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低価格のホームシアター用プロジェクター市場が熱い。 以前の低価格プロジェクターは、大画面こそ実現できるものの、 クオリオティについては目をつぶらなくてはならなかった。 ところが昨年にブームに火がつき、一気に「低価格・高性能プロジェクター」の市場が拡大した。 そして今年、「低価格・高性能プロジェクター」市場は本格普及を目指す年。 新規参入メーカー、新たに低価格商品を投入するメーカーが相次ぎ、ますます活気づいている。 今回はこの「低価格・高性能プロジェクター」を取り上げる。 実売価格30万円以下という条件で、各モデルの画素数、投映方式、特徴、 見たことがある機種は画質の印象などをまとめてみた。 ― 低価格・高画質プロジェクターブーム ―ブームの先鞭をつけたのが、2001年11月に発売された、パナソニックの「TH−AE100」だ。低価格なプロジェクターは、大画面を実現するものであって、「安かろう、悪かろう」という部分があった。 しかしAE100は、DVDの480Pソースをカバー可能で、当時高級機の特権だった ワイドアスペクトの858×484画素の本格的なワイド液晶パネルを搭載。 ホームシアター専用設計の光学系、静音設計の冷却ファンも搭載して25万円を切る価格設定に、 人気が沸騰した。「カジュアルシアター」と銘打たれたAE100は、松下の目論見通り、 プロジェクター市場にマニア以外の新規ユーザーを引っ張り込んだのである。 時期を同じくして、斜め投射が可能で、設置スペースの制約を軽減したソニーの「VPL−HS1」、 高コントラストが実現できるDLP式で超小型のPLUS「HE−3100」などが比較的低価格で発売され、 一気に「低価格・高性能プロジェクター」ブームが市場を席巻したのである。 その背景には、DVDの普及、それに伴うホームシアターブームがある。 DVDをキレイに見たい、というユーザーがプログレッシブワイドテレビやプラズマテレビを買っていく。 そして、それに飽き足らず、「もっと大きな迫力の大画面が欲しい」と感じるユーザーが育ってきていた ということが挙げられる。さらに、プロジェクター市場が飽和してきたという事実がある。 プロジェクター市場のほとんどは業務用途で、ノートPCを接続して データ表示を行うプレゼンテーション用だ。このデータ用の市場が、参入メーカーの増加、 市場自体が成熟してきたことから、成長が見込めなくなってきたのだ。 そこでメーカーは、まだ潜在的ユーザーがいると見込んで、家庭用プロジェクター市場に 積極的に取り組むようになってきたのだ。
― ま と め ―低価格プロジェクターは、一昔前の「粗い・暗い」という状況からすると長足の進歩をしている。どの機種も、ただの大画面ではなく、映画を見られる品質を確保できている。 マニアでなければ、どれを見ても驚き、満足するだろう。さて、マニアの私ならどれを買うか。 TH−AE300 と VPL−HS10 の一騎打ち だ。印象では、どちらも液晶ドットはほとんど気にならなかったので、買うとしたらお店でじっくりと 両機の色調や色ムラをチェックして、HDTVやDVD、インタレースなどを入力して画質を見極めて、 どちらかに決める。DLP方式は、黒浮きがなく、パッと見はすばらしい映像なのだが、 カラーブレーキングというリスクがある。また、液晶でも黒再現はかなりの水準に達しているので、 DLP方式としては差別化が難しいところだろう。ワイドパネルではないのも、痛いと言わざるを得ない。 |