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今年も行って来ましたCEATEC! 旧「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」が合体してからは、 今年で3回目となるCEATEC、いつになく活況を呈していたように感じた。 今回の「AV−eye」は、私エディが見たCEATECのインプレッションを 会社別に整理して述べてみたい。一応満遍なく見たつもりだが、見切れていない部分もある 可能性があるし、何ぶん私の主観での意見なので、その辺を割り切って読んでいただきたい。 ― ビクター ―◎「第2世代DET」搭載プラズマ・ブラウン管昨年発売し大きな反響を得た「DET搭載・走査線1500本ディスプレイ」。 今年はこのDETを第2世代に進化させ、プラズマ・ブラウン管に搭載してきた。 昨年モデルでも鮮明・高精細な映像を表示していたが、今年もキレイだった。 というかプラズマはどの会社もキレイだ。非常に高次元での争いになっており、 同一ソースで横並べ視聴でもしないと差は分からない。 ◎「民生用初・デジタルハイビジョンムービ−」 現行のMiniDVテープに16:9で480P、720Pでの記録ができるというもの! 年内の発売を目指しているということで、これはマニアを確実に捉えるはず。 筐体も大きなく、しかも現行のテープを使えるというのはかなりのアドバンテージだ。 ◎独自のMPEG技術「MET」 1.3Mbpsで720×480画素の映像をエンコードできる。 現行MPEG2ではこのレートだとハーフD1(360×240画素)に落ちてしまうので、 比較では差が歴然!どこが違うのか?と説明員に聞いたところ、 MPEG4の技術と、デコード後のフィルタリング等をうまくやっているとのこと。 ただ独自規格で、互換性がないため、HDDレコーダーのような自己完結型の製品に 搭載することになるだろうと話していた。 ◎「Blu−ray Discレコーダー」 9社連合の方で、参考出品。2003年末が発売予定とされ、ビクター含め9社が展示していた。 片面25GB、二層ならば50GBの記録、36Mbpsという高転送レートを実現している。 ◎光無線技術 1.25Gbpsという超高転送レートを実現、ハイビジョン映像を圧縮することなくベースバンドで 伝送できるという。これをプラズマ等の製品に応用・展開していくとのこと。 ◎家庭用ネットワーク これまた参考出品だったが、ホームサーバーとその子機となる端末でネットワークを構築、 映像・音楽を自由に融通させるシステムのデモが行われていた。 ◎「D−THEATER」 「D−THEATER」とは、D−VHSデッキとD−VHSソフトでハイビジョン映像を映すシステム。 既にアメリカでは発売され、専用デッキが20万前後、ソフトが4000円程で売られている。 映画のデモでは、DVDとは一線を画す高精細な映像と、サラウンドが織り成す世界を堪能した。 W杯の決勝の模様はエアチェックしたものだったが、やはりハイビジョンはすごい。 選手1人1人の動きや、飛び散る汗が見える、会場の熱気まで伝わってくる。 次世代の青色DVDが注目されているが、ハイビジョンを録画できるのは現在ではD−VHSしか ないわけで、もっと注目されて然るべきだと思う。 ― ソニー ―◎「GLVプロジェクター」ソニーブース今年一番の注目がこれと言ってよいだろう。 今最も熱い注目を浴びている高精細・大画面ディスプレイ装置、 液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタ、D−ILAプロジェクタと強豪居並ぶ中に打って出たのが、 全く新たな方式を採用した「GLV」である。GLVは「Grating Light Valve」の略で、 光源にRGB3つのレーザー光を使用、これをリボン素子に当て、 その回折効果によってスクリーンに映像を投射するというもの。 これはかなりすごい。画素のようなものは見えず、コントラストも十分、色は本当に鮮やか。 