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私の住む地域でも地上デジタルが見られるようになったの受け、 9月にシャープの「DV−HRD20」を購入してから二ヶ月弱が経つ。 ハイビジョン放送をタイムシフト視聴でき、保存する時はSD画質に ダウンコンバートしてDVDに落とすわけだが、ハイビジョンの 精細感をよく残し、ゴーストレスでコントラスト感のある画質で、 高画質DVDライブラリの構築に活躍している。 それはいいのだが、デジタル放送を録画する時に切り離せないのが、 「コピーワンス」の存在だ。この「コピワン」のせいで、様々な制約が発生する。 番組の一部をダビングした場合、ダビング後はその部分が消去されるのは もちろんだが、プレイリストが作れないのが痛い。 番組を複数のチャプターに区切り、ハイライト部分だけをまとめて ダビングした場合、一つのタイトルとしてダビングができず、 チャプター分だけ同じタイトルができてしまう。 DVDプレイヤー同士で再生互換が取りやすいビデオモードでは ダビングできないし、安価なDVD−Rメディアも使えない。 (ただし今冬からは東芝とパイオニアの一部モデルで可能になった) さらに心配なのは、コピワン素材の再ムーブが認められていないことだ。 要は、ダビングしたものが他のメディアに移し変えられないということだ。 これはエアチェックファンには大きな心配事だろう。 「メディアはコンテンツの仮住まい」とは有名な言葉で、 メディアは時代によって移り変わるわけで、コンテンツはそれを 渡り歩けるようでなければならない。 今VHSからDVDへのダビング需要が高まっているが、これと同じような ことが将来起こる。DVDのコンテンツを他のメディアに保存するのだ。 コピワンはこれを不可能にする。例えばもっと大容量のメディアが登場し、 10枚のDVDをまとめてスペースを節約したいとか、あるいは DVDプレイヤーが廃れるような時代が来たとしても、ユーザーは そのコンテンツを動かすことができない。こんな不便なことはないだろう。
シャープから、ブルーレイディスクドライブとHDDとDVD−RWドライブが 一体となったレコーダーが発表された。ブルーレイ製品としては、 ソニーの「BDZ−S77」、松下の「DMR−E700BD」に続き3製品目となる。 しかし、HDDを搭載したのはシャープが初となる。 松下のE700は夏の発売だったが、あえてHDD非搭載としたのは ブルーレイ自体が大容量だからHDDは必要ないという点もあろうが、 HDDを搭載することで品質の検証が大変になることもあったようだ。 その点シャープは、ハイビジョン録画可能なHDD/DVD機である 「HRD」シリーズを2年前から手掛けていてノウハウが蓄積されており、 その下地の上にブルーレイを追加することが可能だったのだろう。 読み込みの早いHDDを搭載することでより快適な操作性が得られるし、 何より編集がしやくすくなる。やはりHDDはあった方がいい。 松下のE700はワントレイだったが、内部にブルーレイ用とDVD用の 2つのドライブを内蔵しており、内部でディスクを搬送するという ”カラクリ”があったわけだが、シャープは2トレイの完全独立構成だ。 ブルーレイにダビング中に、DVDを見たり、DVDを入れ替えたりできる。 確かに子供や女性などは、同じサイズのトレイが2種類あると戸惑うだろうが、 こだわるユーザーにとってはシャープの方がいい。 ハイビジョンを録画できて、SD画質でも高画質で長時間録画できる ブルーレイディスクは、エアチェックファンとしては大変魅力的だが、 本体・メディアともまだまだ高い。それに、HD−DVDとの戦争も 今後どうなるか、先行きはまだ不透明な部分がある。 個人的にはあまり大差ない2つのメディア、製品化に先んじたブルーレイ に統一でいいじゃない!と思っている。 価格が少なくとも15万、あわよくば10万円くらいになって、 次世代DVDの覇権争いがひと段落ついた頃(2年後くらい?)に 私は触手を伸ばすつもりだ。
