AV - eye
   
ここはエディが思いついたAV機器に関する妄想・体験について語ったり、新製品についてコメントしたりするところです。

5.1chサラウンドシステム ― part2

(2002.10.29)


今回は、前回に引き続き5.1chサラウンドパッケージを特集する。
しかし今回はDVDプレイヤーも一体化したパッケージだ。
プラズマやフラットTVを買って、それに合わせてホームシアターを構築したい、
今までPS2でDVDを楽しんできたけど、専用のプレイヤーを買いたい、ついでにサラウンドも楽しみたい、
といったユーザーが想定される。調査の対象とした製品群は、
ドルビーデジタル/DTSデコーダー内蔵アンプとDVDプレイヤー、5.1chスピーカーをセットにしたもので、
価格は依頼者の友人K君の要望により6万円程度を上限とし、基本的には各社の最新モデルを取り上げている。
各社の製品群の中から、アンプ・DVD・スピーカーが1パッケージになっているモデルを優先して取り上げている。
各製品のデコード機能、音場処理の有無、出力ワット数、DVDプレイヤーの画質・機能、
スピーカーの品質、デザイン、拡張性という順に注目してレポートしている。
製品は価格の安い順に並べてある。価格は「価格.com」の表記に基づいている。

Victor
TH-PZ1

  (実勢価格:37,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSのみで、デコード信号に音響処理を加えることはしない。
ステレオ信号を5.1ch化するドルビープロロジックU、AACにはいずれも対応しない。
ステレオ信号用には「シアター」「ホール」など4つのDSPがある。
アンプ出力は、25W×5、ウーハーが40Wの計165W。家庭用としてはまず十分な出力。
DVDとしては、プログレッシブ出力に対応。ただしプログレッシブ信号の生成法については記述がない。
ただ10bit/54MHzのDACを搭載しているから、D1出力としても高解像度・低ノイズの画像が得られるだろう。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーも内蔵する。
サテライトスピーカーは8cm、ウーハーは18.5cm、6層巻きボイスコイルで駆動力をアップさせているとのこと。
写真では分かりにくいが、本体はハーフミラーデザイン、なかなか高級感がある。スピーカーは樹脂製で安っぽい。
映像出力はD2、S端子、コンポジットが各1。音声は光デジタル出力が1で、アナログ入力が1つというのは少ない。
本製品は、この価格にしてプログレッシブ出力を装備した本格的なDVD部、まずまずの音質も期待できるという
コストパフォーマンスの高さが売りだろう。ただし、DVDを見る場合はまだしも、
通常のTVを見たりする場合にはプロロジU系がないので不満が出てくるかもしれない。
なお、プログレ出力を外してAACデコーダーを搭載した「DH−A5」も本製品と同等の価格で売られている。
デザインがこちらの方が好きという人もいるかもしれない。

KENWOOD
DVT-6100

  (実勢価格:47,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSで、デコード信号に音響処理を加えることはしない。
ステレオ信号を5.1ch化する機能は、ドルビープロロジックUとSRSサークルサラウンドUの2種類があり、
加えて独自のDSPサラウンドもあり、ステレオ信号に対する対応はバッチリだ。AACはなし。
アンプ出力は、40W×5、ウーハーが80Wの計280W。十分過ぎるほどだ。
DVDとしては、プログレ出力には非対応、映像DACについても記述なし。オーソドックスなDVDということだろう。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーも内蔵する。
サテライトスピーカーは5cm、ウーハーは16cm。独自の技術でスピーカー間の音のつながりを確保したという。
しかし5cmのサテライトは小さい。しかも密閉型、大音量で音が歪む可能性がある。
そしてウーハーに音が引っ張られる可能性もあり、ウーハーの設置の自由度に影響があるかも。
本体の材質は不明だが、グリーンがささやかな主張をしていて、なかなかスタイリッシュか。スピーカーは樹脂製でチープ。
映像出力はD端子はなくコンポーネント端子、S端子、コンポジットが各1。
音声は出力が光・アナログ各1、入力が光2・アナログ3系統と非常に豊富だ。
本製品は、DVDだけでなく通常のTVや音楽などもいい音で楽しみたい方、拡張性を重視する方にお薦めだ。
DVDの画質については他機に譲る、大音量再生・ウーハーの設置に不安があるのがネックだ。

