11/30
 イスラエルに行くと町のあちこちで聖書問答をしている。彼らの言
葉で「悪魔」とは、反論する者(問答相手)のことを指す。アダムの妻
エバをそそのかした蛇の悪魔は神に反論したので悪魔と呼ばれたに
すぎない。イエスは荒野で誰かと聖書問答をしたというだけなのだ。


11/29
 「世も末だ」という発言には「オレはもう終わりだ」という意味が
重なってはいないか?「昔はよかった」という詠嘆には「オレも若か
ったし」という追加の文句が陰に隠れてはいないか?少なくとも、
芸術家は常に「今のオレが最高だ」と言っていなければならない。


11/28
 イエス=キリストの「人はパンだけのために生きているのではない」
という言葉は、彼個人の発言であると長い間思っていた。実際には、
それは旧約聖書の申命記第8章3節からの引用に過ぎないのだという
ことに、後年になって気づいた。イスラエルを旅したとき、納得いった。


11/27
 昨日のこと、つくづく自分には邦画の方が性に合うのだなという
ことをを実感した日になった。今日、天ぷらを食べた。天ぷらの語源
には諸説あるが、ポルトガル語で調理を意味する「テンペロ」から
転じたとする説が、現在最も有力視されている―・・・とのことだ。


11/26
 『ALWAYS』をロードショーで観た。今までに観て一番感動した映
画の2倍感動した。ゴム原動のプロペラ式紙飛行機が飛んだシーン
から、魂が全く映画の中へと吸いこまれてしまった。涙が乾かない
まま新宿の街を歩くと、未来にタイムスリップしたかと疑った。


11/25
 「金閣を燃やさねばならぬ」彼は、美は崩壊する姿が最も美しいと
説いた。忘れもしない。1970年11月25日すなわち35年前の今日、自
衛隊市ヶ谷駐屯地。かの三島由紀夫が切腹自刃をとげた。それは、
最後の侍の死であり、古き日本的美徳の崩壊でもあった。


11/24
 光ファイバーの持つポテンシャル(潜在能力)には無限の夢がある。
やがては、3D(立体映像)での電話も可能になるだろう。我々はいつ
でも新しい波を待ちかまえていなければならない。それを義務と受け
とるか、権利と解釈するか。―芸術家ならばあえて権利と感じよう。


11/23
 昔よく見た夢で今見なくなったもの。―・・・誰かに追われている。
逃げようとするが足が重くて前に進めない夢。もう一つ―・・・海岸
に居る。初めは普通の波だったのにそのうち大波が襲ってくる。
何回かはしのげるが、最後にはやっぱり呑みこまれてしまう夢。


11/22
 芸術家はモノを完成させる術を知っていなければならない。
たとえそれがどんなに駄作であることが分かっていても、最後まで
作り上げ、発表するだけの度胸がなければならない。まるで自分の
心臓を大衆の面前にさらけだすような覚悟と真剣さでもって。


11/21
 Rolling Stonesのキース=リチャーズにある記者が質問した。
「どうしたらあなたのようなギタリストになれますか」―彼の返答―
「・・・オレのマネをしないことだ」そういえば、サッカーの中田ヒデも
これによく似たことを発言していた。


11/20
 いったい、彼女ほどオレを勇気づける人が他にいるだろうか。98
年、衝撃の名古屋女子マラソン優勝。オレの度肝を抜いた、名も知
れぬ女子選手―あの日以来、オレは彼女のトリコになった。素晴ら
しい、高橋尚子。「オレも頑張ろう」っていつも感じさせてくれる。


11/19
 鰻をたらふく食べた。この魚は、ビタミンAが豊富であるという、
まるで緑黄色野菜のような魚だ。ところで鰻の語源はムナギ(:胸
黄)つまり胸のところが黄色くなっているから「ムナギ」と呼ばれ、
それがなまって「ウナギ」という発音になったらしい。


11/18
 昨日のこと・・・早速ボジョレーを試したのだった。上質だ。2005年は
かなりの当たりだ。今日、新たなる労働の場へと向かった。日比谷公
園では、朝のすがすがしい空気が、はりつめたような冷気とともに太
陽光線をみなぎらせていた。晩秋の寒さで、身が引きしまる思いだ。


11/17
 さらば池袋よ。8年―まさに8年通いつめた訳だったが、ついに最後
の最後までこの街がオレになじむということはなかった。どうもオレの
肌がこの街と親密になることを受けつけなかった。さあ、明日からは
いよいよ新天地へと、輝ける目的地へと、出発進行!


11/16
 朝から待ち遠しかったサッカー日本代表VSアンゴラ戦のキック・
オフ。それは試合終了間際の、松井のヘディング・ゴールで歓喜の
幕を閉じた。今年のボジョレ・ヌーヴォは酸味がきいていて、過去
20年で最高の出来らしい。たまにはヌーヴォとシャレこもうか。


11/15
 芸術家は自分の過去を肥やしにする人種だ。小説家から彼の過去
を奪いとったら、ただの一文字だって筆を先に進められなくなる。
 芸術家は心をリッチにできる人種だ。余裕(金銭的にも精神的にも)
を生む術を知りつくしていなければ、いつかは転ぶことだろう。


11/14
 威勢よく「よしやるぞっ」なんて机に向かって楽器とにらめっこ始め
ても、良い曲など決して書けるものではない。いいメロディは、実際の
ところ例えば便所でもって一人でふんばっている時なぞにふと浮かん
でくるものなのだ。


11/13
 ロッテが見事アジアの頂点となった、おめでとう。オレがスポーツ好
きな理由=スポーツには筋書がないこと。音楽でも演劇でも役者・演奏
者はすべて筋書通りに動いている。しかしスポーツは、いわばすべて
がアド=リブ。だからスリリング。観ていてドキドキ・ワクワクする。


11/12
 プロ野球アジアカップは今日の中国選抜チーム相手にしてようやく観
るに堪えられる試合となったのは何という皮肉か。もっとも日本代表の
ロッテは半分2軍(1.5軍くらいか)だったけどね。浦和レッズにはまだ
あの野人=岡野がいた!今日負けて今期の優勝は難しくなったが。


11/11
 新しい挑戦――それは春先までに20曲の新曲を書くということ。オレ
は久しぶりにこのような宿題を自分に対して課してみた。その翌日、お
もちゃのキーボードを買ってきて早速作業にとりかかる。たいそうな道
具などいらない。「何で作るか」ではなく「何を作るか」が大切なのだ。


11/10
 「色即是空」とは?色=肉体は実体のないものであって、空虚なも
のだという意味らしい。つまり肉体に執着するなという言葉なんだろ
う。しかし、芸術家から肉体を取り上げたら後には何が残るのか。と
もかく、オレにゃそんなの無理だ。まだ悟りきれていないということ。


11/09
 イエス=キリストは言った。「幸せだな、あんたたち泣いている人
たちは。だってあんたたちは慰めてもらえるんだから」この言葉には
彼の孤独が反映されている。芸術家ならば、この気持ちがよく分かる。


11/08
 これは、最近気が付いたことを元にあみだした自作の格言である。
「若者への誹謗(ひぼう)は、若さへの羨望(せんぼう)に過ぎない」
人は、自分より若いものと線を引き始めた瞬間から老いていく・・・


11/07
本日よりきまぐれ日記なぞ・・・