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先日CD−R/RWドライブをタダでGETし、「MP3オーディオをCDに落とす」ということを始めた。 そうなると、音楽ソフトを保存・持ち歩くメディアがCDとMD、2つ存在してしまうことになる。 私としては、音楽をどちらかに一本化・あるいはどちらかを中心にして保存したいと考えている。 そういう流れで今回は、MDか?CDか?を考えてみたい。 ― 具体的な選択肢 ―○CDの場合音楽CDをリッピングしてMP3変換、あるいはネットをソースとし、 全てMP3ファイルとしてPCに取り込んだ後、CDに落とす。 ○MDの場合 音楽CDは直接MDに録音する。ネットでGETした音楽ファイルは、 NetMDに対応した機器を用いてMDに転送する。 MP3を聴く土壌としては、録音は先日GETしたCD−R/RWドライブで行う。 聴くのは、家では私の彼女の1人であるDVDプレイヤー、Victor XV-PZ330で MP3ファイルの再生が可能だ。学校では自分のノートPCがあるが、ちょっとスペック不足で、 何か作業をしながら音楽を聴く際にはあまり快適ではない。よって学校にいる時と、 通学その他の外出時に聴くためにポータブルのMP3プレイヤーが要る。 一方MDは、PCにあるMP3をMDに落とす手段がないので、録音機器が必要だ。 外出時は、先日購入したばかりのポータブルMD、SHARP MD-ST770がある。 2001年8月に発売されたものだが、MDLPに対応している。 整理すれば、ポータブルのMP3/CDプレイヤーを買うのか、 NetMDに対応した録音機器を買うかの二択の状況だ。 ― Net MDって? ―PC、CD−Rがこれだけ普及した今、MP3を楽しんでいない人のほうが少ないと思う。しかしNetMDというのは聞き慣れない、あるいは聞いたことはあるがよく知らない、 という諸兄が多いのではないか。というか私の知識も完璧ではない。 そこで、一度ここで「NetMD」について書いてみよう。 「NetMD」とは、ネットワークに対応したMD、もっと言えばPCとの連携を可能にする 接続システム全体を指す。制定者はMDのフォーマットホルダーであるSONY。 SONYでは従来からPCとの連携を進めており、PCとMDデッキをケーブルで接続し、 PC上でタイトル入力・曲の入替などの編集ができる「PCリンク」というシステムが実用化され、 既に同社製のMDデッキは全てこれに対応したものとなっている。 「PCリンク」では、デジタル録音できるのはCD・DAT・衛星放送で、PC上の音楽ファイルは不可能だった。 「NetMD」ではPC上のMP3ファイルもデジタルのまま録音できるようになった点が画期的だ。 従来、MP3はCD−Rに落とすか、メモリースティックなどのメディアに落とすしかなく、 MDとPCの間には溝が存在した。そのため、「MDは近いうち廃れる」という説まで飛び交っていた。 が、「NetMD」の登場によってその溝は埋められ、MDはその魅力を取り戻した。 もう少し具体的にみていこう。「NetMD」のインターフェースはUSBを使用、 PCとMDデッキをUSBケーブルでワンタッチ接続すれば済む。 CDからのデジタル録音は今まで通りの使い方で、ATRAC3という圧縮方式でMDに収録する。 PC上のMP3ファイルをMDに転送する場合は、MP3ファイルのままではなく、 MDの圧縮方式であるATRAC3に方式変換されてからMDに収録される。 「何で方式変換するの?」という疑問、「変換するってことは音が劣化する?」という不安もあろうが、 ここがミソで、ATARC3というMDの圧縮方式で録音することで、 全てのMDプレイヤーで再生可能という普遍性をGETしているのである。 (ただしMDLP方式に対応している必要はある) ― データ量と音質 ―NetMDについて整理したところで、MP3−CDとNetMDの比較をしていこう。まずは音質の比較だ。といっても圧縮メディアの性格上、ビットレートによって良くも悪くもなる。 MP3では、ビットレートは128,160,192,256,320kbpsの5種類に大別できると言ってよいだろう。 私の体験から言うと、128kbpsでは不満を感じる。ただ、劣化の目(耳?)立ち具合は曲を選ぶようで、 128kbpsでも特に不満なく聴ける曲もあれば、320kbpsでも不満を感じる曲もあった。 エンコードソフト・エンコード環境等も関係しているので断言はできないが、 192kbps以上であれはまず不満なく聴けるかなという印象だ。 いっぽうMDは、録音モードはSP、LP1、LP2の3種類で、ビットレートはそれぞれ264,132,66kbps。 