AV - eye
   
ここはエディが思いついたAV機器に関する妄想・体験について語ったり、新製品についてコメントしたりするところです。

5.1chサラウンドシステム ― part1

(2002.10.22)


DVDは完全に我々の生活に根付いた感がある。
DVDの普及には2つの要因があり、1つ目はハード的な要因だ。
DVDプレイヤーが2万円以下という低価格で買えるようになった。
そしてデジタル機器であるDVDでは、安価でも高品質が確保できたことが大きかった。
2つ目はソフト的な要因だ。
レンタルビデオ店において豊富なタイトルのDVDがレンタルできるようになった。
レンタルビデオと同じ料金で借りられるなら、巻戻しが不要で、キレイな画質で、
特典映像なども入ったDVDの方がいいという消費者心理を掴んだ。
DVDソフト自体も安価に入手できるようになった。
特にセルDVDは1,500円シリーズや2,500円シリーズ等が功を奏しているようだ。
そして、DVDの普及に伴って、そこに収録されている5.1ch音声を楽しみたいという人も増えてきた。
以前は、「狭い日本では、部屋の中にスピーカーを何個も置かなくてはならないサラウンドは普及しない」
と言われることもあったが、近年の市場動向は順調だ。
そして、サラウンドを実践しているのは、マニア(私を含む)だけではなく、
PS2やPC等と組み合わせて気軽に楽しんでいるユーザーが多いのである。

そこで今回は、入門者用の5.1chサラウンドパッケージを特集する。
「DVDプレイヤーは持ってるから、そこにアンプとスピーカーをプラスしたい」というユーザーを対象に、
ドルビーデジタル/DTSデコーダー内蔵アンプと5.1chスピーカーをセットにしたもので、
価格は依頼者の友人M君の要望により3万円程度までの製品を集めた。
各製品のデコード機能、音場処理の有無、アンプ性能、スピーカーの品質、デザイン、拡張性などに
注目してレポートしてみた。


CREATIVE

INSPIRE 5.1DIGITAL 5600

  (実勢価格:27,000円前後)
本製品はクリエイティブの5.1システムのうち中級機となる。デコーダーはドルデジ・DTSのみで、
ステレオ信号を5.1ch化するドルビープロロジックUは非対応。その代わりクリエイティブ独自の
CMSSという技術で5.1ch化する。またAACデコーダーも積んでいない。
デコード信号に音場処理を付加する機能はなく、ストレートデコードに徹している。
アンプ出力は、センターが18W、その他が6W、ウーハーが24W。ハイパワー再生は苦手か。
サテライトスピーカーのユニット口径は不明だが、寸法から言って7cm前後か。
サブウーハーが凝っていて、密閉型のエンクロージャーに2つのユニットを配置。
ボックス内にあるユニットに信号が入力され、その空気圧で外のユニットが駆動される仕組み。
アンプ・スピーカーともプラスチックで、高級感はなく、悪い意味で「PC周辺機器」という感じだ。
端子はデジタルは光・同軸・DINと3系統装備。アナログ端子は不明(不親切なHPだ)。
本製品はやはりPCと接続し、比較的狭い空間でデスクトップシアターを作るといった
使用を念頭においているようだ。
なお上級機の5700番はウーハー・センタースピーカーが強力になって33,000円前後、
下級機のPlayWorks2500はスピーカーの質が落ちて、DTSデコード機能等もなくなって18,000円前後だ。

ONKYO

GXW-5.1

  (実勢価格:27,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSの他、プロロジUを装備。
5.1chソースはストレート再生だけだが、ステレオ音源用のサラウンドモードが充実していて、
ゲーム、ロック、ミュージカル、TVなどがあり、ソースに応じた音響特性が得られる。
アンプは15W×5ch、ウーハー25Wとなっており、トータルで100Wと十分な出力。
アンプはウーハーと一体化しており、設置がし易くなっている。
スピーカーユニットは8cm、オンキョー独自のOMF振動板+高剛性のMDFキャビネットで、
オーディオメーカーとしてのこだわりがうかがえる。
ウーハーは16cmだが、これまた独自のJ−DRIVE方式を採用、高い音圧とコンパクトさを両立。
アンプ・スピーカーとも黒だが、木製なので、その点でやや上品さを稼いでいるか。
端子は光・同軸が1つ、アナログが1つ。
本製品はスペース性に優れ、オーディオに少しこだわるユーザーをターゲットにした製品だ。

