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スカイト・ユーキリア流・召喚術師の手引き

著:スカイト・ユキーリア
訳:空雪
 

<巻の一 「ドワーフ」>

巻の二 「ターマイト」

さて、前回の「ドワーフ」に続き、今回は「ターマイト」についての考察だ。
彼らは「森の破壊者」と呼ばれ、森に住む生き物達から忌み嫌われている巨大なシロアリである。

こいつらに狙われた森はわずか五年で滅びる、と言われており、その力は絶大なものがあるであろう。
過去にエルフの森を奥にそびえ立つ世界樹ごと滅ぼした、と言う記録もあることから
「5年で滅びる」と言うのもあながち嘘ではないと言う事が窺い知れるだろう。
さて、このターマイト、役割によって体の作りや能力が全く違っている。
まず「ワーカー」、ターマイトの中でももっとも小振りで(それでもかなりの大きさではあるが)
戦闘能力にも劣っている者達。
彼らは木の内部や地面の下にいる動物たちを捕らえ、運ぶ役割を持っている。
次に「コマンドゥ」、「ワーカー」よりも幾分か大きく、背中に羽を持っていて、
獲物を探す役割を持っているものと思われる。また、その力は「ワーカー」を上回る。
次に「クラッシャー」、彼らターマイト一族の中で最も大きく、力のある者達だ。
彼らが率先して森を破壊していく、その力は樹木をいとも容易く引き抜くほどである。
そして最後に「エルダー」ターマイト達の指導者で、体の色が薄い紫色である。

どうやら彼らターマイトは
エルダーに命令されなければ(自分の身に危険が無い限りは)無駄に相手を攻撃しない、
という特性があるようだ。その特性は召喚術師に支配されてなお残っており、
命令を下してもその力を発揮していないようである。
これらについてはまだ研究中であり、詳しい事は何も分かっていない。
ただ一つ分かっている事はエルダーを支配し、他のターマイト達に命令を下させれば
自ら相手に襲いかかり、相手を粉砕するという事だけである。

さて、彼らターマイトは種族という割に種類も少なく、攻撃一辺倒になってしまう。
そこで他の種族…例えば、前回紹介したドワーフ等と共に使ってみるとよい。
ドワーフで壁を作り、ターマイト達に反撃させる。これだけでも相手はかなりの痛手を負うだろう。
また、(エルフ達は嫌がるかもしれないが)エルフ達と組ませてみるのも良いだろう。
エルフは非力で、攻撃力に欠ける。一方、ターマイト達は力ばかりで策に向かない。
お互いの弱点をカバーするのもまた一つの戦術であろう。
ちなみに、相手の策で力をそがれるのを嫌うならば、強く、大きい「クラッシャー」を、
移動速度を重視するならそこそこの攻撃力もある「コマンドゥ」、というように使い分けも必要であろう。

…と、まあこのようにターマイト達はそれ単体で使うのでは力を発揮しきれないが、
他の種族と組み合わせ、うまく使いこなせば、その力は絶大なものとなる。
これを生かすも殺すも、召喚術師次第である。我々召喚術師は呼び出した魔物に頼りきらず、
その魔物をうまく使いこなす努力をするよう常に心掛けなければならない。
 

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