山菜のページ

ほくほく街道、買い物の旅                新井 一男

 気がつくと、私達は、北越急行ほくほく線、大池いこいの森駅近くにある小池のほとりにいた。木々の若芽がかなり伸び始

めた、小池の周りを、私達は歩いていた。小池の周りを歩き始め、先ず目に留まったはワラビ。池の散策道の土手などに

たくさん見られた。次に目に留まったのは、一番芽、二番芽が採られ、三番芽がかなり伸びたタラの木。関東の山で見られ

るような希薄な密度でなく、いたるところに生えていた。特に幼木の多さに驚いた。次に目に留まったのが、トリアシショウマ。

本でしか目にしたことがなかった。 次に目に留まったのがコシアブラの木。栃木の渓流で何度か目にしたことがあった。

ここでは幼木から幹の直径が三十センチぐらいの物まで、ところどころで目にした。車道沿いの公園の木としても、何本か目

にした。兎に角、新潟の山を歩くと次から次に食べられる植物が登場してくるのであった。

 四月の下旬、主に新潟の北越急行ほくほく線に沿った国道二五三号線、いわゆるほくほく街道(というより、ほくほく線が

ほくほく街道に沿っているのか)付近を旅した。

 朝の八時半頃わが家を出発し、鶴ヶ島インターから関越道に乗り、上信越道に乗り換えた。

途中、信州手打ち鎌を手に入れたくて、長野の信濃町インターで高速を下りた。工房も二軒ほど当たってみたが、休みのよ

うで、結局黒姫物産センターに立ち寄った。信州手打ち刃物は、あの川中島の戦いあたりの時代に、刀匠が郷の人に技術

を伝えたのが起源とも言われているようです。

薄手の手打ちの草刈鎌、山菜取り用の特殊な長い柄の鎌、しっかりした草取り鎌など六点ほどを手に入れた。

黒姫物産センターの地階は、大きなそば工場となっていて、石引きのそばなど売っていた。

食堂があり、そば三百円とあったので、特別奉仕品の百円の烏骨鶏の玉子などを奮発して、四百円の月見を注文した。

あまりうまいそばではなかったので、お勧めはしない。

 それから国道十八号線を少し北上し、新井市に入った。国道を東にそれ、頚城村へ向かった。「大池いこいの森」というとこ

ろがあり、そこを少し歩いてみようと思ったからだ。「大池いこいの森」は先程のとおり、山菜だらけでした。

 一時間余り歩き、車に戻ると、風もにわかに強まり、雲行きの怪しくなった空から雨が落ちてきた。

 次に東に向かい、清川原村のほくほく線清川原駅前の物産センターに向かった。そこには、地場の野菜や山菜が並んでいた。

大粒の銀杏が安かったので手に入れた。ついでに、宝海という韓国焼酎と柏崎ワインを購入した。

イチョウは浦川原村のシンボルの木で、そのせいではないのでしょうが、銀杏の値段はこちらの三分の一くらいの値段だった。

 この日は、更に北上し、人魚伝説の残る大潟町の鵜の浜温泉に向かいました。

突然の天気の崩れで、早く目的地に着いてしまいました。更に昼食を取るチャンスを逸してしまったことこともあったので、

大潟町のスーパーで真イカの茹でたものなどを軽く買い込み、旅館で浦川原村で買った宝海で軽ーく一杯やることにしました。

軽ーく一杯やり、温泉につかり、夕食を取りました。予約しておいたのは「見はらし」という名の、雑誌に紹介されていた旅館で、

土曜宿泊一万二千円で料理は海の幸がとても盛りだくさんでした。この温泉では一番安い料金設定の温泉旅館だと思います。

 翌朝は、鵜の浜温泉の宿泊客接待イベントの、海岸での「蛤とメカブ大争奪戦」に参加しました。温泉組合が漁協の協力を得

てやっているものでしょう。海岸に立ててある旗と旗の問に、蛤やメカブがばら撒いてあり、「用意ドン!」で争奪戦を繰り広げる

というものでした。九時開始で、ほんの二・三分で大方の勝負がつきます。上杉謙信と武田信玄との、あの川中島の戦いをほう

ふつさせるような激戦をくぐり抜け、五人家族に余るくらいの蛤やメカブをちやんとゲットできたことは、非常に幸でした。

 その日は先ず、西に戻り、上越市の国道八号線沿いにある「魚勢」という、鮮魚センターに立ち寄りました。

以前一度立ち寄ったことがあり、二千円で二六リットルのクーラーボックスが一杯になったことがあるからです。

今回は目当てが家族用の土産のカニでしたが、三千円のものでしたが、家族で食べきれませんでした。

 それから昨日通った三和村、浦川原村、大島村、更に松代町とほくほく街道を東に向かい十日町に向かいました。

途中物産センターなどに立ち寄り、なんかめぼしい物はないか見てきました。国道わきには山菜取りの人たちが、ぽつぽつ車を

とめていました。それにしても、山菜の多い街道でした。十日町では、雑誌に紹介されていた「由屋」というへぎそば屋で昼食を

取りました。味はまあまあでした。それから塩沢町を経て、谷川岳の水をゲットし、帰路に着きました。

 ところでコシアブラという大変おいしい山菜がありますが、去年茨城で一本七・八百円で幼木を購入し今二本植えてあります。

その前栃木で購入した二本の幼木は枯れてしまいました。今回の旅を通して、摘みに行った方が面白いし、たくさん簡単に採れ

るので、幼木の値段の元がとれるのは、一体いつになることなのでしょう。

兎に角、山菜の多いのに今更ながら感心させられる旅でした。