SONY

HT-K215R

  (実勢価格:29,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSのみで、プロロジU等の2ch音源を5.1化する機能はないようだ。
音場処理はソニーお得意のバーチャル音源技術を使った「デジタルシネマサウンド」を用意、
A/B/Cの3種類の映画館の音場を再現できるとしている。
アンプは35W×5ch、ウーハー50Wとなっており、トータルで225Wと十分過ぎる程の出力。
スピーカーユニットは5cm、小さ過ぎるのでは?大音量の時に歪む可能性があるし、
ウーハーに音が引っ張られてしまう可能性がある(というか事実他のHPでそんな使用レポがあった)。
ウーハーの設置には注意が必要だ。ウーハーユニットは16cm口径。
アンプ・スピーカーともシルバーで、同社のWEGAとの親和性を考慮しているようだ。
アンプは樹脂製。スピーカーは不明。高級感は今ひとつか。
端子は光が2つ、アナログが2つ、5.1ch(AAC用?)入力が1つ。
本機はスタイリッシュにサラウンドを楽しみたい、そして映画館の音で映画を観たいというユーザー向けだ。
下級機には「HT−BE1」があり、アンプ出力を落としてウーハーと一体化、
プロロジUを搭載して25,000円前後だ。

DENON

DHT-300-S

(DVDは別売)

  (実勢価格:30,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSの他、プロロジUを装備。音場処理は加えない。
アンプ出力は20W×5ch、ウーハーのみ22Wとなっており、トータルで122W、十分だ。
オーディオメーカーだけあって、スピーカーは高剛性のMDFを使用したキャビネットを用いるなど凝っている。
センターSPは57mm×2として、コンパクトさと音圧を確保。その他は8cmのフルレンジ。
ウーハーは16cmだが、ユニットを下向きに配置、360°に均一な放射特性を持つ。
本機の音は聴いたことがあるが、しっかりした低音と、高音の元気の良さが印象的で、正直驚いた。
アンプは金属で、スピーカーも木製とあって、かなり高級感があると思う。
そしてそれは見てくれだけでなく、剛性や、音質的なアドバンテージにもつながっている。
端子はHPに載ってない(ここも不親切!)。
本機は音にこだわり、上品な空間を演出したい大人な貴方向けの製品と言えるだろう。

YAMAHA

CinemaStation S10

  (実勢価格:30,000円前後)
デコーダーはドルデジ・DTSのみで、プロロジUはない。
音場処理はヤマハお得意の「シネマDSP」で、ホール、ゲーム、スポーツ、映画等の音響特性が楽しめる。
またヘッドフォンでサラウンド効果が楽しめる機能もある。
アンプはセンターが40W、その他が25W、ウーハーが50W、トータルで190Wと十分。
スピーカーユニットメインが10cm+2cmの2ウェイ構成、センターは8cm×2発、リアは8cmと
それぞれ異なったユニット構成だ。ウーハーユニットは16cm径だが、ヤマハ独自のA−YST方式。
音質は強力なウーハーに支えられ、音楽も十分にこなす。
アンプ・スピーカーともシルバーで、高級感はまずまずか。
端子は光が2つ、アナログが3つで多めの数だ。
本機はシネマDSP音場を楽しみたい、音楽も高音質で楽しみたいユーザー向けだ。
下級機には「S77」があるが、センターとフロントが一体化していて、音楽再生には向いていないと判断し除外した。
また「TSS−10」という機種もあるが、スピーカーが5cm径になるなど質のダウンが激しい。

   ― お前ならどれを買うんだ ―

まず基本音質を重視すると、オンキョー、デノン、ヤマハに絞られる。デザインを考えるとオンキョー脱落。
あとは木目調のデザインならデノン、シネマDSPが欲しいならヤマハになるだろう。
今回の特集で、入門用としてはどれも高C/Pで、僕も思わずソソられてしまう製品もあった。
入門者としてはパッケージシステムの方が使いやすいし、まとまりの良さで言えば単品コンポよりも上だ。
次回は「5.1chサラウンドシステム ― part2」と題し、
DVDプレイヤーまで含めたサラウンドパッケージを特集する予定だ。

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