V - eye
エディが思いつきでAVを斬る!語る!

2004年夏・薄型AVアンプ特集

(2004.5.9)


ピュアオーディオ志向が強まり、AVアンプのチェンジを目論むエディ。
だが、ピュアな大型アンプを求める一方、薄型アンプも私の心を捉えて離さない。
前回の特集(薄型AVアンプが欲しい!)から1年が経過し、
各社から新モデルがほぼ出揃ったので、再び特集する。


    ― AVアンプの現況 ―

   AVアンプはもはや入門機まで6.1対応、6チャンネルアンプを
   搭載するのが当たり前となった。
   本体の高さは、入門機ゾーンを除けば17センチ台が主流だ。
   重量も、6.1はたまた7.1対応として搭載アンプのチャンネルが
   増えており、増加の一途を辿っている。
   軽薄短小の時代に、重厚長大の道を突き進んでいる。
  
   先日も電器店のオーディオ売り場に行ったが、
   AVアンプ売場に並ぶ製品群には圧倒されてしまう。
   良く言えば「存在感がある」ということになろうが、
   「音質のためとは言え、本当にここまで大きくする必要があるのか?」
   という疑問がどうしても浮かんできてしまう。
  
   テレビはフラットになった。
   ビデオデッキからDVDレコーダーになり、
   本体もメディアも薄くなった。
   どうしてもアンプのデカさ、重さが異様に目立つ。

    ― 薄型AVアンプ6選手の紹介 ―

   私自身、今悩んでいる。
   ピュアオーディオ路線で、デカいアンプに変えるのか、
   スタイリッシュ路線で、薄いアンプにするのか。
   今回は、薄型アンプにするとすればどれを買うのか、
   私自身にも関係しているので、やりがいのある特集だ。
  
   各メーカーの現ラインナップの薄型AVアンプを集めた。
   オンキョーだけが新モデルを発表していないので、今回は見送っている。
   高音質技術、対応音声フォーマット、自動音場設定機能、
   独自サラウンド、入出力端子数、デザイン、価格などに注目した。
   各モデルの対応音声フォーマットについては、
   本ページの下部に表を掲載したのでそれを見てほしい。
  
   それでは価格の低いものから順に見ていくことにしよう。


Victor
AX−F10

  (定価 \52,290)
 

   同社独自の高音質デジタルアンプ技術「DEUS」による
   100W×6chアンプを搭載した新モデル(6月1日発売)。
   DEUSはD級のPWMデジタルアンプをベースに、
   歪改善の基本手法であるフィードバックをデジタル領域と
   アナログ領域両方で行うことで、歪を大幅に低減する。
   サイトのレビューでも評価が高く、私も聴いたことがあるが、
   アナログアンプと比べて全く違いは分からなかった。
   
   拍手一発で音場設定が完了する「スマートサラウンドセットアップ」
   面白い。面白いだけでなく、簡単で効果も確実というから感心だ。
   ただし調整するのはディレイと音量レベルのみ、
   スピーカーサイズ設定、周波数の補正などは行わない。
   
   対応音声フォーマットはプロロジUxを除き全て網羅。
   6.1拡張はNeo:6があるし、問題ないだろう。
   入出力端子数は、音声はデジタル4系統、アナログ4系統、
   5.1入力も装備。映像入力もD端子・S端子を3系統備える。
   DAPという独自のサラウンド機能も備える。
   
   デザインは、中央のライトが目を引く(個人的にこういうのに弱い)。
   ボリュームのノブも質感が高そうだ。早く実物を見てみたい。
   
   一年前のモデル「RX−ES1」では、「ジー」という騒音が問題となっていたが、
   今作はどうなっているのだろうか。
   (私個人的には気にならなかったが・・・)


Panasonic
SA−XR50

  (予想売価 4万円台)
 