DENON
DHT-300DV

  (実勢価格:51,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSで、デコード信号に音響処理を加えることはしない。
ドルビープロロジックUを装備するが、DSPサラウンドはない。AACにも非対応。
アンプ出力は、20W×5、ウーハーが22Wの計122W。やや少ない気はする。
DVDとしては、プログレ出力には非対応、映像DACについても記述なし。
ただし「スーパーサブエイリアスフィルタ」を採用しており、解像度は若干高められているようだ。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーはなし。
フロント・リアスピーカーは8cm、センターは5.7cm×2発、ウーハーは16cm。
ウーハーはユニットを下向きに配置、360°に均一な放射特性を持つ。
いずれのユニットも高密度の木製バッフルを用いるなど、オーディオ専業メーカーとしてのこだわりを感じる。
本体はアルミパネルが使われていて、ウッドスピーカーと合わせて、高級感が際立つ。
端子類については、アンプ部・DVD部とも一切記述なし。なんちゅう不親切!
本製品は、音にこだわり、上品な空間を演出したい大人なあなた向けの製品だ。
DSPサラウンドがないので、CD再生時の楽しみ方の幅が狭いかな、という部分は気になる。

SONY
DAV-S500

  (実勢価格:54,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSに加えAACデコーダーも搭載。BSデジタルを楽しんでいる方には嬉しい機能だ。
デコード信号には独自のDSP技術によって映画館特有の音響特性を実現する「デジタルシネマサウンド」が働く。
ドルビープロロジックUにも対応するが、DSPサラウンドについては記述がない。
またヘッドフォンでもサラウンド効果が楽しめる「ヘッドフォンシアターモード」も搭載する。
アンプはフルデジタルで音声信号処理を行う、ソニー独自の「S-Masterフルデジタルアンプ」を搭載。
デジタルアンプは性能向上の真っ最中であり、高音質かどうかは微妙な部分があるが、
「電力効率が高いので、コンパクトな筐体で大出力が確保できる」と考えておこう。
アンプ出力は、80W×5、ウーハーが100Wの計500W。な、なるほど。。。まあハッキし言ってこんな要らないけど。
DVDとしては、プログレ出力に対応。ただ映像DAC・プログレ信号の生成法については記述なし。
再生ディスクだが、スーパーオーディオCDがかかる!ソフトはクラシックを中心に数が限定されるが、
かかるに越したことはない。他、CD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーも内蔵。
フロント・リアスピーカーはフロントが7cm+1.9cmの2ウェイ、リア・センターは7cm、ウーハーは16cm。
本体は前面・天面を1枚のアルミパネルで覆い、流れるようなラインを見せている。透明感のあるデザインだ。
端子類は、映像出力がD端子・S端子・コンポジットとも装備。音声入力は光1、アナログ2。まあ心配ない数だ。
本製品は、何でもこなすオールラウンドモデルだ。また、BSデジタル、SACDを狙っている人にとっては
キラー製品となってくるだろう。オールラウンドだけに、弱点はこれといってない。

PIONEER
HTZ-303DV

  (実勢価格:55,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSに加えAACにも対応する。
デコード信号には独自の「アドバンスドサラウンド」を8種類用意、様々な音響空間を再現する。
ドルビープロロジックUを装備、その他DSPサラウンドも5種類。夜間の視聴に適した「ミッドナイトモード」等もあり、
充実のサラウンドモードだ。アンプは、総合で450Wという大出力。
DVDとしては、プログレ出力には非対応、映像DACについても記述なし。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーもある。
フロント・リアスピーカーは8.7cm、ウーハーは16cm。ウーハーはユニットが横向きに配置されているのだろう、薄い。
これならTV横の狭いスペースにも設置できるし、寝かせて置くこともOKだとか。
本体はアクリルパネルを使用して洒落た感じ。スピーカーはそれなりか。
端子類は、映像出力がD端子・S端子・コンポジットとも装備。音声入力は光1、アナログ2。まあ心配ない数だ。
本製品は、多彩なサラウンドモードを楽しみたい人にお薦めだ。DVD部の性能はごく一般的なのが弱いか。

