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ここはエディが思いついたAV機器に関する妄想・体験について語ったり、新製品についてコメントしたりするところです。

低価格・高画質プロジェクターが熱い!

(2003.1.9)

低価格のホームシアター用プロジェクター市場が熱い。
以前の低価格プロジェクターは、大画面こそ実現できるものの、
クオリオティについては目をつぶらなくてはならなかった。
ところが昨年にブームに火がつき、一気に「低価格・高性能プロジェクター」の市場が拡大した。
そして今年、「低価格・高性能プロジェクター」市場は本格普及を目指す年。
新規参入メーカー、新たに低価格商品を投入するメーカーが相次ぎ、ますます活気づいている。
今回はこの「低価格・高性能プロジェクター」を取り上げる。
実売価格30万円以下という条件で、各モデルの画素数、投映方式、特徴、
見たことがある機種は画質の印象などをまとめてみた。

  ― 低価格・高画質プロジェクターブーム ―

ブームの先鞭をつけたのが、2001年11月に発売された、パナソニックの「TH−AE100」だ。
低価格なプロジェクターは、大画面を実現するものであって、「安かろう、悪かろう」という部分があった。
しかしAE100は、DVDの480Pソースをカバー可能で、当時高級機の特権だった
ワイドアスペクトの858×484画素の本格的なワイド液晶パネルを搭載。
ホームシアター専用設計の光学系、静音設計の冷却ファンも搭載して25万円を切る価格設定に、
人気が沸騰した。「カジュアルシアター」と銘打たれたAE100は、松下の目論見通り、
プロジェクター市場にマニア以外の新規ユーザーを引っ張り込んだのである。

時期を同じくして、斜め投射が可能で、設置スペースの制約を軽減したソニーの「VPL−HS1」、
高コントラストが実現できるDLP式で超小型のPLUS「HE−3100」などが比較的低価格で発売され、
一気に「低価格・高性能プロジェクター」ブームが市場を席巻したのである。

その背景には、DVDの普及、それに伴うホームシアターブームがある。
DVDをキレイに見たい、というユーザーがプログレッシブワイドテレビやプラズマテレビを買っていく。
そして、それに飽き足らず、「もっと大きな迫力の大画面が欲しい」と感じるユーザーが育ってきていた
ということが挙げられる。さらに、プロジェクター市場が飽和してきたという事実がある。
プロジェクター市場のほとんどは業務用途で、ノートPCを接続して
データ表示を行うプレゼンテーション用だ。このデータ用の市場が、参入メーカーの増加、
市場自体が成熟してきたことから、成長が見込めなくなってきたのだ。
そこでメーカーは、まだ潜在的ユーザーがいると見込んで、家庭用プロジェクター市場に
積極的に取り組むようになってきたのだ。

PANASONIC
TH-AE200

  (定価 \240,000)

投映方式
 液 晶
パネル
 0.7型 (16:9)
画素数
 858×484画素
明るさ
 700ANSI
コントラスト
 700:1
騒 音
 28dB
重 量
 2.9kg

ブームの火付け役「TH−AE100」の後継機。ホームシアター専用設計、高画質を低価格で実現するというコンセプトはそのままに第二世代に進化。480P映像をカバーする画素数とワイドパネル、DVD視聴に合わせたパネルだ。明るさ、コントラストは一定の水準をクリア。画質は、自然な色使いが印象に残った。黒浮きもほとんどなく、力強い絵が見られる。ただ、AE300を見てしまうと、ドットが目立つなぁという印象を持ってしまう・・・ ただ、最安価格帯で言えば最強モデルだろう。自然な画調、ワイドパネル、低騒音、軽量で設置も簡単、台形歪補正(垂直のみ)、SDカードスロットまである。

SONY
VPL-HS2

  (実売価格 \160,000前後)

投映方式
 液 晶
パネル
 0.62型 (16:9)
画素数
 858×484画素
明るさ
 850ANSI
コントラスト
 600:1
騒 音
 30dB
重 量
 4.5kg

「プロジェクターはスクリーンの正面に置かなくてはならない」という常識を覆し、斜めからの投射を可能にした「VPL−HS1」の後継機。パネルのワイド化が図られている。また好みに応じて色調を変えるシネマフィルターが付属する。使い方の幅を広げる意味では歓迎できる。水平・垂直方向に対応した台形歪補正が可能。画質は見たことがなく、分からない。ネットではAE200と同レベルのような感じという声だ。

SANYO
LP-Z1

  (定価 \250,000)

投映方式
 液 晶
パネル
 0.7型 (16:9)
画素数
 964×544画素
明るさ
 700ANSI
コントラスト
 800:1
騒 音
 28dB
重 量
 3.4kg

業務用プロジェクターでは「BIG SHOW」シリーズが好評の三洋電機。本機は家庭用に特化した製品だ。液晶パネルはハイビジョンの1080i(1920×1080画素)の縦横半分で、ハイビジョンソースをキレイに映そうという狙い。台形歪補正は垂直方向のみ。またレンズシフト機能があり、画面を上下に動かせる。画質は、遠くからではハッとするような絵だった。近くで見ると、ドットは見えてしまうものの、コントラスト感があって、まずまずか。同価格帯のAE200とは、一対比較をしていないので何とも言えないが。フロントドア付きのデザインが好きという人もいそう。

