V - eye
エディが思いつきでAVを斬る!語る!

高画質DVDレコーダー比較!

(2004.3.27)


前回のAV−eye「プロジェクターで見えてきたもの」で、
DVDレコーダーの画質に不満が集中していることが判明した。
そこで今回はDVDレコーダーチェンジを見据えて、
「高画質」をテーマに比較検討を行う。

   ― 選定に際しての重視点 ―

「DVDレコーダーの画質が不満」と漠然と書いたが、具体的には
ゴースト、ビデオ素材のIP変換精度、映像DAC精度だ。

ゴーストは大画面ではかなり目に付くので、
今回GRT機能搭載は必須として各社のモデルを選定した。
IP変換精度についてはGRTに次いで重視をする。
視聴する比率がビデオ素材の方が圧倒的に多いからだ。
映像DACは、階調の滑らかさを増すために、スペックが
高いに越したことはないが、まあそこそこ重視というところ。
またIP変換精度や映像DACは再生機をアップグレードすれば良いが、
ゴーストは一度録画したら永久に取り去れない。
GRTを必須とした理由はここにある。

なお現行機の「DVR−515H」はGRTなし、
ビデオ素材のIP変換は解像度が稼げないフィールド内補間、
映像DACは10bit/54MHzとなっている。

   ― ツカえる長時間録画 ―

私は今までDVD−R中心で、レートはXPとSPの中間、
およそ80〜90分録れる7Mbps弱を利用してきた。

しかし最近、現行機DVR−515Hで、DVD−RWディスクを使って
3/4D1(544×480画素)の解像度の録画モードで地上波を録画したら、
かなりイケることが判明したのだ。見た感じ解像度の劣化は分からず、
鮮鋭感は保たれている。ただ動くと「荒れ」が判かる。

それもそのはず、地上波は水平解像度は約330本と言われており、
これを水平の画素数に変換すると450画素程度となる。
つまり受け皿としては3/4D1で十分なのである。
2/3D1(480×480画素)でも目立ったボケ感はない。
これで「荒れ」が目立たなければ、地上波録画の標準として使える!

つまり、RW/RAM使用時に、3/4D1などの中間解像度を使えて、
かつキレイに録画できるモデルであれば、
1枚のディスクに地上波を2倍程度長い時間録画できることになる。
ディスク数が半分になれば、スペースセービングに役立つ。
さらに、DVD−RとDVD−RW/RAMディスクの価格差は約2倍強、
収録時間が2倍になるのであれば価格差はキャンセルされる。

そういう訳で、長時間録画の高画質っぷりも重視したい。


Victor
DR−MH5

  (売価 \60,000前後)
 

   GRTは定評あるビクター製。左ゴーストまで対応している。
   IP変換は、ビデオ素材では前後3フィールドの情報から補間画素を
   作り出す方式。通常は前後2フィールドを用いるのが普通で、
   3フィールドを使うのはプログレッシブテレビ並み、
   かなり高品位なプログレッシブ変換が期待できる。
   またシネマ素材では余計な処理を行わずに直接出力する
   「ダイレクト・プログレッシブ」方式に切り換わるので、
   IP変換については不安はない。
   
   長時間録画は本機の最も得意とするところだ。
   現在のところ、高解像度を最も長時間維持するモデルだ。
   3/4D1で最低でも150分、2/3D1だと最低でも190分は録れる。
   圧縮のアルゴリズムから言って、解像度を確保するとその分
   「荒れ」が目立つはずなのだが、本機はこれも少ないという。
   「モーションアクティブ・ノイズリダクション」という独自の録画NRや
   プリフィルター、再生NRなど、総合的な手法が優れているのだろう。
   
   映像DACは10bit/54MHzで、標準的なスペックだ。

   他の特徴としては、Wチューナで2番組同時録画が可能。
   まあ出番は多くなさそうだが、あるに越したことはない。
   RWとRAM両方に完全対応したマルチドライブ。
   自分で使う分にはどちらかしか使わないと思うが、まあ安心だ。
   VHSからのダビングに効く、強力なTBCとフレームシンクロナイザー。
   VHS資産を100本ほど保有している私には嬉しい。
   オートCMスキップ、音声付1.5倍速再生も便利だ。
   逆に弱点は高速ダビングができないこと、デジタル放送の
   ダビングができないこと、EPGが非搭載なことなどだ。


PIONEER
DVR−710H

  (売価 \85,000前後)
 

   IP変換は、ビデオ素材では「動き適応型」を行うタイプ。
   詳しくは分からないが、きちんと動ベクトルを検出するタイプだろう。
   シネマ素材については通常の2−3プルダウン方式。
   VQE8というチップが使われているが、パイオニアの第8世代チップ
   ということで、定評もあり期待できそうだ。
   
   長時間録画は現行機のDVR−515Hと同じだ。
   3/4D1で最低130分、2/3D1で最低170分録れる。
   515Hだと荒れが目に付くが、本機だけに搭載されている
   「コンポーネントDNR・PRO」で少しは改善されるかもしれない。
   
   映像DACは12bit/216MHzという最高級スペックだ。
   プログレッシブ画像に対しても8倍オーバーサンプリングを行うことができる。
   ザラ付きが軽減され、滑らかなグラデーションが得られるというが、
   真価をこの目で確かめてみたいものだ。
   
