広い平原に寝転がる少年。
大の字に体を広げ、太陽の光を全身に浴びている。
うっすらと眼を開き、青空を見上げた。
思い詰めた表情で太陽を指差し、しばらくしてから腕を地に降ろす。
再び眼を閉じ、大きく深呼吸をしていると、人の気配を感じ取る。
しかし、警戒するどころかそのまま深呼吸を続けていた。
すると…
 
 
「こんな所で日向ぼっこか??」
 
 
聞き慣れた声が耳に入る。
 
 
「ん?? よ…いしょっと。」
 
 
声につられ、起きあがる少年。
 
 
「何深刻な顔してんだ?? そんな顔、勇には似合わねえぜ??」
 
「ははは…そうかなぁ??」
 
 
照れ笑いする勇矢。
 
 
「なんかさあ…一度にいろんなことがあったからさ…訳わかんなくなっちゃって。」
 
「わかるわかる、オイラだって…」
 
「…蕾も??」
 
 
寝転がる蕾。
さっきまでの勇矢のように、大の字にして体を開き、大きく深呼吸をする。
 
 
「竜之介があいつと出会ったあの日から…全てが始まったんだよな…」
 
「兄ちゃんすごいよなぁ…ボクもあんな風に強くなれるのかなぁ…??」
 
「無理じゃねえか?? あの強さは元々の天性があったとしか思えねえよ…」
 
 
諦めの入った言葉で返す蕾。
起きあがると、ふと河原に眼が止まる。
 
 
「ん…どした??」
 
「いや…あれ、猫か??」
 
 
河原に足を運ぶ。
猫が一匹、横たわっている…既に死んでしまっているようだ。
 
 
「ひっどいなあ…こんな事するなんて…」
 
 
猫に気力球を当てるが、やはり効果はない。
 
 
「死んじゃってたら意味無いだろ…」
 
 
すると蕾は…
 
 
「蕾…??」
 
 
蕾は眼を瞑り、指先に意識を集中している。
ブツブツと小声で何かを呟いていると、
指先に七色に光る不思議な光が現れた…
 
 
「うわぁ…綺麗な光…蕾それは…??」
 
 
蕾は問いに答えず、その光を猫の頭に添える。
眼を瞑り、しばらくすると光は消えていった。
 
 
「蕾…??」
 
「17〜18位の男たち…だな。
 猫一匹相手に囲んで虐めてやがる…ひでえ奴らだ…全く。」
 
 
苦笑いする蕾。
 
 
「すっげー…そんなことわかっちゃうの??」
 
「ん〜?? 勇は出来ないのか?? 残留思念…」
 
「ざんりゅうしねん??」
 
 
聞いたことのない言葉に首を傾げる勇矢。
 
 
「人や動物が『衝撃的な出来事が発生した時』ってのは、
 その一瞬の出来事が脳裏に焼き付けられるんだってさ。
 その焼き付けられた出来事を、青族は『残留思念』と呼んでいたらしいよ。
 それは人や動物が死んだときでも、ある程度の時間なら脳に残されるんだって。」
 
「へ〜…でもボクにはそんなこと出来ないよ。」
 
「オイラは昔っから出来たんだけどなぁ…青の神技じゃないのかなぁ???」
 
「さぁ…??」
 
 
考え込む二人。
 
 
「でもさあ、勇がまさか同じ青族だと思わなかったよ。」
 
「ボクだってびっくりしたさ。」
 
 
お互いに笑い出す。
ふと蕾が不適な笑みをこぼし…
 
 
「なあ、いっちょ手合わせしてみないか??」
 
「えー?? 本気で言ってる??」
 
「ああ、本気だぜ。
 勇と喧嘩してみたい気がする。」
 
 
そうは言いながらも笑っている蕾。
 
 
「本気出したっていいんだぜ?? どうだ???」
 
「もー…ちょっとだけだよ?? 蕾に勝てると思えないし。」
 
 
大きく背伸びをする勇矢。
意外とやる気満々そうに見える。
 
 
「よーし…いっくぞー…」
 
「いいよー…」
 
 
構える二人。
お互いの間に緊迫した空気が流れ始める。
自分ジブン間合マアいをキープしながら、じりじりとニラいがツヅく。
 
先程サキホドまで仲良ナカヨハナシをしていたはずの二人フタリが、
この一瞬イッシュン相手アイテを「テキ」とているのだ。
 
タダ喧嘩ケンカ」とはクチばかりか、本気ホンキ相手アイテを「タオす」つもりでいかないと、
自分ジブンチカラ相手アイテクラべてどれほどなのか、わからないだろう。
 
手加減テカゲン出来デキない…
 
本気ホンキでいこう。
 
その決心ケッシンいたそのトキ
 
 
「レディー………」
 
「ゴオォォッ!!!!!」
 
 
タガいのそのかけゴエトモに、おタガいが相手アイテう。
したおタガいのコブシがぶつかりい、その衝撃ショウゲキではじきばされる。
着地チャクチするがハヤいか、すぐさまダイ二人フタリ
 
