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DVDは完全に我々の生活に根付いた感がある。 DVDの普及には2つの要因があり、1つ目はハード的な要因だ。 DVDプレイヤーが2万円以下という低価格で買えるようになった。 そしてデジタル機器であるDVDでは、安価でも高品質が確保できたことが大きかった。 2つ目はソフト的な要因だ。 レンタルビデオ店において豊富なタイトルのDVDがレンタルできるようになった。 レンタルビデオと同じ料金で借りられるなら、巻戻しが不要で、キレイな画質で、 特典映像なども入ったDVDの方がいいという消費者心理を掴んだ。 DVDソフト自体も安価に入手できるようになった。 特にセルDVDは1,500円シリーズや2,500円シリーズ等が功を奏しているようだ。 そして、DVDの普及に伴って、そこに収録されている5.1ch音声を楽しみたいという人も増えてきた。 以前は、「狭い日本では、部屋の中にスピーカーを何個も置かなくてはならないサラウンドは普及しない」 と言われることもあったが、近年の市場動向は順調だ。 そして、サラウンドを実践しているのは、マニア(私を含む)だけではなく、 PS2やPC等と組み合わせて気軽に楽しんでいるユーザーが多いのである。 そこで今回は、入門者用の5.1chサラウンドパッケージを特集する。 「DVDプレイヤーは持ってるから、そこにアンプとスピーカーをプラスしたい」というユーザーを対象に、 ドルビーデジタル/DTSデコーダー内蔵アンプと5.1chスピーカーをセットにしたもので、 価格は依頼者の友人M君の要望により3万円程度までの製品を集めた。 各製品のデコード機能、音場処理の有無、アンプ性能、スピーカーの品質、デザイン、拡張性などに 注目してレポートしてみた。
ステレオ信号を5.1ch化するドルビープロロジックUは非対応。その代わりクリエイティブ独自の CMSSという技術で5.1ch化する。またAACデコーダーも積んでいない。 デコード信号に音場処理を付加する機能はなく、ストレートデコードに徹している。 アンプ出力は、センターが18W、その他が6W、ウーハーが24W。ハイパワー再生は苦手か。 サテライトスピーカーのユニット口径は不明だが、寸法から言って7cm前後か。 サブウーハーが凝っていて、密閉型のエンクロージャーに2つのユニットを配置。 ボックス内にあるユニットに信号が入力され、その空気圧で外のユニットが駆動される仕組み。 アンプ・スピーカーともプラスチックで、高級感はなく、悪い意味で「PC周辺機器」という感じだ。 端子はデジタルは光・同軸・DINと3系統装備。アナログ端子は不明(不親切なHPだ)。 本製品はやはりPCと接続し、比較的狭い空間でデスクトップシアターを作るといった 使用を念頭においているようだ。 なお上級機の5700番はウーハー・センタースピーカーが強力になって33,000円前後、 下級機のPlayWorks2500はスピーカーの質が落ちて、DTSデコード機能等もなくなって18,000円前後だ。
5.1chソースはストレート再生だけだが、ステレオ音源用のサラウンドモードが充実していて、 ゲーム、ロック、ミュージカル、TVなどがあり、ソースに応じた音響特性が得られる。 アンプは15W×5ch、ウーハー25Wとなっており、トータルで100Wと十分な出力。 アンプはウーハーと一体化しており、設置がし易くなっている。 スピーカーユニットは8cm、オンキョー独自のOMF振動板+高剛性のMDFキャビネットで、 オーディオメーカーとしてのこだわりがうかがえる。 ウーハーは16cmだが、これまた独自のJ−DRIVE方式を採用、高い音圧とコンパクトさを両立。 アンプ・スピーカーとも黒だが、木製なので、その点でやや上品さを稼いでいるか。 端子は光・同軸が1つ、アナログが1つ。 本製品はスペース性に優れ、オーディオに少しこだわるユーザーをターゲットにした製品だ。
音場処理はソニーお得意のバーチャル音源技術を使った「デジタルシネマサウンド」を用意、 A/B/Cの3種類の映画館の音場を再現できるとしている。 アンプは35W×5ch、ウーハー50Wとなっており、トータルで225Wと十分過ぎる程の出力。 スピーカーユニットは5cm、小さ過ぎるのでは?大音量の時に歪む可能性があるし、 ウーハーに音が引っ張られてしまう可能性がある(というか事実他のHPでそんな使用レポがあった)。 ウーハーの設置には注意が必要だ。ウーハーユニットは16cm口径。 アンプ・スピーカーともシルバーで、同社のWEGAとの親和性を考慮しているようだ。 アンプは樹脂製。スピーカーは不明。高級感は今ひとつか。 端子は光が2つ、アナログが2つ、5.1ch(AAC用?)入力が1つ。 本機はスタイリッシュにサラウンドを楽しみたい、そして映画館の音で映画を観たいというユーザー向けだ。 下級機には「HT−BE1」があり、アンプ出力を落としてウーハーと一体化、 プロロジUを搭載して25,000円前後だ。
アンプ出力は20W×5ch、ウーハーのみ22Wとなっており、トータルで122W、十分だ。 オーディオメーカーだけあって、スピーカーは高剛性のMDFを使用したキャビネットを用いるなど凝っている。 センターSPは57mm×2として、コンパクトさと音圧を確保。その他は8cmのフルレンジ。 ウーハーは16cmだが、ユニットを下向きに配置、360°に均一な放射特性を持つ。 本機の音は聴いたことがあるが、しっかりした低音と、高音の元気の良さが印象的で、正直驚いた。 アンプは金属で、スピーカーも木製とあって、かなり高級感があると思う。 そしてそれは見てくれだけでなく、剛性や、音質的なアドバンテージにもつながっている。 端子はHPに載ってない(ここも不親切!)。 本機は音にこだわり、上品な空間を演出したい大人な貴方向けの製品と言えるだろう。
音場処理はヤマハお得意の「シネマDSP」で、ホール、ゲーム、スポーツ、映画等の音響特性が楽しめる。 またヘッドフォンでサラウンド効果が楽しめる機能もある。 アンプはセンターが40W、その他が25W、ウーハーが50W、トータルで190Wと十分。 スピーカーユニットメインが10cm+2cmの2ウェイ構成、センターは8cm×2発、リアは8cmと それぞれ異なったユニット構成だ。ウーハーユニットは16cm径だが、ヤマハ独自のA−YST方式。 音質は強力なウーハーに支えられ、音楽も十分にこなす。 アンプ・スピーカーともシルバーで、高級感はまずまずか。 端子は光が2つ、アナログが3つで多めの数だ。 本機はシネマDSP音場を楽しみたい、音楽も高音質で楽しみたいユーザー向けだ。 下級機には「S77」があるが、センターとフロントが一体化していて、音楽再生には向いていないと判断し除外した。 また「TSS−10」という機種もあるが、スピーカーが5cm径になるなど質のダウンが激しい。 ― お前ならどれを買うんだ ―まず基本音質を重視すると、オンキョー、デノン、ヤマハに絞られる。デザインを考えるとオンキョー脱落。あとは木目調のデザインならデノン、シネマDSPが欲しいならヤマハになるだろう。 今回の特集で、入門用としてはどれも高C/Pで、僕も思わずソソられてしまう製品もあった。 入門者としてはパッケージシステムの方が使いやすいし、まとまりの良さで言えば単品コンポよりも上だ。 次回は「5.1chサラウンドシステム ― part2」と題し、 DVDプレイヤーまで含めたサラウンドパッケージを特集する予定だ。 |