画素数は1920×1080で、これ程の精細度を実現するのは液晶・DLPとも今のところできていない。 性能としてはD−ILAと比肩するに十分だ。 ただD−ILA方式は3840×2048画素という超高精細モデルがあるし、既に実用化している。 GLVプロジェクタの実用化はいつで、いくらなのか、ということが焦点になってくる。 ◎「WEGAエンジン」を搭載したディスプレイ群 この秋のソニーのディスプレイの新製品に搭載されたのは「WEGAエンジン」だ。 DRC、周波数統合などの従来技術に加え、入力部でのA/D変換、表示素子に合わせて 最適な信号処理を行うなどの技術を加えて「WEGAエンジン」と名付けている。 これをプラズマ、液晶、リアプロジェクター、ブラウン管に一気に搭載してきた。 プラズマはマジキレイ。つってどこの会社もキレイなんだけど。 驚いたのはリアプロだ。精細度、明るさ、プラズマに引けを取らない。 以前のリアプロにありがちな視野角の狭さ、画面の暗さなどは全く感じられなかった。 これでプラズマの半分以下の価格では、人気というのもうなづける。 ◎「チャネルサーバー“Cocoon”」 カテゴリとしてはHDDレコーダーなのだが、それにカスタマイズ機能やネットワーク機能を 足したものと解釈すればよい。自分の好きなカテゴリの番組だけを録画したり、 外出先から携帯で録画予約ができたりする。実際に積極的なデモを行っていた。 ― 松下 ―◎「無線伝送技術」IEEEに準拠して転送レート24MbpsのHD映像を伝送できるシステムをデモ。 ◎「家庭用プロジェクター」 「TH-AE300」と「TH-AE200」を同時発表した松下だが、映像を投射していなかったのが残念。 ◎「ビューティ・タウ」 松下も負けじとディスプレイ。昨年とパネル・デザインを一新したプラズマが注目を集めていた。 あとは現行のDVDレコーダーやSDカード製品などを展示していた。 ― 東芝 ―◎「ブルーレーザーレコーダー」東芝は9社連合の「Blu-ray」グループに加わらず、独自方式のレコーダーを推進している。 「現行DVDと同じ0.6mm厚の基板を採用、互換性確保が容易だ」という主張だ。 2層ディスクで書き換え型40GBと、Blu-ray陣営の50GBよりも少ない。 ◎「改良DVDレコーダー」 現行の記録型DVDと同じ赤色レーザーを使いながら、MPEG4特有の圧縮技術の一部を使用することで 現行DVDディスクへの高画質録画を可能としたAdvanced MPEG2方式である。 デモでは転送レート13MbpsのHD画像を見せていた。 ◎「DVD/HDDハイブリッドレコーダー」 このジャンルでX1とX2という2モデルを発売、好評を得ている東芝が、その下位機種を展示していた。 HDDを60GBに減らし(X1&X2とも80GB)、薄型化、操作を速くしたという。 プログレッシブ出力には対応せず。う〜ん、売れるかな?松下のDMR−HS2には勝てないのでは? あとはプラズマ、プロジェクターなどを展示していた。 ― 三菱 ―◎「MPEG圧縮技術」9.8Mbpsでハイビジョン映像が伝送できる、独自の圧縮技術を展示していた。 現行のDVDレコーダーが10Mbpsで60分記録できるのだから、 この技術によればハイビジョンが60分録画できる計算になる。 実際の映像をデモしていたが、確かに解像度が高く、鮮明だ。 細部に若干ジラジラしたノイズが乗るシーンもあったが、十分実用になるだろう。 ◎「大画面DLPリアプロ」 4:3で59インチという大画面リアプロジェクタを展示していた。 DLP方式のため焼きつきが発生しないのが売りで、長時間映像を映しっぱなしにする 業務用途での使用を訴求していた。26cmという薄さも驚き。 1024×768画素のXGAレベルだが、プラズマなどと比べると若干解像感が劣る。 その他は3Dヘッドフォン、スカウターのようなディスプレイが展示されていた。 ― シャープ ―◎「液晶ディスプレイ群」2005年までに、全てのディスプレイを液晶にすると豪語しているだけあって、 13型から30型までのラインナップを陳列したブースは圧巻の一語。 30型は解像度・明るさとも申し分ない。 