   高精度デジタルアンプを採用、100W×6chの大出力を確保した。
   コア部には32ビットDSPが採用され、音声を高精度に処理できる。
   さらに可変ゲインボリュームを採用し、小音量時における
   ノイズの少ない高音質再生を可能とする。
   MP3などの圧縮音声を高音質に再生する「リ・マスター」、
   セリフを画面中央に定位させる「センターフォーカス」、
   リアチャンネルの広がり感を向上させる「マルチエリア」など
   オーディオ再生の質を上げる独自の信号処理を搭載する。
   
   自動音場設定機能はないが、音量レベルに加えて
   スピーカーの距離設定までできる。
   
   対応音声フォーマットはプロロジUxのみ非対応。
   入出力端子数、音声はデジタル4系統、アナログ6系統、
   5.1入力も装備。映像入力はD端子はなくコンポーネントが2系統、
   S端子が3系統、コンポジットが4系統ある。
   SFCという独自のサラウンド機能も備える。
   
   デザインは、「DIGA」などの同社製品とコンセプトを揃えたという。
   う〜ん、確かにそれはそうなのだが、アンプ然としてないなぁ。
   ボリュームのノブは質感が高そうだし、ハーフミラーとおぼしき表示部も
   単品では悪くないのだけど、安っぽく見える。


Pioneer
VSA−C501

  (定価 \65,100)
 

   アンプは重量と消費電力から、どうやらアナログアンプのようだ。
   アンプに関する高音質化技術は記述がない。
   
   パイオニアが先駆けとなった自動音場設定機能「オートMCACC」を搭載。
   マイクを使って実際の音を採取、これをもとにスピーカーサイズ、
   ディレイ、音量レベルを自動設定する。
   贅沢だけど、どうせなら周波数補正までやって欲しかった。
   
   対応音声フォーマットはプロロジUx以外全て網羅。
   入出力端子数、音声はデジタル4系統、アナログ5系統、
   5.1入力も装備。映像入力はD端子が2系統、S端子・コンポジットが4系統。
   
   独自のサラウンド機能が豊富で、独自のアドバンストサラウンドを搭載。
   サラウンドバックスピーカーを置けない時の、バーチャルサラウンドバック。
   ヘッドフォンでもサラウンド効果が楽しめる機能、
   セリフを聴こえやすくする「ダイアログ・エンハンスメント」などがある。
   
   デザインは、ボリュームノブがアルミだが、それ以外は特に目立つものはない。
   ただ見た目のバランスは良いデザインだと思う。


DENON
AVR−770SD

  (定価 \78,750)
 

   アンプはD級のPWMデジタルアンプのようだ。
   各ch100Wの6チャンネルアンプを搭載。
   アンプに関する高音質化技術は記述がない。
   ただし浮動小数点32ビットDSPを採用、
   これによって高精度な音声処理を行うとしている。
   
   自動音場設定機能はなく、従来通り聴感に頼る調整となる。
   対応音声フォーマットはプロロジUxを除き対応。
   入出力端子数、音声はデジタル3系統、アナログ4系統、
   5.1入力も装備。映像入力はD端子が2系統、S端子・コンポジットが4系統。
   
   独自のサラウンドの他、ドルビーバーチャル再生が特徴。
   フロント2本だけでサラウンド感を楽しめる「ドルビーバーチャルスピーカー」。
   ヘッドフォンでもサラウンド効果が楽しめる「ドルビーヘッドフォン」だ。
   似たようなものは他社にもあるが、ドルビーの名を冠するものは完成度が高い。
   必要としている人にとっては魅力的だろう。ちなみに私には不要だ。
   
   デザインは、前面パネル・ボリュームノブにアルミを使用。
   ブラックの表示部もハーフミラー処理が施されている。
   パワーや動作状態を示すブルーやグリーンのインジケーターが光って
   大人の高級感を醸し出し、スタイリッシュさは随一だ。


YAMAHA
RX−SL100

  (定価 \78,750)
 

   ヤマハ独自の高音質デジタルアンプ設計思想「パルスアート」を採用、
   100W×6chの大出力を確保した。
   「設計思想」であって、「設計技術」と表記しないのは謎だ。
   D級PWMアンプがベースとなっていること以外は分からない。
   
