たわしとアロエとドクダミと                             小山 友叶

一、私の古い写真には左頬に十円玉位のシミがある。いつ頃から発生したのか記憶にないが三十代

にはないから四十代になってからだろうと思う。始めは色が焦げ茶色も薄く目立つようなものではなか

ったが、次第に色が強くなり気になりだした。何とかならないかと真剣に思うようになった。

 そんな時、女房が「たわしでこすると良いと聞いたけど」と言う。それから毎日毎日たわしでこすった

。皮膚が剥がれると治るまで中止し、かさぶたがとれるとまた始めた。半年は続けたかと思う。効果

は色が薄くなったようなならないようなはっきりしないものだった。その内、患部が反抗したのか茶色

に盛り上がってきた。ゾーっとして『ダメダァー逆効果だ』とついに投げてしまった。と、諦めてから幾日

もしない間に消えてなくなった。

 嘘のようだが本当の話。あれには玉消た。あのシミは体内の何処かに隠れていてそのうちにまた現

れるんじゃないかと思っている。それにしても不思議なことがあるものだ。あれを放置しておいたら醜

い斑痕になっただろうと思うとゾッとする。たわしは化繊のものでは効果がないらしい。

二、耳の穴はあまり掘るものではないとは昔から言う。昭和五十五年頃のこと。私が四十五歳の頃。

耳の穴が痒くて痒くてどうにもならないので毎日まいにちアルミニュームの耳かきでガシガシ掘った。

皮膚のかすが呆れるほど出た。終いには皮膚ガンになるんじゃないかと心配するようだった。といっ

て痒いのは止まらない。痛いのは我慢出来るが、痒いのは我慢ならないとか。とにかくどうにかしない

とと思っていた。

 そんなとき、知り合いの同年配の博識から「これを付けてみろ」と貰ったのが自家製のアロエ薬。ヘ

チマから採った水とアロエとグリセリンとアルコホルと混ぜたものだという。試しに綿棒に浸して付けて

みた。一発で痒いのが止まった。それっきりアルミのみみかきとは無縁になった。あれも有り難かった

。あのままみみかきを続けていたら皮膚がおかしくなったと思うとアロエサマサマだ。教えて呉れた彼

は毎日風呂上がりに頭に振りかけているという。その効果なのか彼の頭髪はいまだに床屋で梳いて

いるほど豊かな髪をしている。

 さきほど、千倉へドライブ旅行したら旅館の駐車場にアロエが叢になってるので無断で沢山いただ

いた。帰ってから絞ったアロエエッセンスをヘチマコロンに加えて遅まきながら頭に振りかけている。

地肌の見える頭髪だがこのままストップしてくれれば有り難い。

三、十年と言わず乾いた湿疹に悩まされている。昔から言う「はたけ」と言う皮膚のささくれの少し重い

湿疹。以前、本町の佐瀬クララさんに見てもらったら先生は「単純湿疹」と診断して特に薬も呉れなか

った。だから薬は付けていないが最近酷く痒くなるのでまた見てもらうようかなぁと思っていた。驚いた

ことにこの難物の湿疹が消えそうだ。ドクダミのお陰で。

 同級生の小南は「日本おもと協会」の東京副支部長だけあって野草特に薬草に詳しい。彼が乾燥ド

クダミを煎じて飲むと脳血管に良いと言うものだから飲み始めた。

 初めは馬のションベン臭いので飲み辛らかったがこれを飲み出してから十円玉くらいの面積の湿疹

が今では一円玉ほどになり、痒みもなくなった。年内には消えると確信している。皮膚病は外から治

すものだと思っていたが中からとは意外だった。 だから今年はドクダミを陰干しにして採ってある。た

わしとアロエとドクダミとこの三種で悩みが消えたのが何とも有り難い。アロエは千倉へ毎年戴きに行

こうと思っている。ドクダミは畑にいっぱいある。

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