PANASONIC
TH-AE300

  (定価 \320,000)

投映方式
 液 晶
パネル
 0.7型 (16:9)
画素数
 960×540画素
明るさ
 800ANSI
コントラスト
 800:1
騒 音
 28dB
重 量
 2.9kg

「TH−AE200」の上位機種。液晶パネルの解像度は960×540画素で、「LP−Z1」同様ハイビジョンを意識したもの。また、液晶パネルの前面に水晶パネルを配し、スクリーン上で画素の間隔が埋まるように光を僅かに拡大する「Smooth Screen」技術を搭載。台形歪補正は水平・垂直とも可能(AE200は垂直のみ)。画質は、素晴らしい。確かに画素が目立たなく、密度のある映像が映し出されていた。DLPに拮抗する密度感だ。これを見てしまうと、とてもAE200を買う気にはなれない。

SHARP
XV-Z90

  (定価 \350,000)

投映方式
 DLP
パネル
 0.55型 (4:3)
画素数
 800×600画素
明るさ
 600ANSI
コントラスト
 1200:1
騒 音
 29dB
重 量
 4.3kg

「液晶のシャープ」が作ったDLPプロジェクター。液晶の欠点である「黒浮き」のない映像が得られ、パネルが高開口率なので、高密度の「スクリーンのような」映像が得られるという特長を有するDLP方式だ。また本機は反射板の振れ角を10°から12°にして、よりコントラストを稼げるようにした新しいDMDパネルを使用、実に1200:1という高コントラストを実現している。横にAE300がある状況で見比べることができたが、密度感では同等だ。だが、人の着ている服に注目すると、より「黒」なのが本機だった。黒がしっかり再現できることは、他の色の再現性にも影響を与えるだけに、ここは重視したいところ。単板DLP方式特有のカラーブレーキング現象については、5倍速シーケンシャル方式としてその低減を図っている。パッと見では確かに気づかない。しかし動きの激しい所では色ずれというか、絵柄が乱れるような印象。気になって追いかけ始めると、もっと気になったりしてしまうのだろうか。長時間見てみないと何とも言えない。台形歪補正は水平・垂直に対応。レンズシフト機能も搭載。ワイドパネルではないのがマイナスポイント。

SONY
VPL-HS10

  (実売価格 \250,000前後)

投映方式
 液 晶
パネル
 0.87型 (16:9)
画素数
 1386×788画素
明るさ
 1000ANSI
コントラスト
 700:1
騒 音
 30dB
重 量
 5.4kg

「VPL−HS2」の上位機種というよりは、ハイエンドの「VPL−VW12WT」の下位機種という感じの本格派。画素数はライバル機を大きく上回る。緑色かぶりを抑えるシネマフィルターも付属。メモリースティックのスロットを搭載。台形歪補正は水平・垂直とも可能。画質は、画素数が多い分、ドットは目立たなくてなかなかいい。DLP方式とどちらが密度感があるかは一対比較をしないと分からない。また実際に見た訳ではないが、ハイビジョン入力も画素数が多い分有利だろう。

PLUS
HE-3200

  (直販価格 \298,000前後)

投映方式
 DLP
パネル
 0.67型 (独自画角)
画素数
 848×600画素
明るさ
 450ANSI
コントラスト
 700:1
騒 音
 32dB
重 量
 2.0kg

業務用のDLP方式プロジェクターではトップのPLUS。シャープの「XV−Z90」と同じDLP方式だ。本機のパネルは848×600画素という独特のものだ。4:3ソースでは800×600画素を使い、16:9では848×480画素を使う。通常の4:3パネルでは16:9ソースを映すと画面が小さくなってしまうが、本機では横に若干広がる分少し有利になる。台形歪補正は垂直方向のみ対応。画質は、「XV−Z90」と似た印象だ。見た時は調整が入念にされていたようで、色調がきれいに出ていて映画らしい映像だった。カラーブレーキングについては、長時間見てみないと何とも言えない。「XV−Z90」と比べると、黒は本機の方がほんのわずかだけ明るい。また、本機は本当に小さい!そして本体ボディカラーはシルバー、ホワイト、ブラック、レッド、イエローの5色が用意されているので、これらが気になる方もいるだろう。

   ― ま と め ―

低価格プロジェクターは、一昔前の「粗い・暗い」という状況からすると長足の進歩をしている。
どの機種も、ただの大画面ではなく、映画を見られる品質を確保できている。
マニアでなければ、どれを見ても驚き、満足するだろう。さて、マニアの私ならどれを買うか。

TH−AE300 と VPL−HS10 の一騎打ち

だ。印象では、どちらも液晶ドットはほとんど気にならなかったので、買うとしたらお店でじっくりと
両機の色調や色ムラをチェックして、HDTVやDVD、インタレースなどを入力して画質を見極めて、
どちらかに決める。DLP方式は、黒浮きがなく、パッと見はすばらしい映像なのだが、
カラーブレーキングというリスクがある。また、液晶でも黒再現はかなりの水準に達しているので、
DLP方式としては差別化が難しいところだろう。ワイドパネルではないのも、痛いと言わざるを得ない。

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