AV - eye
   
ここはエディが思いついたAV機器に関する妄想・体験について語ったり、新製品についてコメントしたりするところです。

DVDを核とした複合機が売れてます

(2003.9.11)


   DVDとHDDを組み合わせた「ハイブリッド・レコーダー」が売れている。
   近年、DVDを核として他の機能と合わせたタイプの複合型AV機器が登場している。
   今回は何種か存在するこれらの機器を取り上げて考察する。



  ― DVDプレイヤー+VHSデッキのコンボ ―

Victor HR−DV3 
(売価 \21,000前後)

ブルーのイルミが美しいデザイン。
DVDプレイヤー部は同社独自の
「ダイレクト・プログレッシブ」で
高品質なプログレッシブ信号を出力する

最も売れている複合型DVD機器と言えば、「DVDプレイヤー+VHSデッキ」というタイプだ。
2,3年前から登場し、DVDとビデオデッキが1台分のスペースで済むこと、
配線の必要がないこと、比較的手頃な価格だったことなどから、あっという間に市場の一角を形成した。
現在では単体のDVDプレイヤーよりも売れているのだという。
当初はDVD部は10bit/27MHzの映像DACを搭載したオーソドックスなものであったが、
近年はプログレッシブ出力に対応したものも増え、54MHzのオーバーサンプリングを行う機種も珍しくない。
またCD−R/RWの再生、DVD−RWの再生にも対応が進んでいる。
さらにMP3、JPEG、WMAファイルなどの再生にも対応するなど、高度化が進んでいる。

  ― DVDレコーダー+HDDのコンボ ―

Panasonic DMR−E80H
 (売価 \63,000前後)

80GBのHDDを搭載するDVDレコーダー
とのハイブリッド機。DVDはRAM方式で、
追いかけ再生などが可能だ。今文句なく
一番売れているDVD/HDD機だ

DVDは4.7GBという限られた資源しかないため、標準で2時間しか録画できない。
そこで大容量のHDDドライブを併載し、DVDの弱点を補おうという商品が登場した。
2000年12月に東芝が発売した「RD−2000」(当時定価27万円)がその嚆矢だっただろうか。
DVDに効率よく記録ができる、つまりは高画質なDVDが作れること、編集が容易なこと、
そして何よりHDDが使いやすかったことなどが理由で、高価なうちから消費者の注目を集めた。
6万円台にまで下がった近年では一般層にまでユーザーを広げている。
当初はHDD容量は30〜40GBだったが、現在では160GBや250GBまでに増加している。
DVDレコーダー部は倍速書き込みが進み、再生時もプログレッシブ出力に対応した。
またリニアPCM録音に対応、ブロードバンドを使用した外部からの録画予約、
大容量を生かした「おまかせ録画」といった機能も搭載し、高度化が進む。

  ― DVDレコーダー+VHSのコンボ ―

Panasonic DMR−E70V
 (売価 \61,000前後)

DVDとビデオ、どちらも録画ができる。
手持ちのVHSソフトのDVD化には
もってこいの一台

この機種はズバリ、「長年録り貯めたVHSソフトを手軽にDVD化する」ためのモデルだろう。
「テープは劣化する」という意識が消費者には根強く、貴重なVHSソフト資産をDVD化したいという
ニーズも少なからずあるだろう。本機を使えば、ボタン1つでVHSからDVDへダビングができる。
デジタルのもつ「ノイズ除去」という性質を利して、VHSをより高画質にしてDVD化できる。
ただしレートを十分に与えない場合は逆に劣化が目立つことになるので注意だ。
また自作したDVDを友人に貸す場合などに、DVDからVHSへのダビングもできる。
さらに地上波チューナーを2つ搭載しており、同時に2つのチャンネルを録画することも可能。
製品数は少ないが、他にはシャープが発売している。

  ― BSデジタルチューナー+DVDレコーダー+HDDのコンボ ―

SHARP DV−HRD10
 (売価 \125,000前後)

BS/110°CSデジタルチューナー内蔵の
180GBHDD+DVDレコーダー。
HDDにはハイビジョンが録画できるが、
DVDにはD1レベルに落として記録

やはり録画機器にチューナーが内蔵されていると便利この上ない。というかむしろそれが当然なのだ。
本機はBS/110°CSデジタルチューナー内蔵型で、BSデジタル放送を録画したい方にぴったりの製品だ。
180GBのHDDにはハイビジョンが16時間録画可能。D1レベルにはなるが、DVDにもスムースに落とせる。
DVDに落としても、ハイビジョン素材の良さを残した高画質が得られるようだ。
他にもプログレシッブ再生、PCカードスロットなどを搭載、もりだくさんの内容だ。
ハイビジョン録画だと劇的に容量を食うので、180GBでも16時間しか録れない。
今後、HDD容量をさらに増やしたモデルが登場するだろう。

