V - eye
エディが思いつきでAVを斬る!語る!

海外製ブックシェルフスピーカー3モデル試聴

(2004.4.10)


前回のAV−eye「高画質DVDレコーダー比較!」で、DVDレコーダーを
チェンジすることになったのだが、諸事情により見送ることになった。
そのため、スピーカーの強化を前倒しすることにした。
今回は新たなフロントスピーカー探しの顛末を記してみる。


   ― スピーカーチェンジの理由 ―

 現在の我がシアターのスピーカー構成は、フロント・リアの4本を
 デノン「SC−V707」、センターはヤマハ「NS−C105」となっている。
 前者は98年12月購入、後者は97年9月購入だが、
 購入当時のお値段でそれぞれ1万ちょっとであった。
 つまり5チャンネルの1チャンネル当たり1万円!
 というローコストな構成になっている。
 ところが1万円の割にはよく鳴ってくれ、大きな不満なく過ごしてきた。

 しかしここにきて状況が変わってきた。
 まず今の部屋が14畳はあろうかという広さがあることだ。
 部屋が広くなるということは、スピーカーにとってはキツイことだ。
 大きな部屋でも音圧が弱くなることなく、部屋いっぱいに音を満たすには
 空気を「面」で押すウーハーのドライブ能力が問われるし、中〜高音も
 張り出しのある音を出さなくてはリスナーに届く前に鮮度が落ちてしまう。
 さらにプロジェクターを購入し映像が80インチになり、
 音のスケール感が映像に伍していけてないという感じがますますしてきた。
 なんとなくセンタースピーカーの力不足を感じるし。

 ということで、ここいらでフロント・センタースピーカーの
 グレードアップをしようと決めた。
 V707は購入から5年強、C105は6年半も経過しているし、
 そろそろ世代交代だね。お疲れ様。

   ― 選定に際しての重視点 ―

 私はオーディオはもちろん、シアター用途も重視しているので、
 ラインナップにフロントとセンターが用意されていなければならない。
 映画ソースではフロントとセンターの3本で、「面」で音が構成される。
 同じ材質のユニットであれば自然なつながりが得られること間違いなしである。

 トールボーイではなく、ブックシェルフ型とした。
 音場感では点音源に近い小型スピーカーが有利である。
 まあトールボーイは居場所が落ち着いてから再チャレンジする。
 また、憧れがあった海外製で行くことにする。

 私の望む音は、基本的にはメリハリのある音が好きだ。
 ジャズがノリノリで聴けて、ポップスもウキウキで聴きたい。
 最低域はスーパーウーハーに任せるが、ある程度までは低域も頑張ってほしい。
 ただ私はオーディオに関しては、マニアックに重箱の隅をつつくような
 聴き方はしたくないし、楽しく聴ければそれでよい。

 予算はフロント・センターの3本で10〜15万円の間。


KEF
Q1

  (定価 \55,250)
 
  165mmウーハー

  19mmツイーター
  (Uni−Qドライバー)
  6.25kg
 

  かねてから目をつけていたモデル。英国KEF社の製品だ。
  音の理想である点音源を高次元で具現化した「Uni−Q」ドライバーが
  文字通りユニークだ。ツイーターから発せられた音は、ウーハーのカーブを
  ホーンのように利用して広範囲に発散するようにコントロールされる。
  明快なステレオイメージ、さらにこれが広範囲で確保される、
  という理論は説得力がある。さらに流麗なカーブを描いたエンクロージャー、
  光沢のあるユニットも、インテリア性十分。
  さらに中国で組立を行っているということで、お買い得感まで十分だ。
  
  センターは「Q9c」、全く同じユニットと使ったものだ。
  音のつながりでは全く心配要らない。定価は同じく55,250円。
  KEFは扱っているお店が少なく、ちょっと足を伸ばして聴きにいった。
  
  組み合わされたアンプは富士通テンのECLIPSEのアンプ。
  中島美嘉のジャズ「Love Addict」を聴く。
  確かに音像は鮮明に定位する。だが、中域から低域にかけてが芳しくない。
  中低域が薄く、張り出し感がない。
  低域も早くから落っこちている印象。迫力・スケール感もない。
  現在使っているV707と大差ないという感じ。
  期待していただけにがっかりしてしまった。
  