   他の特徴としては、業界トップレベルのダビング機能だろう。
   高速ダビング中でも他の操作ができるマルチタスク、
   DVDの複製も簡単に素早くできるディスクバックアップ機能、
   サクサクと進むGUI、チャプター編集など、
   快適・便利さなら本機という気がする。
   弱点はEPGがないことぐらいだろうか。


Panasonic
DMR−E200H

  (売価 \95,000前後)
 

   つい先日、新しいDIGAのラインナップが発表されたが、
   GRT付きのモデルはなかったため、本機を選定している。
   IP変換は、ビデオ素材への対応はしていない模様。
   シネマ素材では通常の2−3プルダウンの他、
   30P収録のものまで対応しているとある。
   
   長時間録画は不得意で、3/4D1の解像度は
   使用できない模様。独自の「視覚感度変調技術」もあるが、
   画質の点ではトップランクからは落ちるようだ。
   
   映像DACは10bit/54MHzという標準スペック。
   本機はGRTこそ搭載しているが、それ以外の部分で、
   画質へのこだわりはさほどでもないという印象。
   
   他の特徴としては、EPGの搭載だ。
   テレビ画面で番組表を見ながら録画予約ができる、検索なども行える。
   出先から携帯電話で録画予約ができるブロードバンドレシーバー。
   予約を忘れることは年に1、2回あるかどうかだが、嬉しい機能。
   SDカードにMPEG4で録画する機能。同社のD−snapなどを
   使って、出先で見てもらおうということらしい。
   DVDオーディオ再生機能。ソフトが少ないのが難点だが。


NEC
PK−AX300L

  (売価 \95,000前後)
 

   IP変換は、ビデオ素材への対応はしていない模様。
   2−3プルダウンを行うかどうかすら不明。心配だ。
   
   長時間録画は不得意。フルD1の下は
   一気にハーフD1(352×480画素)に落っこってしまう。
   
   映像DACは記載がない。
   本機もGRTこそ搭載しているが、それ以外の部分では、
   画質へのこだわりはさほどでもないという印象。
   
   他の特徴としては、EPGの搭載で、
   「スゴ録」を越える強力な検索・おまかせ録画機能が売りになっている。
   高速レート変換機能が面白い。各社とも高速ダビングを売りにしているが、
   レート変換を行うダビングでは等速で、他の操作も受け付けなくなる。
   本機はまずレート変換を最高7倍速で行い、その後高速ダビングを
   行うことで、レート変換ダビングでも先の弱点を克服した。
   ネットワーク系が強力なのがNECらしい。
   出先からの携帯電話による予約が可能。パソコンとの連携もでき、
   録画したものをPCに転送、逆にPC上のMPEG2ファイルを
   本機に転送もできる。


東芝
RD−X4

  (売価 \115,000前後)
 

   IP変換は、ビデオ素材にも対応した動き検出型となっており、
   シネマ素材ももちろん2−3プルダウン型。
   
   長時間録画は不得意。3/4D1は使えない。ただし2/3D1は使える。
   なお本機には新たに「3つのNR」が搭載されており、
   長時間でも「荒れ」はそれほど目に付かないらしい。
   
   映像DACはパイオニアと同じ12bit/216MHzの最高クラス。
   そして本機は、スペックには表れない部分が凝っており、
   ビデオアンプ、抵抗、コンデンサー、基板などに贅沢に物量が
   投入されている。再生能力は随一と言ってよいだろう。
   
   他の特徴としては、音声系にも贅沢な物量を投入。
   クオリティの面で、再生専用機に伍して行こうという気概が見える。
   D端子入力を装備、デジタル放送を色切れを保ったまま録画できる。
   またオリジナルDVDを作るなら、本機が最もオリジナリティを発揮できる。
   編集のしやすさ、DVDメニューもカスタマイズできる点など、
   より自分らしく、マニアックに使うには本機が一番だろう。
   RWとRAM両方に対応するマルチドライブ。
   出先からの携帯電話予約が可能、EPGも搭載。


   ― 貴様は結局どれを買うんだ? ―

IP変換の精度の関係で、パナソニックとNECが脱落。
再生系は、再生する機械を変えれば後でいくらでもグレードアップできるが、
録画系は後で取り返しがつかない。この意味で、3/4D1が使えて、
「荒れ」が最も目立たないモデルが良い。
以上から、

私は DR−MH5 を買う!

と決まった。
録画時にも3次元NRをかけられる「モーションアクティブNR」の
搭載が大きい。映像DACが標準スペックだが、後で何とでもなる。
VHSダビングの際に強力に効きそうなTBCも、画質重視の私には嬉しい。
そして最も安い!のも、これはこれで大きなポイントである。
高速ダビングができないが、私は現在レート変換ダビングがほとんどのため、
現在でも使っていないので気にならない。

本機は高速ダビングがないという理由で人気がないようだが、
多くの人にとってHDD/DVDレコーダーは「ダビングをする機械」ではない。
普段自分がどのような使い方をするのか考えれば、
基本画質やHDD・DVD自体の使い勝手こそ重要だと思うのだが。

最初にも述べたが、今回の検討のウェイトは
「便利さ」よりも「高画質」にある。
パナソニック、NECもそれぞれが強力な個性を持っており、
その志向が合えば、魅力的なマシンであることを付け加えておく。


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