  ― DVDプレイヤー+HDDのコンボ ―

Victor XV−HDV1
 (売価 \50,000前後)

80GBのHDDを搭載したDVDとのコンボ。
DVDプレイヤー部は同社独自の
「ダイレクト・プログレッシブ」だ。
DVD挿入部はスロットイン方式。

HDDの便利さを知ったユーザーが増えてきて、それらの層をさらに拡大しようという狙いで、
HDDとDVDプレイヤーとのコンボが企画された。といってもHDDとDVDプレイヤーとの
相互録画などはないので、HDDとDVDプレイヤーが単体であるのと同じだ。
つまりHDDとDVDが1台分のスペースで済むこと、HDDとDVDが同時に欲しい人などが
ターゲットになるだろう。DVD部は「ダイレクト・プログレッシブ」方式の高画質タイプ。

  ― DVDプレイヤー+メモリーカードスロットのコンボ ―

Victor XV−PZ55
 (売価 \18,000前後)

5種類のメモリーカードが直接挿入できる
スロットを搭載する。デジカメで記録した
静止画をテレビでスマートに鑑賞する
ことを想定している

PCカードスロットやSDカードスロットを備えたDVDレコーダーはいくつかあるが、本機は
SDカード、マルチメディアカード、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、メモリースティック
の5種類のメモリーカードが直接挿入できるスロットを備え、JPEGファイルが閲覧できる。
最近のDVDプレイヤーではどれもJPEG再生に対応してはいるが、その出画時間がおしなべて長い。
本機は出画時間を大幅に短縮し、快適な閲覧ができるという。
「ダイレクト・プログレッシブ」方式の高画質DVD、高さ48mmのスリムな本体などが特徴だ。

  ― DVDプレイヤー+AVアンプのコンボ ―

DENON ADV−1000
 (売価 \63,000前後)

総合出力330Wのアンプを搭載。
高さは80mmで、プラズマなどの
フラットディスプレイと組み合わせた
スマートなシアターシステムの
核としてもふさわしいだろう

高画質・5.1ch音声が記録されたDVDの登場によって、ホームシアターブームが到来した。
サラウンドを実践するにはAVアンプが必要になる。そこでDVD+AVアンプのコンボが企画された。
入門層をターゲットに、スペース的な有利さ、スマートさ、配線不要の簡単さなどが好評だ。
本機はドルビーデジタル・DTSのほか、ドルビープロロジックU、AACデコーダーも搭載。
DVD部もプログレッシブ再生にしっかり対応するなど、中身の詰まった製品となっている。
同様の製品は他社からも発売されているので、気になった方はチェックしてみよう。

  ― 考 察 ―

今回、DVDプレイヤーと何かのコンボという製品があったが、今後はDVDと言えば
録画できるのが当たり前になっていくだろう。ビデオと言えば、録画できるのが当たり前なのと同じく。

HDD+DVDレコーダーは、より一般化していくことが考えられるが、すぐに限界が来ると思う。
機械に強くはない女性や年配層の人が、HDDとDVDのコンボを使いこなせるとは思えないからだ。
その点では、今後は単体のDVDレコーダーの方が「ビデオの置き換え」としては有望ではないか。

BSデジタルや地上波デジタルチューナーを搭載した製品も増えてくるだろう。
やはりチューナーは録画機器に搭載されていないと使いづらい。
ただ真の意味では、ブルーレイディスクレコーダーとのコンボであるべきなのだが。

また現在のDVDレコーダー市場は、RAM陣営とRW陣営が激しいつばぜり合いを演じているが、
東芝がマルチ対応のHDD/DVDレコーダー「RD−XS31」を発売、規格の問題をクリアした。
ビクターもマルチ対応のDVDレコーダー「DR−M1」を発売、
今後はユーザーが「安心感」を得られるマルチが主流になるだろう。


DVDを核として、実に様々な種類の、そして実に多くの製品が世に出ていることを実感した。
DVDは登場時から「最後の大型家電」と言われていたが、まさにそうなっている。
今後もDVDは若干の変化を繰り返しながら、しばらくはAVの核として君臨し続けるだろう。


閉じる