  最近HiViに掲載され、★5つを獲得、「かなり売れてます」と店員。
  だが私にはその良さは伝わってこなかった。
  確かに安めで、デザインはいいし、音もそこそこなんだけど。


Westlake Audio
Lc5.75

  (定価 \268,000)
 
  128mmウーハー

  19mmツイーター
 
  8.2kg
 

  肩を落として、別のお店に移動すると、本機が鳴っていた。
  友人が購入し、衝撃を受けたモデルだ。「ウエストレイク・オーディオの衝撃!」
  本機はフロントだけで20万円近くするし、センターもラインナップされていない。
  友人が持っているから、私が買っても面白くもない(笑)
  
  だが、このスピーカーは本当にすごいと改めて感心した。
  目をつぶって聴けば、誰しもが「サブウーハーあるでしょ?」と
  絶対間違いなく思うはず。あるいは20cm×2発のトールボーイ?と思うか。
  とにかく、12cmそこそこのユニットから出る音ではない!
  迫力があり、中域の張り出し感もすごい。高音の粒立ちも生々しい。
  このスピーカーは一体どうなっているんだ?!
  と、Mr.マリックのマジックを見ている人状態になってしまう。


MONITOR AUDIO
Silver Studio 1

  (定価 \98,000)
 
  150mmウーハー

  25mmツイーター
 
  約6kg
 

  ウエストレイクの素晴らしさに改めて感動していると、
  本機が目についた。英国モニターオーディオの製品だ。
  本機はハイエンドのゴールドリファレンス、エントリーのブロンズに
  挟まれたシルバースタジオシリーズ。
  
  ツイーター・ウーハーとも「C−CAM」という合金でできているのが
  興味深い。「C−CAM」はアルミニウムとマグネシムの合金で
  ユニットを成型し、表面にセラミックコーティングを施したもの。
  金属の振動板はツイーターにはよく用いられるが、ウーハーにまで
  金属が使われ、しかもツイーターと同じ材質というのは稀である。
  メタルコーンの先駆者ならではのこだわりが感じられる。
  デザインはKEFのQ1ほど洗練されてはいないが、
  真面目な作りって感じだね。落ち着いた感じで、これも悪くないか。
  
  センターには「Silver Studio LCR」がラインナップされている。
  150mmウーハーを2つ、仮想同軸配置にしたものだ。
  音の密度感を高めるため、あえて密閉型になっているという。
  まあ頼もしい。定価は78,000となっている。
  
  これは良い。ウエストレイクの後に聴いたが、差は僅かだ。
  本機もウエストレイクと同じくらいの大きさ(小ささ)だが、
  見かけからは信じられないほど良質の低音を出している。
  歯切れの良い、気持ちの良い低音が出ている。
  ウエストレイクの方がもう一歩低いところまで出ていて、
  量感もあるという感はあるが。
  
  中島美嘉のジャズ「Love Addict」を聴く。
  低音が良く出る。中域の張り出し感もある。高音の粒立ちも合格。
  音量を落としても気持ちよさが失われないのも良い。

   ― めでたく購入 ―

ということで、予算の範囲内、センターがラインナップされていて、
音質も良いということで、シルバースタジオ1を購入することにした。
センターのシルバースタジオLCRは二ヶ月程後に購入することにした。

同じ条件を満たすものとしては、B&W、ELAC、MAGNAT、
ALR JOURDAN、Infinity、AAD、PMCなど他にもあるが、
視聴する機会にめぐり合わない、価格の問題、全部は聴けない(笑)などで、
まあ今回は御縁がなかったということにしましょうか。

しかし、「スピーカーは一聴に如かず」だね。
雑誌などの評価はあまり当てにならない。
理論やスペックも無意味と言っても過言ではないだろう。
実際の音を聴いてナンボの世界。と、当たり前のことを改めて実感。
BOSEなんかは周波数帯域は広くないらしいけど、
リスナーが聴いて「気持ち良い」と感じれば万事OKなのである。
人間はオシロスコープでもスペクトルアナライザーでもないのだから。

到着は2週間後だ。追って報告する。


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