獣人(幼獣)

■ここ数日働き詰で私は行き詰まっていたので、久々に外出して街中で恥ずかしげも無くくっついている男女にタバコ水の入ったビニール袋を投擲し、晴れやかな気分で帰宅した所、事務所に郵便物が届いている事に気付く。

封筒には一枚の写真と手紙、そして宝貝の爪楊枝セット(沖縄土産と思われる)が入っており、その時点でこの差出人の気遣いを感じた。
差出人は五月雨 真澄さん。

雑草を潰してそれに台所から持ってきたバスクリンやママレモン、微妙に残ったコーラやあまり使わない銀色の絵の具をブレンドし、飽きた頃にその辺の溝に捨てる俗に言う”ニセ毒作り”を生業としていたが、最近はイラストレーターを目指し日々の鍛錬に励んでいるそうだ。

さて、今回の写真はその五月雨さんが毒作りに必要なそれっぽい草を探しに森に行った際に目撃した、二体の獣人と思われる生物が写っている。

とはいえ獣人としては未成熟なので、ここでは幼獣と呼ぶ事にする。


この幼獣に関する文献は、他のモンスターをはるかに凌駕する目撃情報がある。
しかしその目撃談はさまざまで、

”頭部は骸骨だった”

”紋付姿だった”

”人民服で現れた”

”光線銃で脅された”

”あれ?焼きたてジャぱんの7巻もう出てたの?”

等、目撃談の数だけ容姿に食い違いがあるのだが、間違いなくこの2体であると私は確信している。

恐らく人間の真似をするのが好きなのではなかろうか。

                     特徴

■非常にかわいらしい容姿なのだが、人間が目の前で間違いを起こした時に限り凄まじい形相で睨む。

■常に2体で行動するが、猫型の幼獣に限り赤い兎の様な生物と一緒に行動する事がある。

■ブレザーの制服を着た兎型の幼獣の映像がオークションにて30万で落札された。

■ちなみにその映像はわが事務所で厳重に保管してある。

■その30万は消費者金融で融資された。

■ご利用は計画的に。


☆五月雨 真澄様、貴重な情報有り難うございました。