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聖魔の成立について

著:グリーン=ヒル
訳:Yen-Xing
 

この六門世界におけるエレメントについてエルド教では「絶対神が聖魔を定めその後に四大精霊を定めた」
としている。果たして本当にそうなのだろうか?

私は各地方に残る太古の文献を調べる中で必ずしも、そうとは言い切れない物に度々出会った。文献ごとに記述は少しずつ異なるが、まとめると次のようになる。

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始めに唯一にして絶対全能なる「ヤスティ」ありき。
偉大なる「ヤスティ」はまず「火・水・地・風」の四大属性を定められた
次に四大精霊から聖属性を聖別なされた。
また、四大精霊より聖属性と反する物として魔属性を定め、分けられた。
エンジェルやデーモンはこのときにその発生のきっかけを与えられた。
四大精霊と聖魔を作られた後、「ヤスティ」は四大精霊の力を集め
四つの大陸を作り、七つの海を作られた。

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調査対象としたケンタウロスやエルドレア(古エルフ)の古文書、また、ハーピィやギルマンの口伝ではそれぞれが各種族について(各種族を中心として)記されていく為、各々異なる。が始まりの部分についてはほぼ一致している部分に注目したい。

これに対し、エルド教の布教とその歴史を確認してみたい。古代のエルド教と現在のエルド教はサザンでの「大会議」でその教えがまとめられたことにより区別されたとしている。その際に、絶対神「エルド神」を創造神としない古い説は異端とされ弾圧・消滅してしまったのではないかと推測される。(現在、その文献が存在しないのは「大会議」の際の焚書により 消滅させられたと推測する。)

では、エルド神と「ヤスティ」はどのような関係にあるのか。超古代の存在である「ヤスティ」が出てくる創造の課程においては四大精霊(あるいはエレメント)の方が先に作られ、その後に聖魔が分かたれたとしている。すなわち、エルド神は世界創造のもっと後になり出てきたことになり、聖属性のシンボルたる存在でしか無いこととなる。「大会議」の討議者はその点を嫌いあるいはエルド神を絶対の存在としてあらしめる為に古代の創造神「ヤスティ」を宗教的に抹殺したのではないか? ここではそう推測する。

先に四大精霊が存在したとする説を此処に取り上げたのはある理由からである。四つのエレメントに属する各召喚対象となる生き物の中でスペルを行使できる物が存在するのは召喚術師としては周知の事実である。
また、聖魔の各属性の中にも各エレメントのスペルを使える物が存在するのも事実である。

ここで、属性ごとにスペルをどのように使えるかを注目してみたい。聖属性のエンジェルなどは聖のスペルの他に各支配するエレメントを使えることが多い。それに反し聖なるスペルを使える各エレメントの生き物はそれほど多くない。(ここでは、種族が発展し、魔法を各個に取得していったエルフやマーメイドなどは除く)

「ヤスティ」の世界創造の記述から

1.四大精霊を定める。
2.精霊の加護をそれぞれの種族に与えた。
3.聖属性を分かった。
4.聖属性に分かたれた物に「聖」の加護を与えた。
5.他の種族の一部にも「聖」の加護を与えた。

と推定すると四大精霊が先に存在したという説もあながち「邪説」とは言い切れないのではないかと思われる。

あまりに太古の話の為、物的証拠に欠けるのがこの説の欠点である。仮に、この説が事実だったとしても実際にあったのは古代の「帝国」あるいはそれ以前であろうと思われるため、これを立証するにはさらなる研究・調査が必要と思われる。
 

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