総覧へ戻る
 
 

白雪姫観察日記

著:トーレント=ソール
訳:シスイ=フロート                                                                      
 

私、ジェミナ=ルゥムは、とある研究室でスノーホワイトの生態研究をしている。
今回は、その楽しき日常の欠片をココに記そうと思う。
 
 
 
 

――午前5時30分――

彼女が起床する。と同時に、部屋中の窓と言う窓を開け放つ。
冷たい空気が、私の身体に触れ否が応でも目が覚める。
日が照るまでは風が冷たいので、閉めるように頼むが却下される。
彼女曰く『朝起きたら外の風に当たらないとダメなの。ずっと部屋の中に居たら、息が詰まっちゃうよ。』
風のエレメントに属する彼女には、壁があること事態が不思議なのかもしれない。
機会が有れば聞いてみる事にしよう。
 
 
 
 

――午前6時――

しばらく部屋中を飛び回っていた彼女が、朝の散歩に出かける。
私はその間に、朝食を準備する。一応彼女の分も用意したが、人間の食べ物を食べるかどうかは疑問である。
 
 
 
 

――午前6時20分――

彼女が帰宅する。朝食に誘ったが、食事と言う概念を理解してもらえず、失敗に終わる。
 
 
 
 

――午前7時33分――

彼女に食事の概念を一通り理解してもらう。所要時間、実に1時間33分52秒…
彼女は『しょく…じ?ごはん?それって、楽しい事?』と言った様に始終、頭に?マークを浮かべていた。
その後、『大自然の哀しい掟だね』と言っていた、恐らく動物達の食物連鎖のことであろう。
 
 
 
 

――午前8時48分――

突如研究室内で何かが割れる音が響く。
案の定彼女だ。被害に遭ったのは、私の研究機材の1つだった。
彼女は『エヘヘ☆失敗しちゃった。ゴメンね』と言っていた
…………結構値の張る物だったのだが。ハァ
 
 
 
 

――午前9時6分――

本日、何度目かになる彼女からの『遊んで〜』を却下する。少々ご立腹の様子だ。
 
 
 
 

――午前11時――

そろそろ、昼食のことを考えつつ研究に没頭していた私を、彼女が「ライトニング・ボルト」で攻撃。
危うく天昇しかける。
彼女曰く『だってぇ、退屈だったんだもん』

……今回は、彼女の誘いを無下に断った私に非があると思って許そう。

…………しかし、毎回これでは私の命が。
 
 
 
 

――午後0時20分――

昼食を食べに彼女と酒場へ。
食事はしなかった物の、ハーブティーを偉く気に入った様子。

補足:酒場でナンパして来た、しつこい酔っ払い(ごろつき?)を彼女がブルー・ライトニングで一掃する。
   今回は見なかった事にしておこう。
 
 
 
 

――午後1時50分――

食事を終え、家路に着く頃も、彼女が露店に興味を示す。
また、ライトニング・ボルトを喰らう訳にも行かないので付き合う事に……
 
 
 
 

――午後3時59分――

帰宅。
女の買い物が長いと言うのは事実らしい。フラフラすること2時間。結局、彼女には適わず服と小物を購入。
とりあえず、新しい服を着て喜ぶのは、人間も妖精も同じのようだ。
 
 
 
 

――午後6時47分――

彼女が再び暇を持て余し始める。
仕方が無いので、夕飯のついでに散歩をする事にする。
 
 
 
 

――午後7時3分――

酒場へ到着。
しかし、混雑を避けるため時間をずらす事にする。
時間を潰す為散歩。街中よりも表情が明るい。彼女曰く
『あんなに狭い所にギュウギュウ詰めになってたら死んじゃうよ』
だ、そうだ。
 
 
 
 

――午後8時30分――

夕食。彼女もハーブティーを頼む。
どうやら、かなり気に入ったらしく、実に20種類ものハーブティーを頼んだ。
ご満悦のようだ。満面の笑みで言葉もない様子。
 
 
 
 

――午後9時11分――

帰宅。何時の間にやら貰ってきたハーブと何処からか引っ張り出したティーセットで、三度お茶の時間に
 
 
 
 

――午後10時――

彼女は夜の散歩へ。
彼女曰く『皆にこの服見せに行って来るねー』

……皆って誰?
 
 
 
 

――午後11時5分――

彼女帰宅。そして、就寝。

 

彼女が眠りについた所で、今回は終わりにしよう。
しかし、この記録がここで終わっても、私の研究は終わってはいない。
彼女との生活がまだ続きそうだ……

 

――某魔術学院図書館『四精霊調査論文』参照
 

総覧へ戻る