YAMAHA
DVX-S60

  (実勢価格:55,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSのみ。ヤマハと言えば強力なDSPで有名だが、この製品には残念ながら非搭載。
ドルビープロロジックUを装備、その他DSPサラウンドも数種類用意されている。AACはなし。
アンプは、35W×5、ウーハーが40W、計215Wという十分な出力。
DVDとしては、プログレ出力に対応、映像DACは10bit/54MHzという本格派だ。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーもある。
フロント・リアスピーカーは5cm×2発、しかもユニットは様々な音質向上策が採られており、
ヤマハは「ハイグレードなサテライト」と謳っている。ウーハーは16cm。
ウーハーはユニットを下向きに設置、360°に均一な放射特性を有する。デノンと同じ方式だ。
本体はブルーグレーのパネルを使用しているが、まあ普通か。スピーカーはスリムなのでちょっといい感じ。
端子類は、映像出力がD端子・コンポーネント・S端子・コンポジットの4種類を装備。音声入力はアナログ2つ。
本格的なDVD部を持つ本製品は、DVD画質を重視するビジュアルファンにお薦めだ。
ただ、同じDVDは2万円近く安いビクターも搭載していて、違いはプロロジUくらいしかない。
お得意のシネマDSPを取ってしまったので、個性がなくなってしまった感は否めない。

Panasonic
SC-MT1

  (実勢価格:57,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSに加えAACも搭載。デコード信号に音響処理は加えない。
ドルビープロロジックUを装備、その他独自のDSPサラウンド「SFC」も6種類用意されている。
アンプは、フロントが30W、リアが38W、センターが54W、ウーハー120W、計310W。
出力は十分だが、このアンバランスな出力は何だ??フロントがリアより少ないのは謎。
サラウンド時には各chのアンプ性能の違いが音の違和感となって感じられてくる可能性もある。
DVDとしては、プログレ出力に対応。映像DACは記述なし。
音楽CDの音質をDVDオーディオレベルにまで高める「デジタル・リマスタープロセッシング」や、
MP3等の圧縮音声の音質を向上させる「コンプレッション・デジタル・リマスター・プロセッシング」機能を装備、
オーディオ機器としての性能を重視する人にはかなり魅力的に映るだろう。
さらに、セリフが画面中央から聞こえてくるようにする「センターフォーカス」機能、
セリフを聞こえやすくする「ダイアログ・エンハンサー」等、映画を観る時に助かる機能もある。
再生ディスクの多さも本機の特長で、CD−R(W)、MP3はもちろん、WMAファイル、DVDオーディオ、
DVD−RAMまで再生できる。DVD−RAMレコーダーのユーザーには嬉しい。FM/AMチューナーもある。
スピーカーユニットに関しては一切記述がない。決していいことではないぞ松下さん。
ただしスピーカーの使いこなしについては「アクティブ・カレント・フィードバック回路」で歪を低減したという。
本体はオーディオコンポのような風貌で、高級感はあるが、スタイリッシュという線からは外れるか。好みの別れる所だろう。
端子類は、映像出力がD端子・コンポーネント・S端子・コンポジットの4種類を装備。音声入力は表記がない。
本製品は、CD・MP3等の音質を向上させて楽しみたいという音質重視なあなた向けの製品だ。
またDVD再生時のセリフを重視する人、対応ディスクの多さが魅力的に映る人もいそうだ。
アンプ出力のアンバランスさがホント謎。

SHARP
SD-AT50DV

  (実勢価格:64,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSのみ。デコード信号には残響処理は加えない。
ドルビープロロジックUを装備するが、DSPサラウンドはないようだ。AACはなし。
アンプ部が本機の最大の特徴で、同社が推し進める「1ビットアンプ技術」を搭載。
1秒間に280万回という超高速サンプリングによって、音の立ち上がりなどの時間応答を重視する技術だ。
3年程前から市場に出回っているが、確かに元気のいい音がするという気はする。
50W×5、ウーハーも50Wで、計300Wという十分な出力。
DVDとしては、プログレ出力に対応。映像DACは記述なし。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーもある。
サテライトスピーカーは全て8cmのフルレンジ。ウーハーは16cm。
本体はアルミパネルを使用し、ブルーのディスプレイが目立つ。縦置きも可能で、これは個性的だ。
端子類は、映像出力がD端子・S端子・コンポジットを装備、音声入力はアナログ4つもある。
本製品は、パンチの効いた1ビットオーディオの音質にこだわる人にお薦めだ。
また今回、縦置きも可能なのは本機だけ、これが目に止まった方もいるだろう。