DVDの登場によってデジタル録画が一気に浸透しているわけだが、 「デジタル放送を録画する」ということに絞ってみると、 「録画する」という行為は「ストリーム記録する」ということに他ならない。 放送されている情報を、そっくりそのまま記録するということだ。 これはデジタルだからこそできる芸当だ。再生時はこれをそのまま読み出す。 厳密に言えば、デジタル録画といえどジッター成分や記録エラーが 混入したりして完璧な記録が行なわれているわけではないだろうが、 誤り訂正技術などで見た目には全く劣化がないように見える。 元の情報をそのまま記録するのだから、画質は良くも悪くもならない。 これは今までのエアチェックからすると大きな変化である。 今までのエアチェックは「劣化する」ことが大前提であったからだ。 VHSはアナログ記録だったので、記録再生に伴い様々なノイズが 混入するのは避けられないことだったし、帯域制限があるので 解像度が低下するのも当然だった。(特に色の帯域は狭かった)。 それゆえ、ノイズの混入を防ぐ技術、ノイズリダクションが発達したし、 ヘッドの電磁変換特性を高めたり、TBCでジッターを低減したりと、 高画質録画を実現するための様々な手段が講じられた。 1990年前半の高級S−VHS機には、様々な高画質技術が満載されて いたものである。 また、高画質で残したい番組は「標準モード」で、HGのテープを使い、 そうでない番組は「3倍モード」で、一般のテープを使う、 というように、ユーザーがクオリティのサジ加減を調整できたので、 番組によってこれらを使い分ける楽しみがあった。 DVDレコーダーが登場し、VHSに比べて記録・再生は安定したが、 それでもMPEG2エンコードの巧拙、プリフィルタ・ポストフィルタ によってメーカー間で画質の差が存在した。またMPEG2も データ量によって画質が変化するので、高画質で残したい番組は 「XPモード」で、そうでない番組は「SPモード」でといったように ユーザーがクオリティのサジ加減を調整できた。 しかしストリーム記録では、「高画質技術」などというものはなくなり、 番組によってユーザーがクオリティを選ぶなんてこともできなくなる。 そこにはただ「データをコピーしているだけ」という無機的な 動作が存在するだけなのだ。 かつて「放送を劣化せずに録画できたらなぁ」と夢見ていたわけだが、 それが実現してみると、何とも寂しい気がしてきてしまう。
ソニーがこの冬発売するVAIOシリーズの最高峰となるのがこのモデル。 とにかく物凄い物量が投入されている。チューナーとエンコーダを6系統、 1TBのHDDを搭載というだけでも目を剥くほどなのに、 フルHDのLEDバックライト液晶モニターまで用意している。すごい。 このモデルだと、地上波の6チャンネルを一週間分まるごと録画できるという。 主要な民放キー局は一週間まるごとカバーできるということだ。 こういった流れは今後加速するだろうというアナリストがいる。 となると、これまた今までのエアチェックを大きく変える事件だ。 録画予約などという行為が不要になる。録画予約ミスもなくなる。 野球延長に対応する必要もなくなり、スペシャル番組なども録り逃しなし。 出掛けた先で見たい番組を思い出してもノープロブレム。 いいことづくめなわけだが、これは現在各社がDVDレコーダーで 今まさにしのぎを削っている競争の部分。 これらが全く意味がなくなると思うと、ちょっと寂しい気もする。 それに、24時間、全チャンネルを録画するなんて、全く環境にやさしくない。 例えば一週間だと24時間×6チャンネル×7日=1008時間も録画して、 実際に見た番組が1日3時間×7日=21時間だと仮定すると、 稼働率はたったの2%である。逆に98%はムダになっている。 そのために莫大な物量を使い、電力を使うというのはいかがなものか。 そう考えると、ビデオ・オン・デマンドのように、必要な時に ユーザーがサーバーにアクセスして必要な分だけコンテンツを ダウンロードするといったようなシステムが理想的だろう。 |