 
「ああああっ!!」
 
「おおおおっ!!」
 
 
今度コンドギャクリョウコブシがぶつかりう。
しかし、そのはじきカエされながらも、ライ追撃ツイゲキハナつ。
 
 
「ウィンド…カッターッ!!」
 
「!!!!」
 
 
かろうじてえるウスイミドリ閃光センコウ複数フクスウ勇矢ユウヤかってハナたれる。
予想外ヨソウガイ行動コウドウオドロいた勇矢ユウヤは、けるヒマもなく、その閃光センコウナンとかシノぐ。
体制タイセイトトノ着地チャクチした勇矢ユウヤ反撃ハンゲキようとするが…
 
 
「…なっ!!」
 
 
サラライダイ勇矢ユウヤオソう。
スデ勇矢ユウヤマエにいたライが、右足ミギアシ勇矢ユウヤヒダリ頭部トウブにめがけりつける。
 
…が、
 
 
「…くっ!!」
 
 
素早スバヤ反応ハンノウした勇矢ユウヤは、それを左腕ヒダリウデでブロックしていた。
そのままそのアシをはじき、勇矢ユウヤ右手ミギテは、ライハラく。
 
 
閃光センコウゲキぃ!!」
 
「ぐぁっ!!!!」
 
 
わしきれないライは、直撃チョクゲキけ、ぶ。
すぐさまトトノえ、追撃ツイゲキ準備ジュンビをする勇矢ユウヤ
 
地面ジメンにたたきつけられたライは、すぐさまがる。
すると…
 
 
エンゲキ閃光波センコウハぁー!!!」
 
 
巨大キョダイホノオカタマリが、ライオソいかかる。
しかしライは、ヒザマヅいた状態ジョウタイウゴかない。
 
 
(…まる!!)
 
 
サラちをけようと突進トッシンする勇矢ユウヤだが…
 
 
(…なっ!!!??)
 
 
その瞬間シュンカンライ足元アシモトから突風トップウし、
勇矢ユウヤ火炎弾カエンダンカゼまれ上空ジョウクウへとナガされていく。
サラにそのカゼった火炎弾カエンダンは、ハナった勇矢ユウヤモトびかかってきた。
 
 
(…チィッ!!)
 
 
かってきた火炎弾カエンダン閃光センコウザンき、ナンとかやりごす。
 
 
「…そんな状態ジョウタイワザせんのかよー…まいったなぁ。」
 
「…いざってトキカエワザさ。
  まさか使ツカうハメになるとはオモわなかったけどな。」
 
 
ゆっくりとがるライ
 
 
「…はぁ、はぁ…」
 
 
タガイキれてきている。
あと1ゲキ…1ゲキだけでもめてやりたい…
自分ジブンホウツヨいとはえなくても、けるワケにはいかない。
 
 
「…しゃーねーか…」
 
「…???」
 
 
ライがぽつりと小言コゴトツブヤくと、あたりがざわめきハジめる。
ライ直立チョクリツし、トトノえているようにえるが…
 
 
「…カゼが…」
 
 
あたり一面イチメンでざわめいていたカゼが、ライカコんでいくようにえる。
ライカコんでいたカゼ一気イッキハナたれる。
その突風は、勇矢は後ずさりさせられるくらいだ。
 
 
「くっ…このカゼは…まさか…」
 
 
カゼんだそのサキには、アオガミ変身ヘンシンしていたライ姿スガタが…
 
 
覚醒カクセイジュツ!!!」
 
「…最後サイゴに1ッパツ…でかいのめてやるぜ…」
 
 
ライオオきくカマえをる…
その状態ジョウタイオドロいている勇矢ユウヤ
 
 
(…ライ本当ホントウ自分ジブンチカラってボクをタオそうとしているんだね…)
 
 
カマえているライぐにつめ、オモ勇矢ユウヤ
 
 
「どうしたユウアキラめたのか…??」
 
「…いや…ライがそのつもりなら…」
 
「…!!!??」
 
 
勇矢ユウヤがそうったトキ勇矢ユウヤのあたりがアカヒカハジめる。
 
 
「……??? アレは…」
 
 
点々テンテンとしていたアカヒカリは、徐々ジョジョカズし、直立チョクリツした勇矢ユウヤカコハジめる。
そしてそのヒカリホノオして、あたり一面イチメンアラぶ。
 
 
「くっ!!!」
 
 
ってきたホノオハラうと、そのサキには青髪アオガミ変身ヘンシンした勇矢ユウヤ姿スガタが。
 
 
(これが…勇矢ユウヤ覚醒カクセイジュツ…なるほど…覚醒カクセイ仕方シカタ一人ヒトリ一人ヒトリチガうのか…)
 
 
自分ジブンとはチガカタチ覚醒カクセイしたコトオドロライ
そのアイダにも勇矢ユウヤカマえをっていた。
 
 
「…最後サイゴ一発イッパツだ。」
 
「…うん、これでめるよ…」
 
 
二人フタリ最大限サイダイゲンチカラシボり、ハジめる。
そしてシバラくの沈黙チンモクノチ
 
 
「いくぞー!!!」
 
 
タガいにためんだハナつ!!!
 
