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附子

著:グリーン=ヒル
訳:Yen-Xing
 

古来より武器を使う物はその威力を高めるために様々な工夫を行っていた。例えば単なる棍棒に釘を打ち付けその殺傷力を高めたり、あるいは弓の全長をのばしその威力を固める。剣をより鋭くし・重量を増やすなど一撃の斬撃の威力を高める方法である

毒を塗るという方法もまた一つである。今回はその毒の中からトリカブトを扱いたい

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トリカブト自体はそれほど珍しい植物ではない。サザン地方に大きく広がる大森林地帯の森の中でその姿を見かけることができ、花は蒼くその姿は非常に美しい。

その毒であるが、主に体をしびれさせる機能がある。これが傷口から体内にはいると体の痺れ、心臓の動機が異常に早くなる等の症状を起こす。大量に体内にはいると死に至ることもある。

服毒した場合は斬りつけた傷から体内に進入した場合と異なり非常に危険である。大量の発汗と手足の痺れを伴った後、3〜4時間後死に至る事さえ有る。過去、この毒で暗殺された者も少なくない。

現在この毒を解毒する方法はなく、スペルで毒に対する耐性をつけることもできない。一時的に体力を付与して毒を乗り切るしかないのである。人間に限らずエルフ・ドワーフ・ギルマンなど比較的魔法的影響が少ない生命体にもこの効果は発揮する。むろんその効果を発揮する量が各種によって異なるのは言うまでもない。
 
 
 

諸君らも森林山野を駆けめぐることもあるかと思う。そういった場合、野草を食すことも多いであろう。トリカブトの毒は花・茎・葉・根・根球・蜜と全ての部位に含まれており、精製は比較的容易である。また、加熱でもその毒が減ずることはない。なお、毒として使う場合球根の部位を使うのが一般的である

このトリカブト、ある食用となる野草に葉の部分が非常に似ている。毎年少数ながら誤飲による中毒死もここ学院まで報告が届いている。トリカブトに限らず危険な毒を持った動植物は一見してわかりにくいことも多い。野草を食す場合にはくれぐれも種の同定を必ず行い少しでも怪しいと思った場合には捨てるようにするべきである。
 
 
 

最後にこのトリカブトは弱毒化した物を服用することにより神経痛などの薬とできる。リザードマンの薬士が発見し「付子」と呼ばれるが一歩間違えれば命を落とす。

専門知識がない者は絶対に真似をしないようここに警告するものである
 

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