液晶はプラズマに比べ消費電力が低く、軽量(プラズマは薄いが重い)という長所がある。 その代わりプラズマやブラウン管に比べ高い。 ◎「無線伝送プロジェクター」 発売されたばかりの「XV-Z90S」が、実際に映像信号を飛ばして投射していた。 無線伝送技術は技術展示にとどまっている会社が多い中で、実用化しているシャープはすごいというべきか。 ただし伝送できるのはD1レベルの480iのみ。 ◎「1ビットオーディオ」 これまた同社が推進する技術だ。ミニコンポ、ホームシアターシステム、ポータブルMD等、 現在発売している製品を並べていた。ミニコンポからは元気のいい音が聴かれた。 その他、高転送レートの無線伝送技術、DVD-RW/HDDのハイブリッドレコーダー、携帯電話等。 ― パイオニア ―◎「プラズマディスプレイ」「ディープワッフルリブ構造」を持つ同社独自のパネルを搭載したディスプレイをPRしていた。 う〜ん、でもホントどの会社もキレイで、一見して差が分からない。 ◎「新DVDレコーダー」 HDDとのハイブリッド型の「DVR-77H」、DVD単体の「DVR-55」がお目見え。 DVD−RWグループのブースもあって、RAM陣営への対抗意識が見える。 ただ、RWとRAMは明確な差がない。「勝てば官軍」という流れになるだろう。 ― 日立 ―◎「プラズマディスプレイ“Wooo”」「ALIS」方式の新世代パネルを搭載した製品群を展示。 垂直方向の画素数的には他方式のパネルを凌いでいるので、解像度は鼻の差で有利か。 ◎「DVDビデオカメラ」 8cmのDVDディスクに録画するビデオカメラ。ファインモードで30分録画できる。 非接触型なので書き込みエラーが発生する可能性があったり、録画時間が短いというネックはあるが、 重ね録画の心配がなく、録画してすぐ再生、単体で編集が可能などの使い勝手の良さを訴求していた。 ◎「高性能・多機能PC」 日立のPC「プリウス」は最近大容量HDDを搭載し、テレビ録画もできるとPRしている。 展示ではDVD-RAMも搭載、「映像をHDDで録画して多彩に編集、DVDに焼く」というスタイルを実現している。 ― 三洋 ―◎「プラズマディスプレイ“VISON”」「ALIS」方式のパネルを搭載したもので、こちらも非常に鮮明。 ラックとパネルを一体化し、和室にも合うようなデザインは独自性があってよい。 またウーハー付きのスピーカーを搭載していることをアピールしていて、確かに迫力が感じられた。 ◎「有機ELディスプレイ」 三洋以外にもパイオニアなどが展示していたが、三洋は15型から携帯電話用まで多彩なラインアップ。 15型はカラフルで鮮明で驚いた。 ◎「多視点3Dディスプレイ」 3Dディスプレイでは先駆け的なメーカーの三洋、今年は複数の人が見ても立体に見えるという ディスプレイを展示。ディスプレイの前をツカツカと通過して見たが、 立体感を失うことなく映像が推移していくのは驚きだ。 ただ、画素をいくつかに分類して駆動しているため、解像度は落ちる。 ◎「家庭用液晶プロジェクター」 「LP-Z1」は960×540画素のパネルを用いた液晶プロジェクター。 実際に映像を投射していたが、この画質が25万円とは・・・と唸ってしまった。 コントラストもしっかりしていて(800:1)、解像度も十分。 その他、携帯電話を多数展示していた。 ― 総括 ―と、各社の展示の様子をかいつまんで述べてきました。全体として目立ったのは、やはり平面ディスプレイだ。各社ともプラズマの新製品を展示していたし、 液晶も複数のメーカーが展示していた。 そして今年はプロジェクターが元気だ。家庭用の、比較的リーズナブルな価格帯を中心に、 各社とも力を入れている様子がうかがえた。 またネットワーク機器も、本格普及を見据えたデモが行われていた。 家庭で無線LANネットワークを構築し、各部屋で小型の液晶ディスプレイを見ながら 家族が音楽・映像をやりとりする・・・そんな世界がだんだんと現実のものとなりつつある。 高レートの無線伝送技術も各社取り組んでいる。 各社とも非常に頑張っているという感じがした。ということは逆に言えば、 電機業界の競争の激烈さを表していたようにも思う。 |