   自動音場設定機能はない。本機は最新モデルなのだから、
   ヤマハ独自の「YPAO」を搭載して欲しかった。
   
   対応音声フォーマットはDTS96/24を除き全てを網羅。
   入出力端子数は、音声はデジタル4系統、アナログ5系統、
   5.1入力はない。映像入力はD端子・S端子がなく、コンポジットのみの5系統。
   本体の高さは55mmと最薄にしたのが響いたのか、端子は思い切り整理されている。

   ヤマハお得意のサラウンド機能が充実している。
   映画再生の臨場感を高めるシネマDSP、ヘッドフォンでも
   サラウンド感が楽しめる「サイレントシアター」、
   2〜5本のスピーカーでも6.1再生を行える「バーチャルシネマDSP」だ。
   ただ私はシネマDSPに飽きてしまい、ほとんど使っていない。
   サイレントシアターとバーチャルDSPも、私個人の意見だが
   大した効果は感じられず、また今の私には不要だ。
   
   デザインは、安っぽさが際立っている。
   薄くすればするほど良いというものではない。
   却ってバランスを崩し、スタイリッシュを通り越して
   安物に成り下がってしまっている気がする。
   アルミなどの金属も使われていないし、ライトなどもない。
   同じ価格のデノンとは比較にならない。


SONY
TA−V700R

  (定価 \92,400)
 

   ソニー独自の高音質デジタルアンプ「S−master」を採用した
   60W×5chのアンプを搭載。今回唯一の60Wだが、十分な出力だろう。
   「S−master」は同社の超弩級アンプ「TA−DA9000ES」にも
   搭載されているものだが、あちらは物量のかけ方が半端ではない。
   本機は3.2kgという軽さ、中身は大丈夫か正直ちょっと心配だ。
   S−masterは高精度PWMアンプのようだ。
   音声処理には32ビットDSPを用いている。
   
   自動音場設定機能はなく、従来通りの設定を行う。
   本機はアンプが5chなので、対応音声フォーマットも5.1系のみに対応。
   ただサラウンドバックスピーカーは誰もが設置できるというものでも
   ないので、6.1環境が整備できない人には本機で十分だ。
   入出力端子数は、音声はデジタル4系統、アナログ4系統、
   5.1入力はない。映像入力はD端子・S端子がなく、コンポジットのみの3系統。
   本体の薄さもあろうが、あえて端子を整理している印象。

   ソニー独自の映画館音場再生技術「シネマスタジオEX」を搭載。
   それ以外にもHiFi系のプログラムが4モード。
   
   本機は「ネットワークメディア機能」が最大の特徴だ。
   同社の「VAIO」とLANで接続、MPEGファイルやMP3・ATRACファイル、
   JPEGファイルといった映像・音楽・画像ファイルを
   AVシステムで楽しめるという機能だ。
   必要な人にとっては魅力的だろうが、私には不要だ。
   
   デザインは、同社の「スゴ録」などと合うものとなっている。
   ボリューム周りがアルミ、それ以外の部分も、写真では分かりづらいが
   アクリルが使用されていて、微妙に光沢がある。
   ただ10万円近い定価の割には安っぽい。


   ― 対応音声フォーマット表 ―


   ― 貴様ならどれを買うんだ? ―

  薄型アンプ6選手、いずれも魅力的なモデルばかりであった。
  その中で私の心に残ったものは、
  ビクター「AX−F10」、デノン「AVR−770SD」だ。

  ビクターは、高音質、拍手一発の音場設定、広い音声フォーマット対応、
  最も充実した入出力端子、これでいて最も安い充実モデル。
  騒音問題がどうなっているのか、本体の質感など、実機を見てみたい。

  デノンはデザインが飛び抜けて良い。アンプ部も特に高音質化技術はないが、
  同社の製品ということで信頼感を感じてしまうのはブランド力だろう。

  みなさんの心に残る薄型AVアンプはどれでしたか?