 スペックは、コントラスト比は最大11,000:1(ダイナミックアイリス併用時)、
 輝度は最大1,100ルーメン。ズームも2倍、レンズシフトも水平±40%、
 垂直±100%あるから設置性はかなり良い。
 ファンノイズも最低22dBと一線級の静かさ。
 
 デザインは従来から一変、シンメトリーでブラックで角ばった筐体は
 こういう方向性としてはいいのではないか。
 
 A&Vフェスタにて実機の映像を見てきた。
 CG素材の「アイスエイジ」、画素構造が全く見えず、絹織りのような映像。
 画素の存在を感じさせず、一枚の絵という感じだ。
 今までの液晶プロジェクターにあった「縦縞」も感じられなかった。
 映画は「HERO(?)」だったが、もう少し鮮鋭感が欲しかった。
 まあこれはソースの問題かもしれない。
 黒浮きは、かなり少ない方だがまだあり、自分の姿で黒帯部分に影ができた。
 一番シネマ向きの輝度を絞った設定で見たが、輝度を上げて
 ビデオ素材も見てみたかった。
 
 波形モニター機能は、ある1ラインの輝度変化を波形で表示する機能で、
 黒と白を、浮かせずつぶれさせずに映し出すように調整する際に重宝する。
 今までは映像を見て調整していたところ、波形を見ながら確実に設定
 できるようになる。


SONY VPL-VW50
【10月20日発売予定】
(定価 735,000円)

 パネルはソニー独自の反射型液晶「SXRD」。
 スペックは、コントラスト比は最大15,000:1(ダイナミックアイリス併用時)、
 輝度は最大900ルーメン。ズームは1.8倍だが、レンズシフトはないようだ。
 ファンノイズは最低22dBと配慮されている。
 
 デザインはVW100の弟機という感じで、雰囲気は踏襲。
 シンメトリー&ラウンド形状&ホワイトパール。
 明るいリビングに合いそうだ。
 
 A&Vフェスタにて実機の映像を見てきた。
 「パイレーツオブカリビアン2」、コントラスト感がすごい。
 黒が締まった絵という印象で、だから赤が赤く、ジョニーデップの
 日焼けして汚れた肌の質感がリアルだ。輝度ピークも結構感じられて、
 映像にパワーが入っている。
 黒浮きは松下よりも少ない印象。


Victor
DLA-HD NEW(仮称)

【今年中に正式発表予定】
(定価100万円切るのは確実)

 パネルはビクター独自の反射型液晶「D-ILA」。
 スペックは、コントラスト比は10,000:1(ネイティブ)、
 輝度は最大800ルーメン。その他のスペックは不明。
 
 この「ネイティブ10,000:1」というコントラスト比が重要だ。
 ダイナミックアイリスという時間方向での光量制御でコントラストを
 上げるのは、見掛け上の数字は上がるものの、
 映像としてのダイナミックレンジが拡大するわけではない。
 例えば夜の星空のシーンでは、空が黒くなるのと同時に星の輝きも失せていく。
 ネイティブでのコントラストが高くないと、きれいな夜空は再現できない。
 各社がダイナミックアイリスを使って10,000:1以上のコントラスト比を
 謳っているが、ネイティブでは5000:1とか、それ以下だと思われる。
 
 デザインはHD11Kの弟機という感じで、雰囲気は踏襲。
 質実剛健的な感じがしてよい。
 
 A&Vフェスタにて実機の映像を見てきた。
 ビデオ撮りした風景の映像。コントラストの高さが効いて、
 ソニー同様発色がきれいだ。細密感も見事。
 あまり画質調整をかけずに映像を映しているそうで、
 これで少し派手目な画作りをしたらどうなるのか興味が湧く。
 映画「マイアミ・バイス」の予告編。
 暗いシーンが多かったが、黒が黒い。うんうんと頷いてしまう。
 黒潰れが目立ったが、これはソースのせいか調整不足か。
 黒浮きは最も少ない印象で、黒帯部分にできる影が最も薄い。
 
 正式発表は年内中にはあるようで、価格設定・詳細スペックが楽しみである。


MITSUBISHI
LVP-HC5000

【10月12日発売予定】
(予想売価 450,000円程度)

 松下同様、エプソンの最新D6/C2FINEパネルを使ったモデル。
 スペックは、コントラスト比は最大10,000:1(ダイナミックアイリス併用時)、
 ネイティブでのコントラスト比も公表しており2,000:1となっている。
 輝度は最大1,000ルーメン。ズームは1.6倍、レンズシフトは垂直±75%、
 水平±5%と、まずまずの設置性だ。
 ファンノイズも最低19dBと現時点で業界一の静かさ。
 I/P変換などの映像プロセッサーにはSilicon Optix製のものを
 使用しているということで、映像処理にこだわっている。
 
 デザインはレンズ周りがバランスがあまり良くなく、
 ちょっとロボット的な感もあって、今一歩洗練された感がないかな。
 
 A&Vフェスタでは三菱ブースはなく、CEATECあるいは
 発売後に店頭で映像を確認することになろう。



    ま と め

 フルHDの廉価版だがパフォーマンスは十分に維持されていた。
 実機を見た3機種とも、フルHDならではの細密感あふれる映像を再現していた。
 差があるとすればコントラスト感だろう。
 それに感じたのは、ソースの影響が大きいし、調整の影響も大きいということ。
 そういった意味では松下機の「波形モニター」のような調整に配慮した機能が
 意外に重宝されるのかもしれない。
 ソニーの絵は、もうほとんど完璧な画質と言っていいレベルに達している。
 ビクターは黒浮きが最も少なく、ネイティブでのコントラストを追求している
 ということで、最も可能性を感じる。
 
 松下、ソニー、ビクター横並びで同じソースで比較した時に、
 真の評価が分かるだろう。全て発売された後にアバックに行って比較するか。
 

 
 来年2月とか3月くらいになると、今回の機種が40万〜50万くらいで揃うのか・・・
 40〜50万なら頑張っちゃえば買えるなー。
 例えば毎月4万円の12ヶ月払いとかでどう??
 いや、でもその他にブルーレイレコーダーとか、広角レンズデジカメも欲しいし・・・
 あ〜あ、物欲がムクムクと!いかんいかん!