ビットレートが1/2,1/4になっているので、録音時間はSPの2倍、4倍に伸びることになる。 私の所有しているMDデッキがMDLPに対応していないので、SP以外は聴いたことがないが、 SPで不満を感じたことは一度もない。ネットでの情報ではLP1はSPに肉薄する音質というから、 LP1を常用できるかもしれない。LP2は一気に音質が劣化するということで、使うことはないだろう。 ― 収録曲数 ―MP3は、128kbpsにおいてCDの約1/10にデータ圧縮できると言われているので、CD1枚に15曲入っていると仮定すれば、MP3−CDでは150曲入ることになる。 音質を確保するために、上記の192kbpsを選択した場合は約100曲入る。 MDはLPモードでは録音時間が2倍になるので、同様に考えればMD1枚に30曲入る。 収録曲数の差は3倍強としておこう。 生活に即して考えると、普段の通勤・通学に際しては、 MP3−CDの場合は、CDを1枚持っていれば大体は事足りそうである。 MDの場合はやはりディスクを複数枚持つことになるだろうか。 また、MP3−CDでは例えば宇多田ヒカルのアルバムを3つまとめて1枚に収めることができるが、 MDの場合は「宇多田ヒカル」というMDが2枚できることになる。 MP3−CDではモー娘。、ミニモニ、タンポポ、松浦亜弥等をまとめて「ハロプロCD」なるものが 作れたりするが、MDでは不可能だ。 これは、ディスクチェンジの回数の多さに直結しており、この点では大容量のCDに分がある。 ― ランニングコスト ―CD−Rは今や店頭に山積みされて売られるようになるほど廉価なメディアとなった。一枚当たりの価格は100円をゆうに下回り、50円に迫ろうかという勢いである。 「湯水のように使う」改め「CD−Rのように使う」ということわざが生まれる程(今自分で作りました)で、 使い捨ての代名詞的存在と言ってもいい。CD−Rは一旦書き込んだら終わり、 あとで編集はできないし、繰り返し使用も不可。使い済みのRはゴミとなり、環境負荷が高い。 環境に優しく、かつMDと同様な使い方をするにはCD−RWディスク、これは1枚150円程度だ。 MDは一枚100円程度からGETできる。 ここではCD−Rを60円、RWを150円、MDを100円として、収録曲数を上記のように仮定すると、 1曲あたりのコストは以下のようになる。 CD−R:0.6円/曲 CD−RW:1.5円/曲 MD:3.3円/曲 となる。相対的にはMDの高さが目立つが、絶対的にはどのメディアも安い。 そこまで気にすることもないと思う。 ― ファイル共有システムはいつまで存続する? ―近年「WinMX」「Napstar」等に代表されるファイル共有システムが問題になっている。あるPC上にある音楽ファイル等を、ネットワーク上で共有、要は他人がそれをコピーできる。 極論すれば、誰か1人がCDを買ってそれをファイル共有にかければ、 他の人はCDを買わずにタダで音楽ソフトを入手できてしまうのだ。 実際にはMP3に変換されるのが普通なので、CDのコピーという訳ではないが、 それでも音質に満足して使っている人の方が多い。しかしこれは間違いなく著作権を侵害しており、 言い換えればCD店で万引きをしているのと同じことなのである。 しかしユーザー側には著作権に対する考えが浸透しておらず、罪悪感も感じないまま タダでソフトがGETできる便利さに浸ってしまっている。 音楽業界からの申し立てによって、「Napstar」に業務差し止め命令が出されたのは記憶に新しいところだ。 「WinMX」等も、いつ「Napstar」の二の舞となっても何ら不思議はないし、 ネット上のMP3ファイルに対する監視も厳しくなっていくことになろう。 ― コピーコントロールCD ―CD−Rの普及に伴って、音楽CDを複製する行為が蔓延し始めた。前述のように、この行為は音楽制作者に対し正当な対価を払っていないので、万引きと同じだ。 特にCD−Rの場合は、理論上全く音質を変化させることなくコピーCDが作成できてしまう。 タダでCDのコピーがGETできてしまうとなれば、消費者がCDを買わなくなるのは当たり前で、 実際、ミリオンセラーCDの数は1995年当たりを境に減少を辿り、 今年に限ってみれば浜崎あゆみの「H」が初のミリオンセラーCDとなったいう状況だ。 これはCD−R、MD、上述のファイル共有システムの普及が影響していると見る関係者が多い。 このまま行けば、音楽業界はその根底から崩壊する危機に直面することになり、 「音楽はもうからないビジネスだ」となれば、優れた音楽ソフト自体が作られなくなってしまう。 この危機的状況に対する対策として、コピーコントロールCD(CCCD)が発売され始めた。 これによって、CD−Rへの複製、PC上への音楽の取り込みが不可能になる。 