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エディが思いつきでAVを斬る!語る!

大画面で見えてきたもの

(2004.3.20)


液晶プロジェクター「LP−Z2」を購入して一ヶ月が経った。
夢に見た80インチの大画面でAVライフを楽しんでいる。
しかし大画面では、ブラウン管では見えなかったものが見えてくる。
今回は大画面時代を迎えた映像機器の課題について述べてみる。


   ― 地上波がボケる ―

視聴している時間が最も多いという意味で、
我が家でのメインソースはアナログ地上波だ。
毎日音楽番組やスポーツ番組、バラエティなどを見ている。
音楽・スポーツ系は当然大画面で見たいという欲求に駆られるわけだが、
80インチに拡大すると映像品位的にはなかなか厳しい。
具体的には「ボケる」という問題だ。

地上波は映像規格で言えば水平720×垂直480画素のD1規格に当たる。
LP−Z2のパネルは水平1280×垂直720画素だから、
面積で約2.7倍に拡大している計算になる。
拡大するとボケるというのは映像では当然の原理。
さらに、地上波の水平解像度は、映像帯域の制限から約330本であり、
これを水平方向の画素数で考えると450画素程度になる。
つまり地上波は、もともとD1規格以下の解像度しかなく、
これを拡大しているからますますボケる。

ここで整理すると、地上波がボケるのは2つの問題が絡んでいる。
一つは地上波自体の情報量が少ないという問題。
同じNTSCでもDVDの映像はボケた感じはしない。
二つ目はスケーラー(拡大処理)だ。
LP−Z2でスルーモードで地上波を見ると、まずまず見れる品位なのに、
画面いっぱいに拡大するとガクッと映像がなまる。

地上波の情報量が少ないという問題は、今さらどうにもなるものではない。
しかし二つ目のスケーラーは工夫の余地があるのではないか。
「ソースの解像度を拡大/縮小してディスプレイの画素数に合わせる」
のがスケーラーの仕事だが、縮小は教科書的手法があるのに対し、
拡大はそのような手法はなく、工夫次第で差が出やすい。
適応エンハンス処理などを導入するなどして、
拡大してもエッジがボケないようにしてほしい。

これはプラズマや液晶TVでも言えることだが、
ハイビジョンはどの会社でもまずまずキレイに見える。
地上波やDVDの品位を上げることに力を入れて欲しい。

   ― 地上波の不満A ―

これまた地上波にまつわる問題だが、ゴーストがうざい。
28インチのブラウン管ではさほど気にならなかったものが、
80インチではこれ見よがしに強調されるような感じだ。
GRT付きDVDレコーダーにすげ替えたい。

ブロックノイズは出る場面と出ない場面があり、
またレート設定次第で出現頻度を制御できるわけだが、
ゴーストは”常に見えている”ノイズであり、DVDレコーダーは
どんなノイズリダクションよりもGRTを優先して搭載するべきだと思う。

続いては輪郭の品位だ。輪郭が太いのである。
もともとの周波数帯域が狭いため、もともと太いことと、
ゴーストが絡んで太ることと、色解像度の低さに起因する点とが
相まって、映像品位を下げている。

   ― プログレッシブ変換の巧拙 ―

地上波、ビデオソースのDVDをIP変換する際の巧拙が目立ちやすい。
インターレースソースをLP−Z2でプログレッシブに変換すると、
静止画では問題ないのだが、動きや輝度変化に対する安定度がイマイチだ。
走査線がダブついたり、スダレが出現したりと、落ち着かない。
DVDレコーダー「DVR−515H」」でプログレッシブ変換すると、
今度は一気にボケる。その代わり走査線は落ち着いている。

両者の差は、フィールド間相関を使うか否かだ。
LP−Z2は前後フィールドを使って補間を行い、
プログレッシブ画像を生成している。
垂直解像度は確保できるが、動き検出の精度によって
不自然な走査線の挙動が発生してしまう。
DVR−515Hは1フィールド完結でプログレッシブ変換する。
走査線の隙間を、上下の走査線の情報を使って埋めているのだろう。
垂直解像度はだいぶ低下するが、難しい動き検出を行う必要がなく、
走査線が不自然に見える現象からは解放される。
フィールドメモリが不要なので安価にできるというメリットもある。

もちろん、解像度を稼げる前者が理想的だ。
CRTディスプレイ「AV−28AD1」」では、
高解像度と自然な動きを両立したIP変換が行われているから、
フィールド間補間でも上手な処理はできるのである。
現在は解像度を優先して、不自然な挙動には目をつぶって、
LP−Z2でIP変換を行っているが、
やはり高度な動き検出を行うIP変換回路を搭載したプレイヤーが欲しい。

   ― DVDの限界 ―

普通にDVDソースを見ている分には、ほとんど不満なく見ている。
が、限界を感じなくもない。3つほど気になる点がある。

一つ目は映像フォーマット。D2規格は水平720×垂直480画素で、
上で述べたのと同じくLP−Z2ではパネルに合わせて拡大している。
今後地上波がハイビジョンになると、DVDがなまって見えるのは必至だ。
パネル自体も、今後は水平1920×垂直1080画素のフルHD構成に
移行する流れだから、DVDの行き先が見えてしまうようで寂しい。

二つ目は圧縮を行っていることに起因する問題だが、
暗部階調の滑らかさが足りないと感じる場面がある。
暗い場面で、黒と灰色の間のグラデーションが階段状に見えるのだ。
DVDの規格では、映像信号は8ビットで収録されている。
この8ビットというのが、暗部では十分ではないというのが最近の流れだ。

三つ目も圧縮に起因する問題だが、細い輪郭でリンギングが目立つ。
whitewindyさんのHPで画像つきで紹介されている(こちら。)。
クモの巣にノイズが絡んでいるのがお分かりだろう。
高周波の圧縮をきつく行っていることが原因だ。
DVD登場時は、大容量メディアという触れ込みだったが、
容量はまだ十分ではないと感じてしまう。

   ― まとめ ―

プロジェクターを購入したことで、様々な課題が見えてきた。
ゴースト、IP変換については、DVDレコーダーを変えれば解決する。
選択肢は多いから、場を改めて考察しようか。

また、DVDの限界が見えてきたこともあって、
やはりハイビジョンソースが欲しくなってくる。
ただそうなると録画機器もハイビジョン対応にしないといけないし・・・
またD−VHS生活に逆戻りか?

さらに、音もグレードアップせねばならないとも感じている。
スピーカーをいいものにしたい。
散財の妄想に取り付かれるエディ。


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