ダンダーン
著:グリーン=ヒル
訳:Yen-Xing
魚は生きている限り成長を続ける動物である。祭りで売られている金魚の中には数年にわたり生きる物もおり、そういった個体は一件金魚には見えない大きさまで成長を続ける。元が金魚であるからしてこのサイズである。では自然界に生きる魚で最大の個体ともなるとどのような大きさになるのか?
ウォーレス地方には「ダンダーン」と呼ばれる怪魚の伝説がある。
その話では良く晴れた日に大海のど真ん中でいきなり風がなぎ、奥深い海の底からカサゴの化け物が現れ船をひとのみにしたという伝説である。同じ様な生物として「リヴァイアサン」が良く知られている。
が、こちらは分類上はれっきとした「モンスター」であり、「フィッシュ」に分類されるダンダーンとは大きく異なる
この差異はそれぞれの特性による物である
ダンダーンとリヴァイアサン、共にあまりに巨大なため、並べてその大きさを比較することは事実上不可能であるが、どちらにも船を丸飲みにしたという伝説がある。この伝説が信憑性のある物としたらその大きさはそれほど変わらないだろう。
主食は何か? このサイズで餌をえり好みは難しいと推測される。浅い海にいるとは思えず、自然と沖合がその生息範囲となるようである。しかしながら広い範囲を回遊するのに向いた体型とは思えない。おそらく、普段は深海にじっと潜み、大規模な小魚の群やふさわしい餌を見つけたときに一気に接近し、補食する物と思われる。
残念なことに、このダンダーンについては記述が非常に少ない。
そもそも、目撃例が非常に少ない上に、より有名な「リヴァイアサン」と混同されがちである。自然と文献に登場する事もほとんどなく、学院の図書館ではリヴァイアサンの参考としてわずかに記述がいくつか有るのみである。まともな記述ともなると、超古代の文献にいくつ過疎の記述が見受けられるのみである
「フィッシュ」で有る以上、交尾の後に産卵し、繁殖する物と思われるが……この種の生態は依然として殆ど謎に包まれている。そもそも、現在も生息しているのかさえ謎である
ただ、一つだけ言えることは、もし発見しても迂闊に近寄らない様にし、遠巻きに観察するのが最前であろうと言うことである