ONKYO
BASE-V10
+ DV-S155

  (実勢価格:65,000円前後)
※写真はBASE−V10
ONKYOは、アンプ・DVD・スピーカーを1パッケージにした製品はなかったので、
それに最も近いと思われる組み合わせをチョイスした。
アンプ部とデザインを揃えたDVDプレイヤーが「DV−S155」だ。
デコーダーはドルデジ・DTSに加えAACにも対応。デコード信号には残響処理は加えない。
ドルビープロロジックUを装備、DSPサラウンドも4つある。
アンプは15W×5、ウーハーが25W、計100W。広い部屋ではパワー不足が露呈しそうな気がする。
DVDは、プログレ出力に対応。ただ映像DACは10bit/27MHzで、せっかくのプログレ出力が生きない。
画質は解像度とノイズのトレードオフになり、どこかでバランスを取ることになる。
ただプログレ出力に対応している他社製品で映像DACが明記されていないものは、
本機と同じ可能性があるので、本機だけのデメリットではない。
再生ディスクはCD−R(W)、MP3ディスクも可。FM/AMチューナーも内蔵。
サテライトスピーカーは全て8cmのフルレンジ、ウーハーは独自のJ−DRIVE方式を採用した16cm。
全てのユニットで独自の振動板「OMF」を使用している。さすがスピーカーを自製しているメーカー。
本体はアルミパネルを使用、幅155mmというコンパクトさとあいまって、凝縮感のあるハイセンスデザイン。
端子類は、映像出力がD端子・S端子・コンポジットを装備、音声入力はアナログ3。
本製品は、コンパクト&格調高いデザインと、高音質を両立しい方にお薦めだ。
ただ使う部屋としては6畳くらいがベストだろう。10畳くらいになるとパワー不足を感じるかもしれない。

  ― 貴様ならどれを買うんだ ―

と、以上9モデルを一気に紹介してきた。ここで、私なりに特選モデルを1つ、推薦モデルを2つ選出する。

   ★特選★ ― SONY DAV-S500
   ★推薦★ ― PANASONIC SC-MT1
            DENON DHT-300DV

まず特選「DAV−S500」だが、そのオールラウンドっぷりで選んだ。
様々なサウンドフォーマットに対応、デジタルシネマサウンド、プログレ出力、
若者受けしそうなスタイリッシュなデザインで、「さすがソニー」と言わしめる出来栄えだ。
次に推薦だが、非常に迷った末の選択である。「SC−MT1」はプログレ出力に加え、
音質向上のための機能、DVDを見るときに有用な機能が充実しているのが魅力的に映った。
2つめは「DHT−300DV」、シルバー一色なデザインの中で、木製のスピーカーはやはり目立つ。
機能的には決して多い方ではないが、必要なものは揃っている。落ち着いた雰囲気が欲しい人には、
オンキョーの製品と合わせて魅力的だろう。オンキョーよりもこちらの方が安いので、こちらを推薦とした。
また、推薦から漏れたが、ビクターの「TH−PZ1」は、「DVDで5.1chを楽しむ」という
基本的な機能に加え、本格的なDVDプレイヤーを搭載しながら、ダントツに安い。
5万円台の中心価格帯と比べて2/3、オンキョーと比べたら半値近い値段で買える。
コストパフォーマンスでは今回のモデルの中で随一だろう。

さて、いずれ劣らぬ9人のサムライ達、優劣を付けるのは難しかった。
ビギナーならどれを買っても大きな不満はなく楽しめるだろう。
しかし、何でこう日本のメーカーってのは没個性的なデザインしかできないのだ!
シルバーって言ったらみーんなシルバー。ゴールド一辺倒とか、ブラック一辺倒って時期もあった。
まあこれは日本のメーカーというよりは日本人がそうなんだろうなー。ぶつぶつ

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