当然、MP3ファイルへの変換も出来なくなる。裏技を使えば可能みたいだが、面倒らしい。 こういう訳で、CCCDで発売された楽曲はMP3ファイルの入手が困難になると予想される。 ネット上でもこぞってダウンロードの対象とされるはずで、高品質のファイルをGETするのは難しくなるだろう。 以上から、MP3ファイルの先行きは決して明るくなく、数年後には「WinMX」が停止、 レコード会社は発売するCD全てをCCCDとする体制に移行、さらにネット上に存在する MP3ファイルに対する厳しい監視体制が敷かれ、MP3ファイルが入手困難になる・・・ という最悪のシミュレーションも、可能性としてはあり得るのである。 一方、CCCDはMDへのデジタル録音は従来通り可能で、MDでは何の問題も発生しない。 また、MDの価格には「私的録音補償金」が含まれており、これがレコード会社に対し支払われている。 さらに、MDは「SCMS」という著作権保護技術を使用、デジタルコピーは1回のみに限定される。 補償金制度、著作権保護技術によって、MDは正当な録音メディアとして業界からも認知されている。 従って、MDに録音不可とするようなCDはまず発売されないだろうという見方をしてもよいだろう。 ― ポータブルプレイヤー ―MDは発売10年が経過しただけあって、ポータブル機の品質は高い。電池を入れても100g以下の軽量、MDと同サイズのコンパクトさ、充電池だけで30時間を越すスタミナ再生。 価格は1万5千円〜2万円という範囲だ。 一方MP3はジャンルとして確立されたばかりだが、最近急速に製品数が充実してきた。 CD/MP3プレイヤーを軽く調査した限りでは、最軽量で120g台(電池含まず)、CDと同サイズ、 充電池だけで30時間以上の再生時間を持つモデルがあった。価格は1万後半くらいか。 ただ、技術の進歩も物理的な大きさだけは埋められない。 カバンに入れて聴く場合、CD・MDどちらも大差なし。胸ポケットに入れて聴くのはMDだけが可能。 CDサイズは、「荷物」という感じがするが、MDサイズは「アクセサリ」という感じがする。 まあこれは個人の感覚次第で決まるところではある。 ― 環境耐性 ―CDは脆弱なメディアである。光・熱・汚れ・キズ・衝撃など、破壊・破損の危険性はいくらでもある。MDはいずれの要素にも強い。というかMDというフォーマット自体がそうなるように作られたのだが。 ただ、CDを読めなくしてしまったことは今まで一度もない。 取り扱いに注意するということが体に染み付いているからだろう。 ― プラットフォーム ―ここでいう「プラットフォーム」とは、ディスクが再生できる環境のことを指し、当然多いほうがいい。MP3が再生できるのは、PC、ポータブルMP3プレイヤーに加え、最近はDVDプレイヤーもほとんど対応。 PCの数だけプラットフォームがあると思うと、すごい数になる。 インドアでは、PCまたはDVDプレイヤーで再生できるということになる。 逆にポータブルMP3プレイヤーはまだまだ少数で、アウトドアの環境では大きな顔はできない。 これに対し、MDはMDプレイヤーでしか再生できない。 インドアでは、MDコンポ、MDデッキを持っていないと聴けない。 ただその普及率の高さからして、聴けないという人はごく少数だろう。 アウトドアでは、多くのポータブルMDが出回っているのに加え、カーオーディオは今やMD付きが当たり前。 車の数だけプラットフォームがあると思うと、すごい数になる。 ― どっちにする?? ―これは非常に悩む。収録曲数、コストではMP3。携帯性、タフさではMD。だが、ソフトに対する将来性では、MP3は暗いと言わざるを得ない。 最悪の状況というのは、「曲数が入らない」ではなく「コストが高い」でもなく、 「欲しいソフトを、欲しい時に、欲しい品質でGETできない」という状況なのだ。 「ゲーム機もソフトがなければただの箱」「PCもソフトがなければただの箱」という 俳句にもある通り、ソフトをまず第一に考えて間違いないと思うのだ。 しばらくはMP3−CDの普及が進むと思うが、上で考えた最悪のシミュレーションによって MP3ファイルの入手が困難になった場合、MDの大逆転劇もあり得るのだ。 MP3−CDは、MP3ファイルを入手できる間は大活躍するが、 もし入手が困難になった場合は一気に使いづらいものとなってしまう。 MDは、MP3ファイルを入手できる間はNetMDとして用い、 入手が困難になった場合は従来通り、CDからのデジタル録音をすればよい。 ハッキリ言って、現在を考えれば、私はMP3−CDを選ぶ。だが、将来に対するリスクは大きい。 MDは、現在を考えればMP3−CDには劣るが、将来に対するリスクはほぼない。 よって、私はMDと一蓮托生という道を選ぶ! |