 
爆裂バクレツ炎撃エンゲキぁー!!!!」
 
フウジン烈風レップウぁ!!!!!」
 
 
タガいがハナった閃光センコウが、中央チュウオウでぶつかり、くすぶる。
 
 
(くっ…せない…か…)
 
(チッ…互角ゴカクかよ…これじゃあ、いた瞬間シュンカンらっちまう…)
 
 
タガハナツヅけた状態ジョウタイユルめるコト出来デキない状態ジョウタイになった。
ひとたびユルめれば、中央チュウオウでくすぶっているカタマリ自分ジブンびかかってくる…
 
しかし…そんなカンガえもよそに、くすぶる閃光センコウ限界ゲンカイハジめる。
 
 
(!!!!!!!!!)
 
 
くすぶっていた閃光センコウは、サラなるヒカリハナち、破裂ハレツし、一面イチメンった。
その反動ハンドウはかなりオオきく、二人フタリカラダオオきくばした。
 
 
(うわあああああぁぁぁぁ!!!!!!!!)
 
 
ばされた二人フタリチカラノコっておらず、
そのまま地面ジメンにたたきつけられる。
 
その瞬間シュンカン二人フタリとも覚醒カクセイけ、モトカミモドっていった。
 
 
(・・・・・・)
 
 
ツカてた二人フタリは…しばらくウゴコト出来デキずそのままタオれたままだった。
 
シバラくの沈黙チンモクノチ、かろうじてカラダこし、おタガいを確認カクニンする。
 
タガいの無事ブジ確認カクニンしたノチきずりながらもスコしずつ相手アイテホウへとアユる。
 
 
「はぁ、はぁ、はぁ…」
 
 
タガいにツナぎ、同時ドウジ草原ソウゲン寝転ネコロがる。
 
全身に流れている大量の汗と、所々の生傷…
 
普通フツウたら、どれをっても子供らしくない姿だ。
 
タガい、相手アイテをしっかりとニギりしめ、深呼吸シンコキュウカエしている。
 
 
「…強いじゃないかよ…ったく、まいったな…」
 
「何言ってんのさ…そっちこそ…」
 
 
一言ずつ喋ると、また深呼吸を始める。
とてもじゃないが、喋ることが出来るほど体力が残っていない。
もちろん、立ち上がることすら出来ない。
それ程お互いの実力が互角だったのか…
 
 
最後サイゴのは…ちとやばかったな…」
 
「うん…駄目ダメかとオモった…」
 
 
チョットだけ後悔コウカイしている様子ヨウス二人フタリ
 
 
「…んー、あの火炎弾カエンダンカエしたのはナニだったの??」
 
「ん?? ああ、「リバース」のことか。」
 
「リバース??」
 
「ああ、『風陣フウジンヘンキョウショウ』ってワザでな、単純タンジュン相手アイテワザカエすってモノだよ。」
 
「アレにはマイったなぁ…アヤうく自分ジブンワザえちゃうトコロだった。」
 
「ははは。まぁ、でもお陰ですっきりしたよ。」
 
「…そうだね…なんか自分ジブンチカラったってカンじがする。」
 
「…もし実戦ジッセンだったら…こんなんじゃまないのかもな。」
 
「そうだね…もっと修業して、少しは兄ちゃんの役にはたてないとな…」
 
「…めた。オイラも修業するぜ。
  勇と引き分けだなんて嫌だからな。」
 
「何言ってんのさ。」
 
 
笑い出す勇矢。
 
 
「じゃあ、ボクも蕾に負けないように頑張らないとね。」
 
「お、言ったなぁ?? よーし、また今度勝負だ!! 次は勝つからな!!!」
 
 
立ち上がった蕾は、勇矢を指差す。
 
 
「ボクだって負けないからね。」
 
 
寝転ネコロがったまま笑顔で言い返す勇矢。
蕾も珍しく笑顔を見せる。
 
そして、蕾は静かに去っていった。
 
 
(ボクの実力は…兄ちゃんと比べたらどれくらいなのかなぁ…)
 
 
勇矢は、眼を瞑り一人考え始めた…